大手キャリアと比べてスマホ代を安く抑えやすい「格安SIM」。しかし、プランの価格だけを見て格安SIMに乗り換えてしまうと、思ったより使い勝手が悪かったり、料金が高くついてしまったりと後悔につながることも。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに、格安SIMへ乗り換える際の注意点を詳しく教えてもらいました。
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固定費を下げるのに役立つスマホ代の見直し
節約を始める上で、まず見直すべき「固定費」。なかでもスマホの固定費は、契約プランの見直しや余計なオプションの解約をしたり、KDDIの「UQモバイル」、ソフトバンクの「ワイモバイル」など大手キャリアのサブブランドに乗り換えたりするだけで、コストを数千円下げることができる場合もあります。そこからさらに下げたいと思ったときに検討したいのが「格安SIM」です。
低コストでスマホが使える格安SIM
格安SIMとは、docomoやauといった大手通信会社(MNO)から回線を借り受けて、仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供しているSIMカードサービスのことで、会社やプランによっては1000円未満でスマホを使うこともできます。
しかし、価格面での魅力が高い格安SIMへの乗り換えには、注意点もあります。
つながりにくい時間が発生する可能性あり
格安SIMは大手キャリアの回線を借りているため、回線の使用に制限があります。そのため、ランチ帯など回線を利用する人が多くなる時間帯では通信速度が遅くなったり、通信が不安定になったりすることがあります。
プランによっては最終的に高く付くことも
比較的低コストで押さえやすい格安SIMですが、プランによっては大手キャリアと価格に大差がなかったり、むしろ格安SIMのほうが高かったりといったことも考えられます。
電話をかけることが多い場合は大手キャリアのかけ放題プランを選んだほうが安く済むケースもありますし、家族全員で同じキャリアを選ぶのであれば家族割があるキャリアを選んだほうがいいこともあります。通信容量や価格だけで判断せず、どういう使い方をすることが多いのか、スマホに求める条件を洗い出したうえで乗り換えの検討をしましょう。
キャリアメールやキャリア決済が利用できないことも
docomoであれば「@docomo.ne.jp」、ソフトバンクであれば「@softbank.ne.jp」といったキャリアメールがありますが、格安SIMにはない場合が多いため、メールを使う場合はGmailなどの別のメールツールやアドレスを用意する必要があります。
また、スマホでアプリやゲームなどを購入した際に、その費用をスマホ代とまとめて支払うことができる「auかんたん決済」「ソフトバンクまとめて支払い」といったキャリア決済も格安SIMにはないことが多いため注意が必要です。
窓口対応がない場合がほとんど
格安SIMは有人窓口がない分、コストカットをして、料金を格安にしています。契約などはネットやアプリ内での対応となり、急なトラブル時に窓口へ駆け込んで対応してもらうことができません。また、スマホ本体が壊れたとしても、修理期間中の代替機はないです。
窓口で対応を必要とする方は無理に格安SIMにせず、窓口対応がある大手キャリアなどを選択することをおすすめします。
スマホの短期解約・乗り換えにはリスクも
大手キャリアのSIMも格安SIMもそれぞれメリット・デメリットがあるため、思っていたより料金が高い、使い勝手が悪いなど、使い始めてから向き不向きに気が付き、別のキャリアに乗り換えたいと感じることもあるでしょう。格安スマホに限らず、短期でのスマホの解約や乗り換えにはリスクもあります。
しばらく再契約しづらくなる可能性あり
キャリア変更の際に高額なキャッシュバックキャンペーンを行っているキャリアも多くありますが、これは利用者に長く契約してもらうことによって長期的に費用の回収を見込んでいるものです。短期で乗り換えられるとキャリア側の赤字がかさみ、キャリアにとって「総合的に契約メリットのない利用者」となるため、再度契約する際の審査が通りづらくなることが考えられます。
短期解約とみなされる明確な期間は決まっていませんが、新規契約後、6か月程度は継続して利用することをおすすめします。
スマホの乗り換えはよく検討してから行うこと
少し見直すだけでも大きくコストを下げられる可能性のあるスマホ代ですが、キャリアやプランの相性は人それぞれです。普段どの程度通話をするのか、通信容量はどのくらい使うのか、家族割は必要なのかといったことをしっかりと考えたうえでスマホの乗り換えを検討するようにしましょう。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり