格安で洋服やインテリア用品などが購入できるとして話題の「格安通販」。うまく使えば節約につながると思いきや、個人情報を抜かれたり、不良品でも返品ができなかったりと、非常にリスクが高いという。ネット通販が拡大している今だからこそ気を付けたい、格安通販や海外取引での注意点について、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに詳しく教えてもらった。
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格安で買える海外の「格安通販」は要注意
海外の格安通販サービスは、広告などが多く出されているものもあり、見たことがある人も多いと思います。数千円はしそうなものも数百円の値付けになっているなど、さまざまな物を非常に安く購入できますが、実は危険性をはらんでいるので注意が必要です。
中国系の格安通販は個人情報が抜かれるリスク
まず、中国系の格安通販では個人情報が抜かれる可能性があります。「Temu」は「『拼多多』(ピンドゥオドゥオ)という中国ECサイトが運営元ですが、過去において購入者の個人情報などに不正アクセスしていることがわかり、米Googleはアプリを停止。その後海外向けに展開したのが「Temu」です。
中国系の格安通販サービスでは、購入した時のクレジットカード情報が不正利用されたり、アプリを入れるだけで個人情報が抜かれ続けたりする被害が報告されているので、購入だけでなく、アプリのダウンロードをするのも注意したほうがいいと思います。
返品・返金に対応してもらえない可能性も
個人情報の問題だけでなく、買った商品が不良品であった場合に返品や返金をしてもらえないというリスクもあります。不良品の返品や返金は日本国内での取引ではもはや当たり前と言えるレベルのサービスですが、国内での取引では想定しづらいようなリスクが海外取引では発生します。値段につられるとそれ相応のリスクを負うことになるため、海外取引では特に注意しましょう。
インターネット通販などにはクーリング・オフ制度は適用されない
そもそも国内でのインターネット通販やテレビショッピングなどの通信販売には、法律上のクーリング・オフ制度は適用されませんので、ショップが定めるルールでの返品になります。海外通販ではそもそも返品が難しいことを肝に銘じるべきでしょう。
商品の安全性に心配がある
また、「Temu」や「AliExpress(アリエクスプレス)」で販売されているアクセサリーから、韓国での安全基準値を超える重金属が検出された例もあります(https://news.yahoo.co.jp/articles/dd94c32caec3ec6bdb1f6846f47570d07ec941ae)。安全基準値は国によって異なるため、日本の基準値を超えた商品が届く可能性も否定できません。知らず知らずのうちに危険な商品を身につけて、健康を害する危険性もあるでしょう。
広告を見て購入するときはまず運営会社をチェックする
ネットを見ているときにポップアップで出てくる広告には、ここまでに紹介した格安通販をはじめとして、洋服やモバイルルーターなどさまざまな商品が格安で表示されています。しかし、これらは偽物だったり、詐欺サイトだったりすることも多くあります。
広告を見て商品の購入を検討する際は、必ず運営会社を確認するようにしましょう。そして、所在地や連絡先の記載がない場合や疑わしい場合は買わないようにし、所在地が海外である場合も極力避けることをおすすめします。
グローバル化によって安全ではない取引も増えている
スマホで簡単に世界とつながることができるようになったことで、個人ができる取引の幅も増えたものの、その分リスクも増えています。買ったものがきちんと届く日本は、世界から見るとむしろちゃんとしすぎている、と考える必要があります。日本国内の常識と海外の常識は違うということを念頭に置かないと、買い物で失敗しやすくなります。
性善説で買い物ができない時代であることを踏まえ、YouTubeなどでお得に買えたという情報が出ていても、自分でよく調べたうえで購入を検討しましょう。
「勉強代」と思わないこと
また、高齢者の場合はとくにインターネットでの買い物の失敗を「勉強代」と言って気にしないケースも多くありますが、基本的にこの考え方もよくありません。お金を使って失敗した時に「勉強代」としてあきらめるのではなく、失敗しないようにあらかじめ勉強してから利用、購入するべきだと考えます。
通販サイトを調べた際に、検索窓に「怪しい」などのワードが出ることもあるので、そういった情報や口コミをチェックするのもおすすめです。
◆教えてくれたのは:節約アドバイザー・丸山晴美さん
節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー。22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。https://www.maruyama-harumi.com/
構成/新藤まつり