クルーズが空前絶後の大ブーム。日本船が新たにデビューするというニュースや、外国船も多く寄港するなど、気になっている人も多いのでは? そこで人気のクルーズ「MSCベリッシマ」で、憧れの日本一周ができるジャパネットのチャータークルーズへ、クルーズコンサルタントの村田和子さんが夫婦で乗船。「クルーズデビューにもおすすめ」というその魅力をレポートしてもらう。
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世界中でクルーズが人気となり、日本の港も多くの外国船で賑わっています。中でも日本で最近よく聞く船といえば「MSCベリッシマ」。日本に配船されているので、一番乗りやすい外国船といえます。今回は、ジャパネットが実施するチャータークルーズ「MSCベリッシマで巡る!憧れの日本一周クルーズ」へ乗船しました。
「MSCベリッシマ」に乗船したのは今回で2回目(前回は船の自主運航)ですが、驚いたのはジャパネットのチャータークルーズは、日本人が船旅を120%楽しめる工夫が満載なこと。筆者が夫婦で乗船した体験をレポートします。
- MSCベリッシマってどんな船?
- MSCで日本一周。航路は?チャーターならではのこだわりは?
- 乗船前:クルーズに不慣れでも安心。存分に楽しむための指南書が到着
- 1日目:東京国際クルーズターミナルから出航。日本語対応は万全
- 2日目:終日航海日~船内スタンプラリーに参加し、フリードリンクを満喫
- 3日目:函館~無料の循環バスで観光。夜はイタリアンナイト!
- 4日目:秋田~クルーズ列車で秋田へ。秋田市は実はとても魅力的
- 5日目:金沢~ランチとお土産を買いに市内へ
- 6日目:終日クルーズ~船内をアクティブに。夜はフォーマルデー
- 7日目:済州島(韓国)~海外も循環バスで。2つの滝をめぐりグルメを堪能
- 8日目:鹿児島~夫婦別行動で観光。出航時は船尾のバーで夕日を眺める
- 9日目:終日航海日~名残惜しい船を楽しみつつ下船の準備
- 10日目:早朝に東京へ到着。大きな荷物は郵送して身軽に帰途へ
- 2025年も日本一周クルーズは春と秋に実施。気になる値段は?
MSCベリッシマってどんな船?
MSCベリッシマの特徴は、その大きさと充実した設備、そして手軽に乗船できる料金にあります。大きさは17万トン越と日本寄港の船の中では最大級。全長約316m、18階建ての船は5655人の乗客が乗船できます。船内に入ると、吹き抜けにはスワロフスキーの階段、さらに二層吹き抜け長さ96mのプロムナードがあり、天井にはLED映像が映し出され華やか。初めてのかたはもちろん、クルーズの経験者であっても、その施設の充実度や豪華さは驚きの連続です。
レストラン、プール、バー、2つのシアター、カジノ、甲板にはウォタースライダーがあるなど、まるで動くテーマパーク! 老若男女楽しめる施設が満載です。
客室も、内側、窓側、バルコニー付き、そしてワンランク上のサービスが受けられるMSCヨットクラブなど多様で、予算や希望で選べるのも魅力です。
MSCで日本一周。航路は?チャーターならではのこだわりは?
今回乗船したジャパネットクルーズの日本一周クルーズは、東京発着で、函館、秋田、金沢、済州島(韓国)、鹿児島と日本(本州)を巡り、東京にもどる10日間のコース(2025年にも同じコースで春と秋に実施)。途中、終日航海日もあり、船旅ならではの楽しさもしっかり味わえる、バランスのよい行程です。また時期も長期休みから外れるシーズンであり料金体系もあって、お子さんが少なく大人が多い、落ち着いた雰囲気です。
また、MSCベリッシマは大きくて設備も充実。その反面、大きな船は混雑したり、寄港できる港が限られるため、貨物用の辺鄙な埠頭につくことも。最寄りの公共交通機関までの足に困ることも実は少なくありません。そして、大きいのが言葉の問題。外国船の公用語は英語なので、日本語対応(日本語のメニューや日本人スタッフの数)などは、クルーズを楽しむうえでとても大事です。
今回乗船した「ジャパネットクルーズのチャーター」は、そんな「乗ってみてわかる不便さ」を、あらかじめ解消し、初めてでもクルーズを満喫できるように、さまざまな配慮や工夫がたくさん! だからこそ、クルーズデビュー、そして夫婦や大人の親子旅などにおすすめ。そんなこだわりも、レポートで感じてみてくださいね。
乗船前:クルーズに不慣れでも安心。存分に楽しむための指南書が到着
申し込みをすると自宅に到着するのが、「ジャパネットクルーズのすべて~MSCベリッシマ編」「ジャパネットクルーズを100倍楽しむためのハンドブック」という2つの冊子。
クルーズ歴15年以上の筆者も、こんなに具体的にクルーズの楽しみ方や船内施設について説明がある冊子は見たことがないほど。持ち物から船内生活、お部屋の設備はソケットの形状や洗面所の形まで、こちらが気になることを先回りして説明があり、不安が安心に、そして船旅へのワクワク感へと変わります。
1日目:東京国際クルーズターミナルから出航。日本語対応は万全
いよいよ出発。チェックインを済ませて船内へ。乗務員は海外のスタッフなので、船の中は海外にいるかのようなインターナショナルな雰囲気。それでいてお客は、ほぼ日本人、ジャパネットクルーズのスタッフも多く乗船していて安心感があります。食事やバーのメニュー、船内の地図などの表示も日本語表記があるので、言葉で困ることはほぼありません。
クルーズでは、船内の予定や重要事項を記した「船内新聞」が毎晩配布されますが、それとは別途「ジャパネット通信」という独自の新聞も配布されクルーズを楽しむ細やかな案内が役立ちます。
今回、私たちが滞在したのはバルコニーの客室。大海原を感じるバルコニー付きの客室は開放感があり、初めて乗船するならイチオシです。「船内でアクティブに楽しみ部屋には寝に帰るだけ」という方は、手頃な内側客室からスタートもいいですね。
乗船したら、早速ビュッフェレストランでクルーズ最初の食事を頂きました。
2日目:終日航海日~船内スタンプラリーに参加し、フリードリンクを満喫
船での最初の朝は、ジャパネットクルーズオリジナルのラジオ体操でスタート。360度大海原の甲板は気持ちよく、夫婦で毎朝、朝食前に参加しました。
朝食後は、ジャパネットクルーズ主催の「船内スタンプラリー」へ。船の主要な9つの施設を巡るので、「こんな施設があったんだ」という発見が。船内見学を兼ねていて、クルーズライフを楽しむ準備が整います。
疲れたら好きな場所で、好みのドリンクをオーダーして休憩を。ジャパネットのチャータークルーズの特徴のひとつが約150種類のフリードリンク。アルコールを含め10ドルまでの飲み物が追加料金なしで頂けます。
食事の際はもちろん、個性的なバーやラウンジが20か所もあるので、財布を気にせずふらっと立ち寄れるのは、思っていた以上に快適で楽しみが増えます。我が家は夫婦とも、あまり飲めないのですが、ノンアルコールカクテル(モクテル)で乾杯をしたり、カフェラテなどのスペシャリティ珈琲をいただいたりと、ノンアル派も楽しめました。
午後は船内のライブラリーやデッキチェアでのんびりと。また、寄港地到着前日には、みどころを案内する説明会が実施されるので、ノープランでも「あれをやってみよう」「ここに行ったみたい」と船の上で旅計画ができます。
3日目:函館~無料の循環バスで観光。夜はイタリアンナイト!
函館に到着。夫は高校の修学旅行以来と聞いてびっくり。ジャパネットクルーズの特徴のひとつ「寄港地での無料循環バス」で観光をすることに。ジャパネットクルーズでは、観光の拠点となる駅や施設などへのバスが各寄港地で用意されているので貨物用などの何もない埠頭へ着岸しても安心です。
函館の街を堪能したら、今宵はイタリアンナイト。イタリアの国旗「緑・白・赤」をキーカラーに装います。メインレストランでは陽気なスタッフによるセレモニーがあり、食後はプロムナードでパーティーも。
4日目:秋田~クルーズ列車で秋田へ。秋田市は実はとても魅力的
角館や男鹿半島などへオプショナルツアーで出かける人も多い中、我が家は秋田市内へ。港から秋田駅までは、循環バスの他に、クルーズ船のためだけに秋田まで特別に運行する「秋田港クルーズ列車」も運航され特別感のある経験になります。
秋田市立赤レンガ郷土館(重要文化財)、安藤忠雄氏設計の秋田県立美術館、他にもレトロな街並みが楽しめる秋田市内は、散策にもってこい。クルーズ乗客にはお土産の割引や、歓迎のイベントなどもあり、街全体でウェルカムな雰囲気が漂うのもよかったです。
夕食はビュッフェで簡単に済ませ、シアターのショーへ。MSCクルーズはエンターテインメントが素晴らしい!無料で毎晩開催されるショーは欠かさず足を運びました。
5日目:金沢~ランチとお土産を買いに市内へ
金沢港へ到着。金沢は何度も訪れているので観光はパスし、海鮮のランチと、能登半島の応援にお土産を購入しようと循環バスで金沢駅へ。
夜はジャパネットクルーズオリジナルの星空観測へ。専門の先生からレクチャーを受けたら、甲板へ出て、実際に観察します。レクチャーを聞きながらだと星空の見方も変わります。
6日目:終日クルーズ~船内をアクティブに。夜はフォーマルデー
朝食はルームサービスで。ビュッフェやルームサービスには、なんと「おにぎり」が登場するのも新鮮(ジャパネットクルーズ限定サービス)。
今日は、ウォータ―パークやプール・ジャグジーなどでアクティブに過ごすことに。前回は夏休み中で家族連れが多く混雑していたスライダーやプールサイドも、今回は大人が多いのでゆったり。待ち時間なく存分に楽しめます。
部屋に戻り、フォーマルナイトの準備をしてレストランへ。
食後はシャンパンバーでカクテルを飲んだ後、夫はカジノに消えていきました。
7日目:済州島(韓国)~海外も循環バスで。2つの滝をめぐりグルメを堪能
日本発着クルーズでは必ず海外へ寄港しますが、韓国の済州島は定番。いつもはタクシーをチャーターすることが多い我が家ですが、今回は循環バスと徒歩で2つの滝巡りを楽しみました。
ショッピングセンターにもバスが立ち寄るので、済州島発のコスメブランドのフェイスパックをお土産に購入し船へ。
8日目:鹿児島~夫婦別行動で観光。出航時は船尾のバーで夕日を眺める
ゆっくり朝食を食べたら、予定を決めぬまま鹿児島駅や城山展望台を結ぶ循環バスに乗り込みます。ところが、歴史をメインに楽しみたい夫と、私のやりたいことがあわず、車内で意見が決裂!!それなら…と別れてそれぞれで観光をすることに。
クルーズでは寄港の時間が限られるので、意見が違う時は思い切って別れて過ごすのが正解。自由気ままに気になるスポットを散策するひとり時間もいいものです。そんな時も、乗れば船まで連れて帰ってくれる循環バスは便利で心強い!
出航時は、夕日も綺麗な時間。船尾のバーでカクテルを頂きながらスタンバイをすることに。港での心温まるお見送りを眺め、陽が沈み夜になっていく空の絶景を夫婦で楽しみます。
今日は「ホワイトナイト」というコンセプトで、ドレスコードは「白の装い」。どこへいっても白一色で、そこにスポットライドが当たると幻想的。ショーの後のパーティーも、いつも以上に盛り上がっていました。
9日目:終日航海日~名残惜しい船を楽しみつつ下船の準備
早いもので、明日には下船。やり残したことをピックアップして忙しい一日でした。
10日目:早朝に東京へ到着。大きな荷物は郵送して身軽に帰途へ
早朝、東京国際クルーズターミナルへ到着し旅は終了。バーで寛ぎながら下船の順番を待ちます。
寝たまま移動、大きな荷物を置いたまま観光ができるクルーズは、体に優しく下船日も疲れ知らず。また大きな荷物は港で宅配を利用すれば帰宅の途も身軽です。たくさんの旅の思い出とともに船を後にしました。
2025年も日本一周クルーズは春と秋に実施。気になる値段は?
いかがでしたか? 快適に楽しめるジャパネットクルーズのMSCベリッシマの日本一周クルーズは、2025年も春と夏に実施され予約を受け付け中。今回の日本一周コースが基本となりますが、5月には沖縄へ向かうクルーズも。(※ただし春は満室の船も多いので詳細はWEBで確認を)。
さて気になるのがお値段。10日間の食事とドリンク(10ドルまでのアルコール含む)・移動費・宿泊費・アクティビティの費用、寄港地の循環バス、チップを含んだ値段は、今回乗船したバルコニー付き客室なら2名一室でひとり39万9800円、窓のない内側客室なら、ひとり24万9800円。いずれも別途港湾税と出国税が3万円ほどかかります。
船内ではお財布を気にせず自由気ままに過ごせて、非日常の船旅を満喫。そして日本一周をしながら各地の観光や食も楽しめます。「いつかはクルーズ」と思っているかた、この機会に日本一周クルーズも検討をしてみてはいかが? デビューは早い方がおすすめです!
■ジャパネットクルーズ「MSCベリッシマで巡る~憧れの日本一周クルーズ https://www.japanet.co.jp/shopping/cruising/index.html
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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