
来年2月、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領を国賓として招待する方向で調整が進められている。雅子さまにとって中東は、ご成婚時代の思い出が詰まった特別な地。1994年と1995年の2回に分けて7か国を訪問されたが、2度目の中東訪問はご出発の3日前に阪神・淡路大震災が発生し、日程を2日早く切り上げる異例の訪問になった。それから約30年の時が経ち、雅子さまが寄せる思いとは──。【前後編の後編】
美智子さまは晩餐会を欠席
約30年前から、雅子さまと深い縁でつながってきたUAE。現代の価値観に照らせば男性優位な慣習を持つイスラム教を国教としながら、いま「女性活躍」の分野で、世界から注目を集めているという。
王室の諮問機関にあたる連邦議会では、2019年以降、議員に占める女性の比率が50%に達している。対する日本は19%であり、UAEの数字は世界的に見ても最高水準だ。さらに9人の女性が閣僚入りしており、女性閣僚の割合は約27%。背景には、国のトップに君臨してきた歴代大統領の努力があるという。
「1971年の建国当初から、同国は憲法で男女平等を規定してきました。ただし慣習として、女性が伝統的な家族観に縛られる状況も長らく存在していた。そんな中、歴代大統領が政策として『男女平等』を掲げ、女性の社会進出を後押ししてきたという背景があります。
中でも今回来日するムハンマド大統領は、女性の社会参画を推進してきた人物。かねて、『国家のさらなる発展には女性の活躍が必要不可欠だ』と公に発言し、男女平等を国家ビジョンの中核に据えています」(国際ジャーナリスト)
実際、ここ30年あまりでUAEにおける女性の地位は大きく向上した。
「1990年、当時のUAEの大統領を国賓として迎えた際の宮中晩餐会に、美智子さまは参加されませんでした。イスラム教では公式行事に男女が同席しないことが慣習とされていて、そのしきたりに配慮したためです。本来、女性たちの華やかなドレスが燦然と輝く晩餐会ですが、そのときは、黒い服に身を包んだ男性ばかりだったとか……。
しかし今年2月、ムハンマド大統領がイタリアを公式訪問した際は、イタリアの大統領夫人もドレス姿で出席し、大統領の隣席に着座した。女性を取り巻く状況は、前回の来日の際とは大きく変わっているのです。雅子さまだけでなく、愛子さまも晩餐会に出席し、大統領と懇談される可能性は高いでしょう」(皇室ジャーナリスト)

こうしたUAEに、雅子さまも心を寄せられているという。
「今年6月、『世界経済フォーラム』が発表した『ジェンダーギャップ指数』では、日本が118位、UAEは69位でした。特に政治や経済の分野で、日本が大きく後れを取っている状況です。
男女雇用機会均等法の施行1年目に外交官試験に合格し、官僚として働かれていた雅子さまは当時、女性として男性と同じようなキャリアを築くことの難しさを痛感されていたはず。それだけにイスラム教国でありながら、女性の社会進出を実現させるために尽力してきた大統領に、雅子さまは深い敬意の念を抱かれているのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト)
そんな雅子さまは来る12月9日、62才の誕生日を迎えられる。
「毎年、雅子さまの誕生日にあたっては、医師団によるご体調に関する見解が公表されます。今年、雅子さまは皇后として“慰霊の旅”を果たされ、以前は難しかった2泊3日の地方公務を2度も行われました。ご公務にも、ほぼ予定通りに参加されていらっしゃいます。今年は、国民が雅子さまの快復ぶりを実感できるような前向きなコメントが期待できるかもしれません」(別の皇室ジャーナリスト)
背景には、愛子さまの奮闘があることは間違いないだろう。
「愛子さまは11月のラオスご訪問も立派に務められました。国際親善の経験を着実に積み上げられている愛子さまは、ムハンマド大統領を招いた晩餐会で、より成長されたお姿を見せられるのではないでしょうか。
雅子さまが年明けの国賓接遇でペースを掴まれれば、今後、海外公式訪問と国賓接遇を年に1回ずつ行われることになるでしょう。次なるご訪問先としては、来年国連の加盟70周年に合わせてのアメリカや、雅子さまが適応障害で最も苦しまれていた最中、静養されたオランダなども候補に挙がっているようです」(宮内庁関係者)
国際親善で輝きを放たれる雅子さまと愛子さまはこの先も陛下を支え、二人三脚で新しい皇室像をつくっていかれるに違いない。
※女性セブン2025年12月18日号