気温だけでなく湿度も下がる冬は、空気の乾燥によって体のあらゆるところがカピカピ、カサカサ状態に。痛くてつらいドライアイも、冬だから仕方ない、どうせ治らない…と諦めないで! 原因は、普段の生活習慣やくせにあることも多いんです。冬も乾燥知らずで過ごせるように、専門家に聞いた“乾かない”目のケア方法を伝授します。

涙の量が減ったり、涙の質が低下するなどして、目の表面が乾燥してしまう症状が“ドライアイ”だ。
「特に冬場は、私の病院でも、ドライアイの患者が増えます。ゴロゴロ感やヒリヒリ感だけでなく、一見うるおっているように見える涙目も、ドライアイが原因で引き起こされる症状なんです。ドライアイは放っておくと眼球を傷つけ、視力低下にもつながります。たかが乾燥と見過ごせるものではありません」
こう教えてくれたのは、眼科医の有田玲子さんだ。
ドライアイの症状や原因はさまざまなので、下記のチェックリストで確かめよう。瞳の表面を覆う涙はレンズ機能も担っているため、目がかすんだり、なんとなく見えづらく感じる時も、ドライアイが原因の可能性があるという。

水分よりも脂分の補給が大切!
有田さんによると、ドライアイの多くが、涙(水分)不足というよりも、涙に含まれている脂分が不足して起こっているという。
この脂を出しているのがマイボーム腺という、まぶたの裏側にある分泌腺だ。そこから出る脂が目を覆う涙の表面に薄い膜を張り、水分の蒸発を防いでいる。マイボーム腺がうまく働かないと脂の量が足りなくなり、ドライアイになりやすくなる。実際、ドライアイ患者の8割以上が、マイボーム腺がうまく機能していない「マイボーム腺機能不全」を発症しているというデータもある。

その主な要因は加齢で、年とともに、マイボーム腺の出口が詰まったり壊れたりして脂の分泌量が減るのだという。また、男性ホルモンの影響を受けて機能不全になることもあるため、更年期後、男性ホルモンが優位になる女性の方が、ドライアイになりやすい。50~60代の女性は要注意というわけだ。
さらに、コンタクトレンズ、まつげエクステンションをはじめとするアイメイク、スマホ・パソコンの長時間使用、不規則な食生活なども、マイボーム腺の機能を低下させる。
「スマホなどをじっと見ていると、まばたきが浅くなったり、まばたき自体の回数が減ります。そんな状態が長く続くと、まばたきする筋力が衰え、より一層、まばたきの回数が減ってしまうのです」(有田さん)
涙内の脂分は、まばたきした時にマイボーム腺から出る仕組みになっている。そのため、まばたきの回数が減ると、分泌される脂分も減るのだ。
温あん法、洗浄、目薬でデイリーケアを
ドライアイ対策としては、まぶたを温めたり、マイボーム腺を洗浄すること、目薬などによるホームケアが有効だ。重症のドライアイには、IPL(通称・光治療)による最新治療も行われている。「ドライアイ度チェック」で当てはまる項目が多かった人は、早めに眼科を受診しよう。
以下に、ドライアイの深刻度別の最新対処と治療法を紹介する。
【ドライアイ<深刻度別>最新対処&治療法】
※【1】がもっとも軽度の場合の対処&治療法。数字が上がるにつれて深刻度が増していく。
【1】
<治療法>
温あん法
<詳細>
まぶたを温めると脂分が溶け出しやすくなる。40℃程度の温かさが持続する温湿布などでまぶたを温めると、マイボーム腺から出る脂が涙の中に溶け出しやすくなり、脂分不足が解消できる。マイボーム腺の脂分は通常32℃程度で溶け出すが、マイボーム腺機能不全の人はまぶたが冷えて脂が硬くなっているので、1日2回以上、5分ずつ温めるのがおすすめだ。
<編集部のおすすめ>

電子レンジで簡単に加熱でき、250回は繰り返し使える。あずきのチカラ 目もと用 858円/桐灰化学(フリーダイヤル)0120・081・331

約40℃を20分キープ。めぐりズム 蒸気でホットアイマスク ラベンダーの香り(5枚入り)475円/花王(フリーダイヤル)0120・165・696
【2】
<治療法>
目元の洗浄
<詳細>
マイボーム腺の詰まりを取って清潔に、かつ通りをよくする。目元を清潔に保つ行為をリッドハイジーン(眼瞼清拭)といい、ドライアイだけでなく、まつげダニの発生やものもらいの予防などにも効果的。専用の洗浄剤を使ってマイボーム腺の分泌口がある、まつげの根元をやさしくマッサージし、ぬるま湯ですすげばよい。アイメイクをしっかりする人に特におすすめ。
<編集部のおすすめ>

保湿効果のあるヒアルロン酸配合の泡シャンプー。ライムエキス配合のスッキリとした香り。まつげエクステをしている人も使える。マイボシャンプー(80ml)2200円/ラ・ショエット (電話)03・5211・1542

まつげケア成分配合。涙に近い弱アルカリ性のうえ、涙と同等の塩分濃度なので、目にしみにくく、まつげのキワまで洗える。アイシャンプーロング(60ml)1980円/メディプロダクト(電話)03・6675・1382
【3】
<治療法>
目薬
<詳細>
涙に近い成分が配合されたタイプの目薬を選ぼう。市販のドライアイ用目薬には、涙の成分に近い水分を補給したり、涙の水分を保ちやすくする働きなどがある。処方薬には、目の粘膜に作用して目の表面の荒れを治療したり、脂分を増やす効果の高い目薬もあるので、セルフケアで症状が治まらない場合は、眼科で相談してみよう。
<編集部のおすすめ>

ごま油とミネラル成分、角膜ダメージケア成分配合。Vロート ドライアイプレミアム(15ml)【第3類医薬品】1650円/ロート製薬(電話)06・6758・1230

涙のうるおい成分を補い、乾燥が原因の疲れ目を改善する。新マイティアA(15ml)【第3類医薬品】858円/千寿製薬(フリーダイヤル)0120・078・552
【4】
<治療法>
IPL(通称・光治療)
<詳細>
重度のマイボーム腺機能不全の解消に効果的。症状が重い場合は、IPL(インテンス・パルス・ライト)機器を使った治療方法がある。IPL機器で頰に特殊な光を当てて目元の血行を改善することでマイボーム腺機能不全を解消する。費用は症状によって異なり、1回5000~1万5000円程度。全国約30か所の眼科で受けられる。
※商品の価格は税込・編集部調べ。
食べ物による対策、ドライアイが改善するのは?
マイボーム腺から分泌される脂分の“質”は、食生活によって変わるという。
「脂っこい肉類を多く摂り続けていると、マイボーム腺の中の脂分が変性して詰まりやすくなります。重度のマイボーム腺機能不全の患者には肉食中心の人が多く、その改善のために魚由来のDHA・EPA製剤を処方することもあります」(有田さん)
魚由来の脂なら、マイボーム腺の脂分がサラサラになり、分泌しやすくなるという。手軽にできるドライアイ対策として、魚食中心の生活はおすすめだ。
教えてくれたのはこの人:伊藤医院副院長、眼科医・有田玲子さん

ドライアイおよびマイボーム腺機能不全が専門で、その研究・治療に情熱を傾けている。全国で講演活動も行う。
※女性セブン2020年1月2日・9日号
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