現在、コロナ禍でリモートで公務に臨まれることも多い天皇皇后両陛下。どんなときも国民に寄り添ってこられ、コロナ前は多くの人と直接触れ合う機会をもたれてきた。ちょうど2年前の11月10日は、天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」が行われた日だ。多くの国民が心を震わせたその日の熱狂を振り返る。
その日の東京都心の日中の気温は18.0度。朝から雲ひとつない晴天に恵まれた。午後3時、パレードは皇居からスタート。おふたりを乗せたトヨタの高級車「センチュリー」は赤坂御所までの4.6kmを50台の車列とともに約30分かけてゆっくりと走った。
雅子さまがお召しになったのはオフホワイトの「ローブ・デコルテ」。その上に、フリルのついたジャケットを着用されていた。頭の上に輝くのは、歴代皇后から受け継がれてきた「第一ティアラ」。上品で麗しきお姿は多くの人を魅了した。
目頭をそっとおさえられるシーンも
パレードをひと目見ようと詰めかけた人は11万9000人。多くの人が胸を打つシーンがあったのは、パレード開始から約10分後だった。桜田門から国会議事堂正門前へ向けて車両が進む中、雅子さまが手袋のまま目頭をそっとおさえられたのだ。目は赤くなっているようにも見えた。
そこは奇しくも、雅子さまが結婚前に勤められていた外務省の庁舎のすぐ近くだった。沿道からは「雅子さまー!」という大きな声が飛んでいた。
雅子さまはどんな思いで涙を浮かべられたのだろうか。
1993年6月の結婚から雅子さまはさまざまな苦難を経験されてきた。2004年5月、天皇陛下(当時・皇太子)が記者会見で「外交官としての雅子のキャリアや人格を否定するようなことがあったのも事実です」と発言され、その2か月後、雅子さまは「適応障害」で療養生活を発表。それから闘病生活は今も続いている。