解約したくてもしづらい仕組みが待っている
厄介なのは、いざ無駄に気付き解約しようと思い立っても、その解約自体がとん挫してしまう可能性があるということ。
「例えば、月初めに解約しようとすると、『月末に解約すれば、月末までは使える』と表示されるケースがあります。そこで解約をつい先延ばしにして、そのまま解約を忘れたり面倒になったりしてずるずると支払い続けることも。あるいは、解約を求めるユーザーに対して、継続した場合の会費を下げて解約を防ごうとする施策も行われています」
さらには、解約しようとしても、その方法が電話手続きのみで、いつも回線が混みあっていてつながらない、解約するために必要なパスワードを忘れてしまう、といったこともあります。つまり、いったんサブスクを始めたら、解約しようと思っても解約させないような仕組みがあることを認識しておくべき。入会前に、解約方法が電話手続きのほか、インターネット上で即解約できるかどうか、などもチェックしておくといいでしょう。
「お得そうだから」という理由での入会は危険
他、入会前には、こんな点にもご注意を。
「売り手は、『本当に使うかどうか分からない』どころか、『明らかに必要のない』商品やサービスを売ろうとしているケースも少なくありません。なぜなら世の中には、似たような商品やサービスがあふれかえっていて、売り手は数多の競合相手とユーザーを奪い合っているためです。
したがって、『使うかどうかはよくわからないが、安いし、なんかお得そうだから』と曖昧な動機で加入したサブスクは危険です。頻繁に使うはず、という予想も外れることも往々にしてあります。キャンペーンによる初月の会員無料も、初月だけのつもりで加入したものの解約し忘れたり、解約にてこずって結局払い続けたりするケースもザラにあります」
加入後は紙の利用明細で「どぶ捨て銭」がないかチェック
そもそも、安さに惹かれている時点で、サブスクの利用を検討すべき、と橋本さん。
「対象の商品やサービスにはあまり必要性や思い入れを感じていないこともあるでしょう。そうなると、解約忘れどころか、サブスクに加入している事実すら忘れてしまいかねません。
こうした『解約忘れ、加入忘れ』による無限自動引き落とし地獄から脱却する術は、ただ一つ。クレジットカードで払っているのであれば、クレジットカードの利用明細をマメにチェックし、『お金をどぶに捨てている』事実を目の当たりにすることです」
ネットで利用明細を見られる人は、意外と確認を怠ったり、確認してもスマホの小さい画面に並んだ細かい明細を見落としてしまいがち。そんな人は、紙の明細でチェックすることが効果的でしょう。
加入前は「安さに釣られていないか」を自問し、解約手続きがスムーズにできるかもチェック。加入中は、クレジットカードの紙の利用明細を見てサービスを使い切れているかを確認。加入前後の3つのチェックで、今年こそ「サブスク浪費」を断ち切りたいいものです。
◆教えてくれたのは:マーケティング&ブランディング・コンサルタント・橋本之克さん
昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店、日本総合研究所での勤務を経て、現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。著書に、『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』などがある。