食べ物や歩き方、運動、生活習慣、食べ方、睡眠などで、体や肌、見た目年齢に大きな差がつくとわかったら、ぜひとも若さを保てる習慣を身につけたいですよね。そんな若返り習慣を唱えるのは、寿命制御遺伝子の分子遺伝学を専門とする医師・白澤卓二さん。話題を集める著書『「一生老けない」にいいこと超大全』(宝島社)から、気になる老化防止メソッドを教えてもらいました。
「粗食が健康的」に根拠なし?筋肉も血管も老けるリスクあり
日本では「粗食」が健康の秘訣という考えが浸透していますが、白澤さんはこの「粗食=健康」に警鐘を鳴らします。
「日本においては粗食が長生きの秘訣と信じられていて、ごはんとみそ汁、漬物やおひたしといった質素な食事をとる高齢者も少なくありません。粗食にすることで、成人病や心臓疾患、脳梗塞、高血圧にもならず長生きできると信じているのだと思いますが、まったく科学的根拠のない、いわば都市伝説です。
このようなメニューを検証すると、たんぱく質や脂質が極端に少ないことがわかります。さらに、低栄養であるにもかかわらず、塩分は高め。おすすめできない食事です」(白澤さん・以下同)
若々しくいるためにはたんぱく質も脂質も大切
たんぱく質と脂質が不足した粗食は、筋肉や血管を老化させてしまう危険もあるそうです。
「たんぱく質が不足すると、貧血や免疫力の低下が起き、活動に必要な筋肉の量も減っていきます。脂質は皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられていますが、必要なときに使われるエネルギーとなり、細胞膜やホルモンの原料になる、必要不可欠な栄養素です。ですから、よかれと思って食べていた粗食メニューは、それらたんぱく質や脂質が不足していて、塩分が多く、筋肉が減って老けて見えてしまう可能性がある。
それだけではなく、高血圧や血管の老化を招き、脳卒中の原因ともなりうるのです」
コレステロール値は大丈夫?「卵」は1日1個に制限する必要なし
コレステロール値が高くなるからと、1日1個程度にセーブするのがいいとされてきた卵ですが、現在は、「1日1個」説は崩れてきたそうです。
「卵黄に含まれるレシチンによって、コレステロールが血管壁につくのを防ぐことがわかってきました。ですので、卵はコレステロール値が高くなるからとセーブする卵の『1日1個』説は、現在ではあまり強調されていません。とはいえ、高脂血症や脂質異常症の人はとりすぎに注意が必要です」
◆教えてくれたのは:お茶の水健康長寿クリニック院長・白澤卓二さん
お茶の水健康長寿クリニック院長。医学博士。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。著書は200冊を超え、テレビ番組にも多数出演。わかりやすい医学解説が評判。今年3月、肌、髪、体に関する100の若返り習慣を紹介した著書『「一生老けない」にいいこと超大全』(宝島社)を出版。https://ipma.jp/lecturer/sirasawa/