
今や「時短家電の必需品」とされている、食器洗い乾燥機。食べ終えた食器や調理器具を庫内に並べ入れ、洗剤を入れ、ボタンを押すだけで洗浄、すすぎ、乾燥まで完了。「もっと早く買えばよかった!」という購入者が後を絶たない人気家電です。ただしこの食洗機、食器を入れる前に「予洗い」すべきかどうか迷う人も…。家電ライターの田中真紀子さんに、予洗いの必要性の有無、そもそも予洗いとは何かもあわせて、教えてもらいました。
その食器、食洗機対応?
まず食洗機に食器を入れる前にすべきことがあると、田中さん。
「大前提として、洗いたい食器や調理器具が食洗機対応のものかどうかをチェックする必要があります。最近は食洗機で使える食器や調理器具も増えているため、つい何でも入れてしまいたくなりますが、繊細な高級ガラス食器やアルミ食器、漆器、メッキ、耐熱温度90℃未満の食器はNG。変色や変形などの原因になります。
ただし最近は、炊飯器の内釜や内蓋、ミキサーのブレード以外のパーツなど、食洗機対応のものも増えています」(田中さん・以下同)
手洗いの頻度を減らしたい人は、今後食器などを買う際、食洗機対応のものを選ぶといいでしょう。
残さいの除去、水のつけおきも
次にすべきことは、食器に残った食べ残し(残さい)などを取り除くこと。
「残さいを除去してから食洗機にセットします。残さいが食器についたままだと、それが洗浄過程で庫内の残さいフィルターに溜まり、ニオイや詰まりの原因になります。食洗機使用後はお手入れも忘れずに行いましょう。なお、あらかじめ予洗いしたり、水につけておくと、こびりついた汚れも落としやすくなります」
水のつけおきは、食べ終えてすぐ行えば、より汚れも取りやすくなります。また、水につけながら残さいを取れば一石二鳥に。
予洗いで洗剤を使うのはNG
この「予洗い」の必要の有無や程度は、人によって解釈が分かれがち。どんなときに予洗いが必要で、どこまで洗うべきなのでしょうか。

「そもそも予洗いはマストではありませんが、油がべったりついたものや焦げ、ご飯粒が固まったものは、食器の並べ方によっては水流がしっかり当たらず、落とし切れない場合も。予洗いで落としておくと安心です。といっても、本格的に洗うわけではなく、スポンジでこびりつきをサッと落とす程度でOKです。
逆に食器用洗剤を使ってしまうと、食洗機内で異常に泡立ってエラー停止してしまう可能性があるため、しっかりすすがなければなりません。したがって、予洗いでは洗剤を使わないほうが無難です」
お箸や包丁の刃は、汚れのついた側を下向きに
「食洗機の汚れ落ちのよさを実感できていない人向けのメッセージとして、食器の並べ方を見直してみるといいかもしれません。食洗機は、庫内の下から水流が噴射され、食器の汚れを洗い流しますので、この水流が食器すべてに当たる並べ方を意識しましょう。
具体的には、お皿などの立てて並べる食器は汚れを内側に向け、コップは口を下向きにします。またお箸や包丁の刃も、汚れのついた側を下向きにします。ぎゅうぎゅうに詰め込むと食器が重なってしまい、水流が当たらない部分が出てしまうので、汚れが落ちない原因になります」
手洗いで水道を使うのは「すすぎ」のとき
ここで疑問が。食洗機は「節水になる」と謳っていますが、予洗いすると結局水道を多く使うことになるのでは…?

「そもそも食洗機を使うと、手で洗うより大幅に節水できます。一例として、5人分の食器を手洗いした場合に使用する水の量が75Lであるのに対し、パナソニックのファミリー向け食器洗い乾燥機『NP-TZ300』で洗えば約11Lと約6分の1。1日に2回使った場合、1年で約1万6400円の節約になるといわれています。さらに高濃度の洗剤を使い高温で洗うので、手洗いよりきれいに洗えますし、手を動かす時間も大幅に減らせるので、食洗機を使うメリットは大きいと思います。
また、食器洗いでもっとも水を使うのは、洗剤をすすぐとき。洗剤を使わず汚れをサッと落とす予洗いで使用する水量は微々たるものです。気になる人は、溜めた水の中で落とすといいでしょう」
最後に、田中さんおすすめの食洗機を2点、紹介してもらいました。
【1】パナソニック『食器洗い乾燥機NP-TZ300』

洗浄力や除菌に強い、パナソニックの食洗機シリーズ。こちらはファミリータイプ向けのハイモデルです。
ガンコな汚れの洗浄・除菌に強く、”まとめ洗い”もできる食洗機
「上下や背面の4つのノズルから出る高圧水流の『ストリーム除菌洗浄』により、グリルやカレー鍋などのガンコな汚れもすっきり洗浄するほか、50℃以上のお湯で除菌も可能。また、洗っていない食器を長時間庫内に入れておくとニオイや雑菌が気になりますが、独自イオン『ナノイーX』を含んだ風を送ることで、ある程度たまってからの“まとめ洗い”もできます」
【2】アクア『食器洗い乾燥機 ADW-L4』

こちらは、今年9月13日発売の新モデル。
4方向から高圧水流を噴射し汚れを弾き飛ばす
「上段・中段ノズルと、360度回転する2カ所の下段ノズル、計4つのノズルから高圧水流を噴射するため、さまざまな方向からアプローチして汚れを弾き飛ばします。さらにすすぎ時には最高75℃の温水で洗浄することで、食器をしっかり洗い上げながら除菌も可能。少ない水をためて循環させながら洗うため、使用水量は5人分相当の食器なら手洗いの約1/7と大幅節水も実現しています」
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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