「糖質をとりすぎない食生活」が目にもいい
従来、生活習慣病と呼ばれてきた病気や、がんさえも、昨今は「酸化」「糖化」「炎症」との関係が熱心に研究され、新しい情報が次々と明らかになっています。
そして目の衰えや病気も例外ではなく、「酸化」「糖化」「炎症」と関係しています。ですから、一般的に生活習慣病を防ぐとされる食生活が、目の健康をまもることにもなるのです。
とくに私が重要視するのは、糖質のとりすぎと、血糖値スパイクによる血管への負担増です。これが糖尿病に限らず、血管や血流に関係するさまざまな病気をまねく原因になると思います。
とくに現在、高血糖などではないとしても、日々の食生活で糖質をとりすぎないように気をつけることは健康づくりに通じるでしょう。というのも、忙しかったり、疲れていたりすると、ついつい糖質が多いお手軽食に偏ってしまいがちだからです。
菓子パンやおにぎりだけ。急いでいて、とりあえず麺類でお腹いっぱいに。ごはんを食べる時間がないからスナックと炭酸飲料で空腹をまぎらわす。
若い人だけではなく、中高年も、食事に意識的でないと、そのような食生活になることはあります。
こういった食事ではビタミンやミネラル、食物繊維、そしてカロテノイドなどのファイトケミカルがほとんどとれません。「時間がない」と感じていて、手早く済ませたいわけですから、よく噛まずに食べる。これも良くないですね。
そのような毎日が続くと、疲れがたまっていきます。ストレスも強く、より糖質の多い食べものを欲する負の連鎖におちいる危険もあります。目にも、全身にも負担になる食生活です。
ぜひ、バランスの良い、満足感の高い食生活をめざして、食事の時間をしっかりとり、食べることで体を養っていることを忘れず、大切に食べてください。それが生活習慣病を防ぎ、100年視力をかなえます。
◆教えてくれたのは:眼科専門医・深作秀春さん
神奈川県横浜市生まれ。眼科専門医、深作眼科院長。米・独で研鑽を積み、白内障や緑内障などの近代的手術法を次々と開発。米国眼科学会理事を務め、眼科殿堂選考委員、学術賞審査委員などを歴任。それまで不可能とされた眼病の新しい治療法の開発や、多くの革新的眼科手術法の開発により、国際眼科学会最高賞を20回受賞。2017年には、世界最高の眼科外科医に贈られる「クリチンガー・アワード」の、欧米以外の医師では初めての受賞者となった。現在は世界最高のスーパードクターとして25万件の手術実績を有し、日本中だけでなく世界中から患者が治療を求めて来院する。他方でプロ芸術家でもあり、多摩美術大学大学院を修了し、日本美術家連合会員という画家としての一面もある。