健康・医療

《世界中から患者が絶えない眼科医が指南》「目の寿命」を伸ばすには、糖質をとりすぎない食生活がカギ

目の機能を高める栄養

私たちは「食べる」ことで体を養い、さまざまな機能をはたらかせて生きています。

まず「目」を主として何を食べたらいいか、科学的根拠がある「栄養になる食」について、ご紹介しましょう。

野菜と果物
科学的根拠がある「栄養になる食」とは(Ph/photoAC)
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目の「黄斑部」は、見るはたらきの中心になる「網膜の中心部」を含む、文字どおり黄色い部分です。

この色はカロテノイドと呼ばれる、黄色または赤色の色素成分です。強い抗酸化作用をもっている色素で、人の体の中で合成されることはないですが、動植物に広く存在するので、私たちは食べて取り込んでいます。

網膜の中心にはカロテノイドの一種・ゼアキサンチンが多く、黄斑部の周辺には同じくカロテノイドの一種・ルテインが多く集まり、黄斑部を酸化からまもってくれています。また、この色素はブルーライトの吸収もして、網膜をまもります。

ゼアキサンチンやルテインを豊富に含む食材を食べれば、消化された後、小腸から色素が吸収され、血液を通じて黄斑部に集まるわけです。

豊富に含まれる食材は、ゼアキサンチンの場合は「クコの実」「トウモロコシ」「パプリカ」「ホウレンソウ」、ルテインは「コマツナ」「モロヘイヤ」「ケール」「ホウレンソウ」など。ゼアキサンチンとルテインはともに緑黄色野菜に豊富と覚えておくと重宝です。

ぜひ緑黄色野菜を食卓に登場させる回数を増やしましょう。

また、魚介類から赤い色素・アスタキサンチンをとるのも網膜の抗酸化・活性酸素の除去に役立ちます。イクラやサクラエビ、サケ、ロブスターなどの“赤”がこの色素の色です。

アスタキサンチンは、黄斑変性のほか、光害や免疫異常で起こる「ブドウ膜」の炎症を抑え、ブドウ膜の一部で、水晶体の厚みを変化させる「毛様体」の疲労を回復させる効果も報告されています。

お刺身の盛り合わせ
魚介類から赤い色素・アスタキサンチンをとるのも網膜の抗酸化・活性酸素の除去に役立つ(Ph/GettyImages)
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さらに、脂質は網膜にある視細胞(錐体細胞や桿体細胞)をまもることがわかっています。

とくにとりたいのは、青魚に豊富なEPAやDHAなどのオメガ3系脂肪酸。ひところ血液をサラサラにし、抗酸化・抗炎症作用があると大きなブームになりました。

みなさんに周知されたからでしょうか、最近、あまり話題にはなっていませんが、良質な脂質をとることは目にとっても大事です。

全身の血行改善、血管や血流の問題と関係が深い生活習慣病予防などに良い脂質なので、目のためにもぜひオメガ3系脂肪酸をしっかりとっていきましょう。

青魚のEPAやDHAは缶詰の加工品からも手軽にとることができます。

また、オメガ3系脂肪酸は植物性の油にもあります。アマニ油やエゴマ油がよく知られているでしょうか。ただし熱には弱いので、植物性油の場合、低温圧搾の品を選ぶことが大切。また食べるときも熱を加えない食べ方をしましょう。

緑黄色野菜の色素は、油と一緒に食べると吸収がよくなります。ホウレンソウやパプリカのサラダに、青魚の缶詰をトッピングしたり、アマニ油をドレッシングでかけたりして食べれば、手間いらずの一石二鳥レシピですね。コマツナのおひたしに、エゴマ油ドレッシングもいい。こういった手軽な組み合わせを楽しみながら、飽きない副菜メニューを増やして食べましょう。

食事だけで栄養をとりきれないとき、サプリメントや栄養補助食品を活用するのも良いでしょう。