生前整理や老後整理に賛成しない理由
吉川さんは、注目され続けている「片付け」に対して、思うことがあるそうです。
とくに、生前整理や老後整理としてモノを処分することに、「ちょっと賛成できない」と話します。それはなぜなのでしょうか?
思い出の品は自分の一部のようなもの
何の思い入れもないただのゴミや、いらないものを捨てて整理整頓することは必要、子供や親戚に余計な手間をかけさせないための配慮も大事だといいますが、古くても使わなくても、「思い出のある大切な品々を簡単に捨てられるわけがない」というのが、その理由。
「大切なものまで無理して捨てる必要なんかない。『迷惑をかけるから、捨ててしまおう』なんて考えなくていい。それは、自分がいなくなってから、誰かにやってもらえばいいんです」
母や息子の思い出の品など大切に思うモノは、吉川さんにとって、「ただのモノじゃなく、もう自分の一部みたいな気がする」のだそうです。
本当に捨てるべきなのは心
「自分が大事だと思ったら、古着でも紙切れでも宝物です」と語る吉川さんは、こう続けます。
「1年以上使わなかったものは、役に立たないもの、今の自分に必要ないもの、だから捨ててしまいましょう、みたいな話もあるようです。でも、役に立つかどうか、使うかどうかだけで割り切れないものもたくさんあると思います。使わないけど、なんとなくもったいない、使ってないけど、捨てる勇気がないものだったら、無理して捨てなくてもいいと思うの」
そして、本来捨てるべきなのは、モノではなく心だと吉川さん。
「古くなった物品より、積年の恨みつらみや誰かを責める心を捨てたほうが、ずっと風通しよく心豊かに暮らせるじゃないですか」
人から嫌な目にあわされたり、苦しい思いをさせられたりした、という心の澱(おり)を手放すことが、老後を健やかに迎えることにつながるといえそうです。
◆教えてくれたのは:吉川幸枝さん
よしかわ・さちえ。愛知県出身。株式会社よし川代表取締役社長。歯に衣着せぬトーク力と数々の大きな宝石を身にまとうスタイルで『¥マネーの虎』をはじめ、多くの番組に出演。メディアで人気者になり、「歩く百億円」と呼ばれるように。現在88歳ながら、骨年齢20歳、臓器年齢20代前半、血管年齢子ども、髪ふさふさ、虫歯なしの体で現役社長として活躍している。