片足立ちでバランス感覚と骨強度を高める
ゆるスクワットと一緒に取り組むことを上月さんがすすめる、もう1つの運動が「ゆっくり片足立ち」です。スクワットのようにダイレクトに筋力アップを促すものではありませんが、足や背中といった多くの骨を筋肉と一緒に鍛えることができます。
「なんとたった1分間の片足立ちをするだけでも、じつに53分間もウォーキングしたときと同じだけの骨負荷がかかることがわかっています」
5cm浮かせるだけで効果あり
「ゆっくり片足立ち」では、トレーニングのように高く足を上げる必要はありません。地面から5cmほど足を浮かせるだけでも骨に対しては十分な効果が見込めます。
「ふらつきがある人はバランス感覚を養うことで転倒防止の効果も見込めますし、骨の強度を上げることで骨粗しょう症の予防にもつながるでしょう」
「ゆっくり片足立ち」のやり方
「ゆっくり片足立ち」はしっかりと両目をあけ、胸を張って背筋を伸ばした状態で行いましょう。
【1】右手で椅子の背や手すりにつかまり、しっかりと両目をあけた状態で自然に立つ
【2】右足を床から5cmほど浮かせ、そのままの状態で1分間キープさせる
【3】左手で椅子の背や手すりにつかまり、しっかりと両目をあけた状態で自然に立つ
【4】左足を床から5cmほど浮かせ、そのままの状態で1分間キープさせる
「スクワットと片足立ちは朝・昼・晩の3回を目安に、ながら運動でもいいので日常のルーティンに組み込み、お風呂やトイレと同様に毎日の日課としましょう」
◆教えてくれたのは:医師・上月正博さん
こうづき・まさひろ。東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長、医学博士、日本心臓リハビリテーション学会名誉会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年東北大学医学部卒業。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とし、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」を2018年に、「日本腎臓財団功労賞」を2022年に受賞。著書に『医師がすすめる自力でできる弱った心臓を元気にする方法』(アスコム)など。