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【パリ五輪開幕直前】ゆず『栄光の架橋』大黒摩季『熱くなれ』…オリンピックの歴代テーマ曲の“隠れた名曲”は「島谷ひとみ」、2024年はどんな注目曲が?

テレ東のアテネ五輪テーマ曲に仰天した

『栄光の架橋』は殿堂入りとして、オリンピックソングとして知られる名曲は他にも数多ある。

インパクトが強かったのは、1996年アトランタ五輪のNHKテーマソング『熱くなれ』。大黒摩季さんのハリのある歌声は、テンションを天井知らずに上げてくれた。エキサイティングなサビのあとに来る「熱くなれ!(キリッ)」の締めのカッコよさよ。どの部分をどう使っても、夏の暑さに負けず競技に打ち込む選手たちにハマった。なにより「熱くなれ」という言葉は、私の中でシンプルイズベストタイトル賞。選手にプレッシャーを与えず、しかし最速で心に届くエールだ!

大黒摩季『熱くなれ』(1996年)は「選手にプレッシャーを与えず、しかし最速で心に届くエール」
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上質のエネルギーがエモーショナルに放出されるような安室奈美恵さんの『Hero』(NHKの2016年リオデジャネイロ五輪テーマソング)も素敵だった。JOC(日本オリンピック委員会)公式の2000年シドニー五輪テーマソング『水・陸・そら、無限大』も今聴けば、しみじみしていい曲である。歌っていたのは19(ジューク)。心にストンと落ちてくるとてもピュアな感じが素晴らしい。

仰天したのが、島谷ひとみさんの『Z! Z! Z! −Zip! Zap! Zipangu!−』である。テレビ東京の2004年アテネ五輪のテーマソングだったらしいが、当時聴いた覚えがない。テレ東のオリンピック中継を見ればよかったと地団太を踏みたくなるほど、名曲である。

彼女が叫ぶ「進め」「届け」「つかめ」の“夢追い3ステップ”は、血沸き肉躍り泣ける! 螺旋を描くように伸びる、島谷さんの健気な声が、勝利の女神っぽくて素晴らしい。魂の鼓舞力が凄まじく、私はこの曲をきっかけに、現在彼女のシングルを追いまくっている。

オリンピックが島谷ひとみブームを連れてきた。思わぬ贈り物である。

テレ東のアテネ五輪テーマ曲だった島谷ひとみ『Z! Z! Z! -Zip! Zap! Zipangu!-』は隠れた名曲
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歌われるのは「自分との戦い」

さて、2024年のオリンピックソングも名曲だらけである。三浦大知さんが書き下ろしたJOCのTEAM JAPAN公式応援ソング『心拍音』のハイトーンは大迫力! 三浦さんは“重力が仕事をしない男”として有名だ。ダンスも歌声も、どこまででも高く飛んでいく。

テレビ朝日系はMrs. GREEN APPLEの『アポロドロス』。エキサイティーング! 緊張とプライドという2大エネルギーで紡がれた交響曲のようだ。オリンピック選手の名プレーがこの歌に乗って流れると思うと、最高にワクワクする。

TBS系はサザンオールスターズ『ジャンヌ・ダルクによろしく』。粋。爽やかさだけでなく、ドロッとした野心を感じるのがサザンらしい。

まもなく五輪が開幕する(エッフェル塔前に置かれたカウントダウンボード。時事通信フォト)
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NHKはYOASOBIの『舞台に立って』。YOASOBIは人の心が読めるのだろうか、と思えるほど「憧れの舞台に立つ」嬉しさと戸惑いが歌われ、心にグッとくる。

日テレ系はMISIAの『フルール・ドゥ・ラ・パシオン』。スケールの大きさが規格外。オリンピックは世界の祭典どころか宇宙の祭典にすら感じるほど壮大だ。

フジテレビ系は菅田将暉の『くじら』。応援歌とはまた違う、自問自答、プレッシャーを前に出した感じの、新感覚オリンピックソングである。

どのオリンピックソングも、歌われるのは、圧倒的強さではなく、むしろ自分との戦い。挑戦する人が向き合っているのは、ライバルだけでなく、自分。だからカッコいいのだろう。

今から名プレー、神記録が楽しみである。名曲とともに応援しよう!

◆ライター・田中稲

田中稲
ライター・田中稲さん
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1969年生まれ。昭和歌謡・ドラマ、アイドル、世代研究を中心に執筆している。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)、『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)がある。大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。新刊『なぜ、沢田研二は許されるのか』(実業之日本社刊)が好評発売中。他、ネットメディアへの寄稿多数。現在、CREA WEBで「勝手に再ブーム」を連載中。https://twitter.com/ine_tanaka

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