9月は3連休が2回あり、また気候的にも屋外も楽しめる、旅にはもってこいの季節。今回は、旅行ジャーナリストの村田和子さんが、夏の疲れを癒す秋旅を提案。「自然×アート」で心身を癒す旅や、秋の味覚や陶芸に没頭する旅など、もりだくさんで紹介する。
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あっという間に9月。今年の夏休みは、猛暑に加え、南海トラフ臨時地震情報や記憶に新しい台風10号の影響など、気持ちが張りつめて「疲れた」というかたも多いのでは? 気候もよくなる秋こそ心からリラックスしたいもの。自然や文化に触れながら、没入型でのんびりと、あるいはちょっとアクティブに旅をして、心身のメンテナンスをしましょう。夏の疲れは早めに解消! 秋におすすめの癒し旅をご紹介します。
兵庫県・神戸~自然×アートで心身を癒す!現代アートの芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」も開幕
神戸といえば港町のイメージですが、実は山も見どころが多いのです。標高931mの六甲山は、神戸や大阪湾を一望でき、牧場や魅力ある観光施設が点在する関西では有数の観光エリア。ケーブルカーやバスなど公共交通機関も充実しているので、手軽に大自然や絶景にアクセスでき、観光も楽しめます。
現在、そんな六甲山を舞台に、現代アートの祭典芸術祭「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が開催されています(11月24日まで)。美しい自然と融合した現代アート作品が、主要な観光スポットやトレイルルートなどに展示され、いつも以上に魅力ある空間に。パスポートを購入してアート鑑賞を目的に訪れるもよし、屋外型の作品の中には、無料で鑑賞できるものもあり、観光をしながらアートに触れるのもいいでしょう。
特に私がおすすめしたいのが、六甲山の澄んだ空気の中、トレッキングをしながらアートを楽しめるトレイルエリア。気軽に登山やトレッキングができるとして関西を中心に人気の六甲山。その一部、観光スポットをつなぐトレイルルートにアート作品が展開されています。初心者でも楽しめる緩やかなコースなので、秋に紅葉を楽しみながら散策をしてみるのもいいのでは? ただし足元は山道なのでスニーカーやトレッキングシューズなど、歩きやすい靴ででかけましょう。
また、9月21日~11月24日の土日祝の17時からは、ROKKO森の音ミュージアム、ならびに六甲高山植物園を舞台に「ひかりの森~夜の芸術散歩」を開催。夜景も有名な六甲山、夜に訪れるとまた日中とは違う魅力に出会えます。ちなみに、夜も運行しているケーブルカーなど公共交通機関でも楽しめます。
鑑賞パスポート(有料会場に期間中各1回入場可能)は、大人WEB割2900円、当日券3000円で販売中。会場が多く、すべてを一日で見るのは難しい規模。滞在型で楽しむか、会場を絞ってみるなど計画をされるといいですね。また公共交通機関で六甲山へアクセスする場合は、お得なセット券などもあるので利用も検討を。
■神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond https://rokkomeetsart.jp/about/
■神戸・六甲山 公式おでかけサイト https://www.rokkosan.com/top/
茨城県・笠間~秋の味覚「あれ」を楽しみ、陶芸に没頭する
焼き物の町として知られる茨城県笠間市。JR上野駅から常磐線の特急利用なら1時間半ほどで到着します。駅からは見どころをまわる周遊バスがある、お天気がよければレンタサイクルで回るのもいいですよ。
笠間に訪れたのなら、外せないのが「笠間芸術の森公園」。広大な園内には子どもから年配のかたまで楽しめるさまざまな施設がありますが、私のおすすめは29名の陶芸作家による17の作品がヒノキの森に置かれ、散策が楽しい「陶の杜」。そして「笠間工芸の丘」で開催される、手びねりやろくろの陶芸体験。公園内には笠間陶芸大学校もあり、
また笠間は栗の栽培面積が全国一位の栗の産地。市内には栗料理や栗のスイーツなどのお店も多く、お土産も豊富。ぜひ秋の味覚である栗も味わってくださいね。私が訪れたのは笠間稲荷神社の門前にある「庭カフェKULA」。お食事のプレートも、栗のデザートもどれも美味で、器も地元の笠間焼の作家さんが作られたといい、目でも舌でも楽しめます。
私は時間がなく足を延ばせなかったのですが、国内外の名画を多く所蔵する笠間日動美術館もアート好きにはよさそうです。分館「春風萬里荘」は、北大路魯山人が住居としていた建物を移築したもので、中には魯山人の遺作が展示され、京都龍安寺を模したという石庭も見事だとか。他にも秋の一日を過ごすのにぴったりなスポットも多いので、ぜひお好みをチェックしてでかけてみては?
■笠間観光協会 https://kasama-kankou.jp/
沖縄県・竹富島~のんびりと島時間に身を任せ心と体を開放する
沖縄の石垣島の離島ターミナルから船で約10分。珊瑚礁が隆起してできた小さな島「竹富島」は、周囲9.2kmの小さな島に、沖縄の伝統的な町並みが残る人気の島。石垣島から日帰りで訪れるかたも多いのですが、昼は人も多く賑やかで店には行列ができることも。
私のおすすめは、竹富島内に宿泊し、どっぷりと島時間に身をゆだねて過ごすスタイル。早朝、だんだんと目覚める島の様子から始まり、石垣島と結ぶ最終の船が終わった夕刻には、島人がどこからともなく集まり「ゆんたく(沖縄の方言でおしゃべりの意)」する浜辺でサンセット見て、夜は満天の星を眺める……プライスレスな時の流れは、島に滞在したからこそ味わえます。
「星のや竹富島」は、島独特の赤瓦の伝統家屋に白砂の路地など、竹富島の昔の町並みを踏襲したリゾートホテル。客室の縁側に腰掛けて、鳥のさえずりをきき、風に揺れる色鮮やかな花や、流れる雲をのんびり見上げたり、ラウンジで泡盛をいただきながら三線の演奏に耳を傾けたり。非日常をとことん堪能できます。
夕食は八重山ならではの食材をフレンチで仕立てた「島テロワール」がテーマ。食事をしながら島の生活や人々へと思いが巡ります。珊瑚の島は作物が実りにくく独自の畑文化があるといいます。近年衰退しつつある島の畑文化を次世代へ継承すべく、リゾートの一角には地元のかたと取り組んでいる「畑」もあるのだとか。散策がてら立ち寄ってみるのもいいですよ。
食後は、プールサイドで、星空を眺めながら深呼吸。地平線近くまで星がある様は、天然のプラネタリウム!ちょっと不思議な感覚です。体の隅々まで酸素が行き渡ると肩の力が抜けて、なんともいえない心地よさ。
大切な人と一緒にのんびりと、あるいは贅沢にひとりで訪れるのもおすすめです。
■竹富島観光協会 https://painusima.com/modelcourse_taketomi/
■星のや竹富島 https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyataketomijima/
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん
旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年より7年間、NHKラジオ『Nらじ』月一レギュラーを
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