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「すぐに言い訳をしてしまう」「涙もろい」…東洋医学で読み解く心の不調、鍼灸師が解説

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「すぐに言い訳をしてしまう」…心の不調を東洋医学で読み解く(写真/イメージマート)
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病院に行くほどの症状ではないものの、何とかしたい体にまつわる悩みに加え、心の不調も読み解けるという東洋医学。『謎の症状』の著書もある予約のとれない人気鍼灸師・若林理砂さんに、中国4000年の歴史による医学古典を基に、よくある悩みと解決法を解説してもらった。

心の不調も東洋医学で読み解ける

「東洋医学では、気・血・水という観念があり、いずれかに過不足が生じて調和が崩れたり、巡りが滞ると心身のバランスが崩れて不調や病気になると考えられています」と説明する鍼灸師の若林さん。心の不調も東洋医学で読み解けるという。

心の問題は、「五臓」(肺・心・肝・脾・腎のことで、気・血・水など体に必要なものを生成し、ためる働きを持っている)のバランスの乱れで発生する。何かが強すぎると爆発し、弱すぎると気持ちが落ち込むのだ。

次からは、よくある悩みを解決法とともに紹介する。

【悩み1】「すぐに言い訳をしてしまいます」

「小さい頃から、失敗するたびに謝るよりも言い訳ばかりしてきました。反射的に言い訳をする癖を止められますか?」(主婦・52才)

【回答1】脾虚+肝実の不調を整えれば改善できます

「すぐ言い訳する人は愚痴っぽい人でもあり、『脾虚』と『肝実』という不調を抱えていると考えられます。

東洋医学では、五臓から感情が発生すると考えられており、『肝実』の“肝”は怒る、『脾虚』の“脾胃”は思い悩む感情の源と考えられています。

『肝気』がたまると外側に向かっていく爆発力があるため、言い訳や文句を言って発散させようとしますが、これに『脾虚』が加わると、思い悩む弱さが発生。言い訳をしながら愚痴る状態になるのです。

この状態から抜け出すには、まず『脾虚』を改善すること。もし糖質過多の食生活をしていたら、そこから改善しましょう。言い訳に怒りっぽさが加わっているなら、ラジオ体操でもいいので体を動かして、肝気の滞りを解決しましょう」(若林さん・以下同)

【悩み2】最近、涙もろくて困ります

「お涙頂戴的な映画やドラマはもちろん、小さな子が頑張って何かをしているのを見るだけでも涙が出ます。『年を取ると涙もろくなる』というので仕方がないのでしょうか。それとも私は病んでいるのでしょうか?」(無職・70才)

【回答2】涙や尿の漏れは漢方薬で改善できます

「東洋医学の古典にも年を取ると涙もろくなるという記述があります。体の中のいろいろなものをためておく力が失せていくらしいんですね。これは『腎虚』といって、腎臓の機能が低下した状態。涙だけでなく、尿も、よだれも、さまざまな液体が漏れやすくなります。

涙や尿の漏れは漢方薬で改善
涙や尿の漏れは漢方薬で改善(イラスト/いしやま暁子)
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いままではこらえられていた涙が、すぐにダーッと流れるようなら腎虚の治療をすることで改善される可能性があります。腎虚に適応する漢方薬には『八味地黄丸』や『六味地黄丸』があります」

【悩み3】人の気持ちに共感しすぎて疲れます

「空気を読みすぎて、人の気持ちが自分の中に入ってきてしまい、毎日疲れます」(パート・53才)

【回答3】1対1で行う競技を学ぶか、漢方薬で対応する

「相手に共感することを最優先にして、自分のやりたいことや気持ちを後回しにしているのですから、疲れるのは当たり前です。

東洋医学的視点とは異なりますが、1対1で対戦する競技や武術、対人格闘技などを学ぶことをおすすめします。なかでも、ブラジリアン柔術やカポエイラがよいと思います。

これらの対戦スポーツは、攻撃を予測するために相手の考えを察知しつつ、自分の身を守りながら攻撃を仕掛けるスキルが必要になります。相手の出方ばかりをうかがっていては勝てませんから、共感一辺倒から脱する訓練につながりますよ。

漢方薬なら『玉屏風散』が使えます。服用することで他人の気持ちに影響されにくくなると思います」

【悩み4】話そうとすると、せき込みます

「風邪をひいているわけではないのに、人前で話し始めるとせき込みます。のど飴をなめたり、飲み物を飲んだりしてみましたが、あまり効果は感じられません」(公務員・48才)

【回答4】肺の経絡にある経穴を刺激して緩めましょう

「緊張が高くなる場面でせきが出るのは、チック症状や吃音と同様にストレスによるものと考えられます。リラックスしてちゃんと呼吸ができる状況を作らなくてはいけませんが、肺の経絡上にある『中府』『雲門』という2つのツボを刺激するのもいいですね。

肺の経絡にある経穴を刺激
肺の経絡にある経穴を刺激(イラスト/いしやま暁子)
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ふだんから浅い呼吸をしている可能性があるため、5分間ランニングをして息が上がった状態で、背中側まで空気を入れ込むように意識して大きく呼吸をする訓練をすると、深い呼吸ができるようになり、せき込む確率が下がります」

西洋医学では治療の対象にならない症状も、東洋医学の知識を用いれば、「未病」のうちに改善できることがあるのはありがたい。ただし、体質や生活習慣によって、適応する漢方薬は異なるので、東洋医学外来などに相談してみて。

◆教えてくれたのは:鍼灸師・若林理砂さん

鍼灸師・若林理砂さん
鍼灸師・若林理砂さん
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1976年生まれ。2004年にアシル治療室を開院。予約のとれない人気治療室となる。古武術を学び、現在の趣味はカポエイラとブラジリアン柔術。

出典:若林理砂『謎の症状 心身の不思議を東洋医学からみると?』ミシマ社,2024

取材・文/山下和恵 イラスト/いしやま暁子

※女性セブン2024年10月17日号

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