筋肉が熱を生み、体を温める
食事だけでなく、日々の生活習慣でも体温を上げることができる。体を温めること以上に大切なのは、「冷やさないこと」。1位は「湯舟につかる」。
続いて2位には「足元やお腹を温める」がランクインしたが、これはすなわち冷えから守るということだ。医学博士の佐野こころさんが言う。
「お腹には内臓や太い血管があり、お腹が冷えていると体は末端の熱を中心部に集めようとして、結果的に手足の血行が悪くなります。腹巻きやカイロを使って、お腹を冷やさないようにすることで、全身の冷え症の改善が期待されます」
管理栄養士の金丸絵里加さんは首回りにも注意を払う。
「風が強い日など首回りが冷えると、筋肉が緊張して肩こりや頭痛の原因になります。マフラーやネックウオーマーを効果的に使用して冷えを防ぎましょう」
ただし過度の「温めすぎ」にも注意しよう。
「手足の末梢血管を温めすぎると、体は冷やそうとするスイッチが入り、余計に末端が冷えてしまうケースもあるため、靴下を何枚も重ね履きするなど過剰な温めは避けて」(清水さん)
外側からだけでなく、内側からの冷え予防も欠かせない。「胃腸を冷やすと体の中心温度が下がり、冷えの原因となる」(佐々木さん)ため、5位につけた「温かい飲み物を飲む」、12位の「体を温める食べ物を摂る」ことも意識したい。
「冷えたスムージーやビール、アイス、生野菜など体を冷やす食品ばかり摂ると内臓が冷えてしまいます。体を温める食品や旬の食材をバランスよく取り入れてほしい」(川崎さん)
3位には「運動」、7位には「筋トレ」、9位には「ウオーキング」、10位には「ストレッチ」と、体を動かす習慣がいくつも挙げられた。共通して重要視されているのが、筋肉を動かし、筋肉量を増やすことだ。
「根本的に冷えをなくすためには運動は欠かせません。筋肉が体温の40%を作るので、女性に冷え症が多いのは、男性に比べて筋肉が少ないからといわれています。マッチョになる必要はありませんが、筋肉量を保ち、増やす努力はしてください」(石原さん)
川崎さんも指摘する。
「体温などを維持するためには基礎代謝が大きくかかわっており、基礎代謝は1日のエネルギー消費量の約60%を占めています。この基礎代謝のうち約22%が筋肉で消費され、熱を作り出すため、筋肉量が減ると冷えや体温低下につながります。運動をするだけでも熱が発生しますが、筋肉量を増やすと効率よく体を温めることができます」
たんぱく質を朝食で摂ることでより効果的に
筋肉量を増やすために欠かせないのが、4位の「たんぱく質を摂る」こと。とりわけ朝食で摂ることで、より効果が上がるという。
「朝は起きている中でもっとも体温が低い状態です。しっかり朝食を食べることで体温が上がり、日中の体温上昇もスムーズになる。たんぱく質と炭水化物をしっかり摂れば体内時計もきちんとリセットされます」(望月さん)
食事はよく噛んで食べることで「口回りの筋肉を動かし、エネルギーを発生させて熱を生む」(磯村さん)ため、しっかり咀嚼することも忘れずに。
精神面でリラックスし、ストレスがないことも体温を上げるためには必要な習慣となる。8位の「深呼吸」や11位の「睡眠」はリラックス効果を高め、副交感神経を優位にし、血流改善効果が期待される。そのほかにもストレス緩和の方法はさまざまあるだろう。
「カラオケや笑うことは副交感神経を優位にするだけでなく、全身の筋肉を使うので血流促進にも効果があります。また、笑うことでがんやウイルスに感染した細胞を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞の活性を高めるので、免疫力がアップします」(石原さん)
体がポカポカになれば、体も心も健康になる。寒いからと縮こまるのではなく、よく食べよく動き“熱い女”になろう。
※女性セブン2024年11月14日号