
鏡を見るたびにしわやたるみ、シミにギョッとしてがっかり……。しかもなんだか鼻が大きくなってきたような──。その原因は、肌のたるみや顔の骨格がやせることに加え、生活習慣も関係あり。老化現象を予防し整える、驚きの方法を伝授する。
鼻の肥大化は自覚しづらい
年を重ねるとともに次から次へと起こる老化現象。しわやたるみは自覚しやすい一方、鼻は盲点だ。
「すっきりしていたはずの鼻がいつの間にか“だんご鼻”や、鼻先が丸く小鼻が大きい“にんにく鼻”になっている。その変化に悩んでいるかたが多くいます。
鼻の肥大化は30代後半から顕著になり、50代以降はさらに加速する傾向に」と言うのは、青山セレスクリニック理事長の元神賢太さん。
頭蓋骨は加齢で縮む

一般に、年を重ねるにつれ、顔の輪郭が垂れ下がった“ブルドッグ顔”になる人は多く、鼻などのパーツはふっくらし、顔も大きく見えるようになる。
内村光良さん、片山さつきさん、大友康平さんの写真を見比べてみると、以前はこんなにスマートな鼻だったのか!と驚くだろう。



「鼻が大きくなる原因の1つは皮膚の老化です。皮膚のコラーゲン量は、60代で20代の約半分になるといわれます。コラーゲンが減少すると肌は弾力を失い、たるんでしまいます。
紫外線によるダメージや、喫煙による血流悪化、皮膚の酸化などコラーゲンを減少させる要因はいくつもあり、肌がたるむことで鼻が左右に広がりやすくなるのです」(元神さん・以下同)
さらに、重力の影響も加わるという。
「私たちは常に重力の影響を受けており、特に突出した鼻への影響は大きく、下垂を招きます」
骨密度の低下で鼻が広がる
原因の2つ目は、骨密度の低下だ。成人の骨は基本的に206個あり、成長とともにその数は減少するものの、常に新陳代謝を繰り返し、少しずつ作り替えられている。
「古くなった骨は“破骨細胞“によって壊され、溶かされていきます。これを“骨吸収”といいます。骨吸収された部分は、骨を作る“骨芽細胞”が修復し、新しい骨に作り替えます。これら一連の“骨代謝”によって、1年間で約20~30%が入れ替わるといわれています。
この骨代謝がバランスよく行われていればいいのですが、加齢などにより破壊の勢いに修復が追いつかなくなると、骨量が維持できなくなり骨量が低下します」
特に女性の場合、閉経前後にエストロゲンの分泌が減少すると破骨細胞の働きが活発になり、骨密度は50代から急速に低下。当然、顔の骨も萎縮する。
「顔の骨密度が低下すると骨が萎縮し、土台となる皮膚や筋肉、脂肪なども縮むため、目や鼻のくぼみが拡大。鼻の付け根も広がり、鼻の穴も目立つようになって鼻全体が大きくなるのです」
骨が成長することによる悪影響もあるという。
「実は、軟骨は年齢を重ねても成長し続けるのですが、この軟骨の成長が鼻の先や鼻翼(小鼻)を広げてしまうケースもあります」
小鼻を広げる行動をやめる
20~30代の女性920人に「理想的な鼻にするために何かしていますか」と質問した調査(出典/隆鼻矯正専門店ラプリ「顔のパーツの悩み」に関する調査、2020年)によると、「鼻の形は気になるが、対策をしていない」という人が約70%を占めており、その半数が悩みを解消していないのが現状だ。

「鼻の大きさは遺伝や加齢に左右される傾向にあります。その一方、意識的に日常の行動を変えることによって防ぐことができます」
つまり、鼻の肥大化は自分でも防げるということ。たとえば、上あごの歪みによる小鼻の肥大化を防ぐには、歯ぎしりや歯のくいしばりをしないといったことだ。
食事のときに、左右の歯を均等に使うよう心がけることも重要だ。
「特に、片方の歯ばかりでものを噛む偏咀嚼を長期間続けていると、小鼻の大きさが変わるだけでなく、目の大きさに左右差が生じたり、歯並びが悪くなるなど、顔全体に影響を及ぼす恐れがあります」
ヒアルロン酸注入で昔の形を取り戻す
たるみ防止や、顔全体が歪まないような生活習慣を心がけるとともに、マッサージなどで鼻の形を整えることも意識したい。それでも気になる場合は、美容医療に頼る手もある。
「美容医療では、小鼻を縮小させる手術もありますが、たるみが生じている部位の骨に沿ってヒアルロン酸を注入し、ボリュームを持たせる施術も有効です。
これにより骨吸収前の形状がよみがえり、たるんだ皮膚も本来の位置に戻ります。ヒアルロン酸注入により、骨の形状を常に維持できるので長期的な予防につながります」
鼻の肥大化を防ぐ3つの生活術
鼻の肥大化を防ぐ生活術を紹介する。
【1】食事で骨を強くする
骨を強くするためには食事が重要。特に、カルシウムやビタミンDが不可欠だ。カルシウムは、いわしや牛乳、納豆、小松菜、乾燥ひじきなどに多く含まれる。
「カルシウムは単体では吸収されにくいため、ビタミンDを一緒に摂りましょう」(元神さん・以下同)
ビタミンDは、さんま、鮭、きくらげなどに多く含まれる。ビタミンDは、紫外線にあたることで皮膚でも合成されるので、1日15分程度、腕や足などの日光浴を心がけよう。
喫煙、カフェインやアルコールの過剰摂取、インスタント食品やスナック菓子の食べすぎはカルシウムの吸収率を下げてしまうから要注意。
【2】よく噛むこと
上顎骨に刺激がないと骨吸収が起こりやすく、骨がやせる原因に。
「特に鼻を含む顔の下側は、咀嚼による刺激がないと骨吸収が進んでしまいます。やわらかいものばかり選ばず、食事の際はよく噛みましょう。理想は一口30回ですが、難しい場合はいつもより10回多く噛むとよいでしょう。ガムを噛むのもおすすめです」
【3】運動習慣をつける
「骨を強くするには運動も必要です。朝、散歩をするのがおすすめです」
◆教えてくれたのは:青山セレスクリニック 理事長・元神賢太さん
外科専門医(日本外科学会認定)、美容外科専門医(日本美容外科学会認定)。美容外科医師会理事。20年以上のキャリアがあり、アンチエイジング治療、リフトアップ治療を得意としている。
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2024年12月12日号