40代以降の大人向けのメイク講座で、1000人以上の女性の美をサポートしてきた池田曜央子さん。自身の著書『骨格補正メイク「顔の比率」を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)で池田さんは、理論通りにメイクすれば誰でもきれいになれるセンス不要の“骨格補正メイク”を提案しています。若々しく見える、顔が黄金比に近づくメイクのポイント5つを、詳しく教えていただきました。
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若見えポイントメイクは「目」「眉」「鼻の下」
池田さんは、年齢で変わった部分をテコ入れするのが若々しく見えるメイクのコツだと話します。
「もともとの顔立ちで黄金比にあてはまる人はほとんどいません。さらに年齢を重ねると、たるみや表情筋のクセでパーツの位置の左右差が目立ってきて、さらに黄金比から遠ざかります。
そこで、自分の顔の写真を撮影し、比率を測って客観的に見ることで、補正するポイントが分かります」(池田さん・以下同)
なかでも、大人女性が特に気をつけるべきポイントメイクは「目」「眉」「鼻」の3つ。
目は“楕円アイ”をめざすメイクが正解
年齢を重ねるにつれ、目力が弱まったと感じるかたも多いでしょう。加齢でまぶたがたるみ、まつ毛の量が減って目の輪郭がぼんやりし、さらに目の下のくすみやクマで印象が暗くなることも。
そこで池田さんは、目の横幅と縦幅の比率が1:0.3の黄金比になる“楕円アイ”に近づくメイクをすることで、老け見えを回避できると言います。
「目は印象の中で大きな部分。大人女性は、まぶたが下がってくると黒目の縦幅がどんどん減っていきます。カラーコンタクトをつけるとわかりやすいですが、見える黒目の大きさによって顔の印象はかなり違って見えます」
さらに、目の内側の粘膜もたるむのだとか。実は歳を取るほどに粘膜が垂れてきて、黒目が隠れてしまうそうです。
「離れ目の人は目頭寄りに、寄り目の人は目尻側にアイシャドウを入れ、余白をカバーすることが印象を変えるポイントです。また、丸目の人はアイラインを跳ね上げたり、切れ長の人はまつ毛を上に伸ばしたりして形を調整します。自身の目の特徴によって、これらのテクニックを組み合わせることでバランスを整えることができます」
眉毛をシンメトリーにすることで若々しくなれる
左右差があると顔のゆがみが強調されやすく、顔の印象において大部分を占めるのが眉毛です。
「人間は生まれたときの顔が一番シンメトリーで、年齢を重ねるにつれて左右差が出てきます。この左右差が老けている印象につながるんです。
特に左右差が目立つのが、顔の中でも存在感のある眉なんですよね。これをできるだけ補正することでシンメトリーな顔に近づけます。人間の心理はシンメトリーなものに安心感を覚えますし、やはりシンメトリーが若々しく見えるんです。だからこそ眉をシンメトリーに整えるべきなんです」
加齢で目元や顔の筋肉が弱ってくるにつれて、色々と駆使して目を開けるようになり、使っている筋肉が偏ることで、アーチ眉や下がり眉、角度のついた眉などトレンド感のない眉毛になってしまうのだそうです。
「その形のとおりに眉毛を描くと、高低差が強調されさらに老けて見えてしまいます。かつ、今は平行眉がトレンドなので、アーチを描くとさらに古臭く見える要因に。
生えているのにさらに描き足す必要がなぜあるのか?と思っても、眉毛の形を整えるときちんと感が出て印象がよくなります。顔のバランスに合わせて眉毛を整えると小顔にも見えますよ」
加齢で下がる「鼻の下」を短く見せる
加齢とともに伸び、若々しいバランスから遠ざかる原因になるのが鼻の下。
「鼻の下も年齢を重ねるにつれて筋肉が弱って下がり、鼻の下が伸びてきます。そこで、ハイライトを鼻筋にのせて鼻先を長く見せ、鼻の下を短く見せるテクニックを使います。すると、若々しい印象にすることができます」
髪型&ベースメイクでさらに若々しい印象に
ポイントメイクの3つに加え、髪型とベースメイクも若見えのコツを知っておくことで、さらに印象が変わるのだそうです。
髪型で輪郭を補正
顔の第一印象をよく見せるには、メイクだけでなく髪型も重要だと池田さんは話します。
「骨格によって似合うヘアスタイルは変わります。こちらも黄金比に寄せるのがベストなんです。
メイクではなかなかできない輪郭を補正する効果もあるので、丸顔の人はいかに縦幅を出すかが大切。逆に縦幅のある面長の人は、いかに横幅を髪型で足すべきかを考えましょう。
私自身も、メイクを学ぶ前は丸顔なのにぱっつん前髪を作っている時期がありましたが、ぱっつん前髪は横線なので丸顔を強調してしまうんです。逆に面長でストレートロングヘアだと、縦ラインが縦幅をより強調してしまうので、できれば横にボリュームを出す髪型にするのがいいです。ボリュームを出すなら短めのほうがおすすめですが、ロングにこだわるなら髪を巻くのもいいですよ」
ベースメイクは、のっぺり顔で高低差をなくす
池田さんによると、ベースメイクも若々しく見せるカギ。大人女性は皮膚のハリが徐々に失われて、骨っぽさが出がち。こめかみやアイホールがくぼんだり、エラが張ったりといった骨の影や、深くなったシワが老け見えの大きな原因になると言います。
「彫りを深く見せるようなメイクをすると、ただでさえくすんで落ちくぼんで影ができる目の周りに、わざわざ影を足してしまうことになり逆に老け感が増してしまいます。
影を入れずに、のっぺり感がある方が骨感のない肌に補正することができます。人間の一番若い顔って赤ん坊ですよね。赤ん坊は顔に彫りがなく、みんなのっぺりとした顔をしています。つまり、人間ってのっぺりした顔が若く見えるんですよね。だから西洋人から見たら東洋人は年齢を重ねても若く見えると言われるのだと思います。
とくに顔の中心にあたる目の周りのくすみや影はできるだけ消しましょう。高低差を出すなら、影を入れるのではなく光を。鼻筋に明るさを足すのがいいですよ」
◆教えてくれたのは:骨格補正メイク専門家・池田曜央子さん
青山学院大学経済学部卒業。建築士として活動後、美容・ファッションを学び、メイク講師の道へ。好印象な美人に近づける“骨格補正メイク”を考案し、1000名を超える女性を劇的に変身させる。一般社団法人日本骨格バランス協会代表理事を務めるほか、池田曜央子メイクアップアカデミーを開講。著書に『骨格補正メイク「顔の比率」を描き変えて、一生美人!』(主婦の友社)。https://ameblo.jp/nyankosan0916/
撮影/黒石あみ 取材・文/イワイユウ