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1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から50年、テレビ朝日系で放送され、2025年で50周年となるスーパー戦隊シリーズ。その記念作品となる『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』制作発表記者会見が1月26日に行われた。2000年初頭には永井大や金子昇、以降では松坂桃李や千葉雄大、志尊淳など、レッド役を務めた俳優がブレイクし、仮面ライダーと共に若手俳優の登竜門ともいわれている。
横浜流星、塩野瑛久もスーパー戦隊でグリーンを演じた
そんななか、近年、新たに注目されているのが、グリーン役を務めた俳優だ。熱血レッド、クールで冷静なブルー、ニヒルだったりプレイボーイだったりするブラック、お調子者のイエロー(カレー好きというイメージを、「ゴレンジャー」からいまだに持っている人もいるかもしれない)とイメージが浮かびやすい一方でグリーンは影が薄い。また、少年性のある弟キャラ的な立ち位置とすることで、レッドやブルーとの差別化をされていることもある。
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グリーンを演じた俳優を代表するのが、『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)でブレイクし、ドラマや映画に引っ張りだことなり、現在はNHKの大河ドラマ『べらぼう』の主演も務める横浜流星(『烈車戦隊トッキュウジャー』トッキュウ4号/ヒカリ役)と2024年の大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇を演じ、注目を集めた塩野瑛久(『獣電戦隊キョウリュウジャー』キョウリュウグリーン/立風館ソウジ役)だ。
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スーパー戦隊の色とイメージの関係
『獣電戦隊キョウリュウジャー』は2013年に放送がスタートし、初期編成カラーはレッド・ブラック・ブルー・グリーン・ピンク。
ブラックは前述したようなプレイボーイキャラだが、ここではブルーが親父ギャグを言うようなお調子者のキャラクターを担当。一方、塩野演じるグリーンは、正義感が強く寡黙でブルーにイメージされる性質をもちながら、さまざまな年代のそろうキョウリュウジャーの中で高校生という設定。その年代らしい悩みを抱える少年性を兼ね備えている。
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その翌年、2014年にスタートした『烈車戦隊トッキュウジャー』は“乗り換え変身”として他のカラーにも変身できることから、横浜が演じたトッキュウ4号がグリーンとは銘打たれていないが、メインカラーはグリーンである。編成カラーはレッド・ブルー・イエロー・グリーン・ピンク(追加戦士にオレンジ)。
『トッキュウジャー』でのブルーは真面目ながらドジだったり、秀才キャラに見えてそこまででもないという親しみやすさのあるキャラクター。一方のグリーンは、クールに見られがちで仲間から離れて1人で食事をするなど一匹狼の素質もある。そんな難役を横浜はしっかりと演じきっていた。
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2000年以降、「キョウリュウジャー」の前シリーズである『特命戦隊ゴーバスターズ』までで、女性戦士を除くブルーがいわゆるクール寄りのキャラクターではなかったのは『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006年)と『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008年)の2作品だ。ちなみに、「ボウケンジャー」はグリーン不在、「ゴーオンジャー」はグリーンが明るい弟キャラを担当している。
求められる役を演じる俳優力
このようなキャラクターイメージの改革にはマンネリ打破の意味合いもあるだろうが、社会に多様性が浸透してきたバックグラウンドがあると考えられる。
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なお、女性戦士のブルーが初登場したのは1988年の『超獣戦隊ライブマン』で、これは男女雇用機会均等法が施行された2年後となる。男性=青、女性=ピンク(赤)というステレオタイプにとらわれない配役をしたことは、男女平等を掲げる社会情勢の影響を受けていると考えることもできる。
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そういった背景で、いわゆる2枚目の立ち位置だったブルーのようなグリーンを演じ、3枚目なイメージを払拭する素質を見込んで俳優を抜擢したのが「キョウリュウジャー」「トッキュウジャー」だったのではないだろうか。
横浜にしろ塩野にしろ、スーパー戦隊卒業後すぐのブレイクではないが、期待された役割をまっとうできる俳優力があったこと、それを磨き続けたことが近年の活躍の裏にあると考える。
「ゴジュウジャー」のグリーンはパリピ高校生
「ゴジュウジャー」のグリーンにあたるゴジュウイーグル/猛原禽次郎は、公式サイトのキャラクター紹介に“パリピ高校生”と記載されており、3枚目の役柄だと想像される。しかし、“実はとても真面目”という性格が役や作品にどう効いてくるのか。
演じるのは、奈良県出身で、日本一のイケメン高校生を決める『男子高生ミスターコン2021』でグランプリを獲得した松本仁。50周年作品としてまた新しいスーパー戦隊の形を見せてくれるのか、期待して2月16日の初回放送を待ちたい。