
ひとり旅や女子旅、夫婦旅もいいけれど、ときには親子水いらず、母と娘で早春の旅へ–––。日本はじまりの地とされる古都・奈良はいま、1300年を誇る悠久の歴史に新しい魅力が加わっている。かつて訪れた人も、初めての人も、歴史と未来がつながる新感覚の大和路を旅しよう。
修学旅行で訪れた奈良は“夢の超特急”に乗って
「初めて奈良を訪れたのは中学3年生の修学旅行のとき。’64年の東京オリンピックが開催された年で、まさに東海道新幹線が開通したばかり。夢の超特急に初めて乗ったワクワク感はいまでも覚えています」と、音無さんは懐かしそうに当時を振り返る。東京〜新大阪を4時間で結ぶ新幹線は、未来への希望を乗せて走る憧れだった。それから60年。娘と訪れる奈良にはまた新たな風が吹いている。

安土桃山~江戸時代の最上質清酒『南都諸白』の伝統を令和に伝える
まずふたりが訪れたのは、格子が美しい風情ある町家が軒を連ねる『ならまち』界隈。JR奈良駅、近鉄奈良駅からほど近く街歩きを楽しめる。「高い建物がないから空が広くて、落ち着きます。古い町家がパン屋やカフェになっていて、とてもおしゃれ!」(村井さん)。
街並みを眺めながら、酒蔵『今西清兵衛商店』へ。明治17年創業、5代目の今西清隆さんは、「古来より奈良の酒は『南都諸白』と呼ばれ、最上質の名酒として愛されてきました。奈良は日本清酒発祥の地といわれています」と話す。酒蔵に併設された店舗では、5種類の利き酒を楽しめる(700円)。しぼりたての『春鹿』を味わった音無さんは「花のような香りとフルーツポンチのような甘味がさわやか」とご満悦。村井さんは「燻製の奈良漬も絶品!」と舌鼓。“大の甘党”という夫・村井國夫さんには、春鹿『さくら純米酒』と純米酒粕を使用した『HARUSHIKA SWEETS バームクーヘン』(1728円)をお土産に。


清酒の原点はここにあり



日本清酒の歴史は『正暦寺』にあるとされ、現在の酒造りの基礎となる酒造技術がいまもなお受け継がれているという。『正暦寺』は992(正暦3)年に創建。山里に佇む寺院で、現在も毎年1月に酒母の仕込みを行い、寺で清酒を醸造する。室町時代に醸造していたという『菩提泉』など寺内で清酒の販売も行う。
DATA
正暦寺
奈良県奈良市菩提山町157
0742-62-9569
奈良と大陸の歴史に思いを馳せる魅惑のスパイスカレー
和食文化発祥の地ともいわれているが、意外にもいま奈良でブームとなっているのがスパイスカレーだ。正倉院(奈良県奈良市)にはこしょうやシナモン、クローヴなど様々なスパイスが薬として奉納されていた記録があり、実は奈良とシルクロードの歴史は深い。
「奈良でスパイスカレーというのはすごく新鮮。野菜がたっぷり食べられるのがうれしいです」(音無さん・以下同)


「奈良をカレーの総本山にする!」という熱い想いで、店主の森嶋萌々さんが奈良市初のダルバート専門店としてオープン。ダルバートとは豆のスープ(ダル)と米飯(バート)を組み合わせたネパールの代表的料理。少しずつ味を確認したら、最後は一気に混ぜて食べるのがおいしさの秘訣。
DATA
菩薩咖喱
奈良県奈良市薬師堂町21
Instagram@bosatsucarry
上海の行列店を手掛ける気鋭のパン職人が奈良に上陸!
上海の人気ベーカリー『mbd』を手掛けたパン職人の本間寛紹さんが、’20年に出店。看板商品はバゲット生地にフランス産発酵バターを織り込んだ『バゲワッサン』(330円)。ザクザクした力強い生地がクセになる逸品だ。


大和茶入りのバゲワッサンに大福を包んだ『大福サン』(430円/写真下)は、村井さんへのお土産に購入。

DATA
CONFECTION Artisanal Bread&Sweets
奈良県奈良市中院町3-1
0742-55-8426
古き文化や歴史とモダンが融合する街並みは、母親も娘も違った視点でともに夢中にさせられる。古くて新しい奈良を体感しに行こう。
女優・音無美紀子
1949年生まれ、東京都出身。‘66年劇団若草に入団。’71年TBS連続テレビ小説『お登勢』のヒロインに抜擢。出演作は映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』など多数。
女優・村井麻友美
1982年生まれ。俳優の村井國夫と音無美紀子の長女。主に舞台女優として活躍。母との公式YouTube『音無美紀子と村井麻友美のお料理しましょ!』では編集を担当。
提供/JR東海 取材・文/岸綾香 撮影/深澤慎平
■奈良に行くには「東海道新幹線」で京都乗り換えが便利!
JR東海が展開する観光キャンペーン「いざいざ奈良」では、モデルコースやグルメ、お土産などの紹介記事が満載。