
火を通すとパサつく、硬くなってしまうという悩みが多い豚肉。いつもの豚肉料理が驚きのやわらかさに仕上がるコツを、プロがこっそり教えてくれた。レシピを極めた専門店が伝授するワザをチェックしよう!
「スペアリブハウス ハウディ」が教える!「スペアリブソテー」
手間がかかるイメージがあるスペアリブだが、「実は、ほったらかし時間が大半」と語るスペアリブハウス ハウディのオーナー・朝川紘二朗さん。ラクに作れる割には、映える仕上がりで、満足感もたっぷりだ。
「このソースには、玉ねぎやしょうがの酵素がたんぱく質を分解して肉をやわらかくするほか、はちみつが加熱による肉の凝固を防ぐ効果もあります。骨まわりの肉本来のワイルドな旨みを引き出しながら、香ばしくジューシーに仕上げてくれるんです。ビールはもちろん、ご飯にもよく合いますよ」

「スペアリブソテー」レシピ
フライパンで作れる!肉の旨みを堪能できる豪快な「スペアリブソテー」。手づかみでかぶりつきたい!迫力満点の骨つき肉。
《材料》(2〜3人分)
豚スペアリブ…400g 塩…2つまみ 白ワイン…大さじ5 BBQソース(玉ねぎのすりおろし…40g おろししょうが・おろしにんにく…各4g ウスターソース・ケチャップ・しょうゆ…各25ml はちみつ・砂糖…各10g) 黒こしょう・パセリのみじん切り…各適量

《作り方》
【1】豚スペアリブは、両面の肉の部分に1cm間隔で斜めに切り込みを入れる。塩をふり、よくもみ込んで10分ほどおき、キッチンペーパーで水気を拭く。
【2】密封袋にソースの材料を入れて混ぜ合わせ、【1】を入れて冷蔵庫で2時間ほど漬けおく。
【3】テフロン加工のフライパンに油をひかずに【2】を並べ入れ、弱火で両面を焼く。軽く焼き色がついたら白ワインを回しかけ、ふたをして5分ほど蒸し焼きにする。
【4】袋に残ったソースを加えて強めの中火にし、ソースの水分を飛ばす。ソースにとろみがつき、肉に照りがついたら器に盛り、黒こしょうとパセリをふる。
やわらかPOINT

【1】肉に細かな切り込みを入れることで、火の通りや味の含みがよくなる。

【2】塩の浸透圧で余分な水分を抜き、肉の旨みを凝縮させる。

【3】肉をやわらかくする効果のあるソースをじっくりしみ込ませて。

【4】蒸し焼き直前に加える白ワインには、肉汁をとじ込める働きが。
漬け時間ゼロで焼き上げ「レモン&ハーブフレーバー」で

《作り方》(2〜3人分)
【1】上記スペアリブ【1】と同様に切り込みを入れた肉に、塩2つまみ、ドライオレガノ・ドライバジル各小さじ1をよくすりこみ、強火で熱したフライパンで両面に焦げ目がつくまで焼く。
【2】白ワイン大さじ5を回しかけ、蓋をして5分ほど蒸し焼きにする。仕上げにレモンの搾り汁をかける。
◆教えてくれたのは:スペアリブハウス ハウディ オーナー朝川紘二朗さん

スペアリブをはじめ、アメリカのダイナー料理が手軽に楽しめる。

住所:東京都渋谷区代々木1-18-16 RES代々木ビルB1
「角煮丼屋 くろしろ」が教える!「豚の角煮」
「10年研究を重ねた結論として、下ゆでは低温で行い、とにかくじっくり寝かせることが、最高の豚の角煮を作る秘訣。時間はかかるけれど、口に入れた瞬間脂身がすっととろけ、くどくないのにコクがある極上の食感と味に仕上がりますよ」(角煮丼屋 くろしろ代表 若井直也さん)

「豚の角煮」レシピ
半日寝かせて作る肉厚・甘辛な「豚の角煮」。箸で縦割りできる感動のとろとろ食感。
《材料》(1~2人分)

豚バラ塊肉…200g サラダ油…少量
【A】(下ゆで用)
しょうが(スライス)…25g ねぎの青い部分(ちぎって軽くつぶしておく)…1本分 米のとぎ汁…5カップ程度 生米…ひとつかみ(10g程度)
【B】(煮込みだれ用)
昆布とかつおのだし汁…5カップ 砂糖…100g しょうゆ…1/2カップ 酒…2/3カップ みりん…1/4カップ
水溶き片栗粉…適量

《作り方》
【1】フライパンにサラダ油を強火で熱し、肉の皮面から先に全面をきつね色に焼きつける。
【2】【1】の表面を30℃くらいのぬるま湯で洗い、焦げ目やぬめり、余分な油を落とす。
【3】鍋に肉と【A】を入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして30分ほどゆでる。火を止め、そのまま30分おく。これを3回繰り返す。
【4】別の鍋に肉を移し、【B】を加えて中火にかける。沸騰したら弱火にし、30~40分煮る。粗熱が取れたら表面をキッチンペーパーで覆い(またはかぶせ)、鍋ごと冷蔵庫で11~12時間寝かせる。
【5】食べる直前に火にかけ(または電子レンジ600wで4分加熱)、器に盛る。残りのたれを軽く煮詰め、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、肉にかける。好みで紅しょうがやからしを添える。
やわらかPOINT

【1】まずは肉全面を焼きつけて、旨みと肉汁をとじ込める。

【2】ぬるま湯の流水で、肉の旨みとやわらかさを保ちながら洗う。

【3】生米ととぎ汁で、肉をやわらかにする酵素パワーが2倍に。

【4】ペーパーで肉表面の乾燥を防ぎ、余分な脂分も吸い取らせる。
「ゆるタルタルがけの角煮南蛮」レシピ

《作り方》(1〜2人分)
器に、縦半分に切ったゆで卵1個分、玉ねぎのみじん切り10g、マヨネーズ大さじ1、刻んだピクルス(市販)小さじ1、塩ひとつまみ、ドライパセリ適量を入れ、スプーンで卵を軽くつぶしながら混ぜ合わせ、好みのゆるさにする。肉にかけると新鮮な味わいに!
◆教えてくれたのは:角煮丼屋 くろしろ代表 若井直也さん

メニューは豚の角煮丼のみ。「もっと大きく、飲めるほどにやわらかな豚の角煮を食べたい!」という熱意から生み出された味を求めて、全国からファンが集う。

住所:東京都新宿区高田馬場3-37-2・1F
肉の部位で変わる食感や旨み
バラは赤身と脂身が層になったやわらかな肉質で旨みが強い。
スペアリブはあばらまわりの骨付き肉で、骨と脂身、赤身の旨みが重なり風味豊か。
ロースは適度な脂肪と旨み。肩ロースはそれよりやや脂身が多くコクのある味わい。モモやヒレは赤身が多く脂肪分が少ないのが特徴。

撮影/田中宏幸
※女性セブン2025年5月29日号