
派手な効果音や音楽は流れない。インパクトあるダンスもない。ショート動画が主流のTikTokでは、避けられがちな8分31秒もの長尺動画。しかし、その中身は、寒さ厳しい年末をほっこりさせるハートフルな内容で、瞬く間に拡散し始めている──。
美容系医療のユーモアなテレビCMでおなじみの「にしたんクリニック」の名物社長、“にしたん社長”こと西村誠司氏が、クリスマスの12月25日に個人のTikTok公式チャンネルに、タレントのイモトアヤコと行った障がい者支援の動画を公開した。
サンタクロース姿の西村社長とトナカイ衣装のイモトは、前日24日のクリスマスイブに、ダウン症で重度の心臓病も抱える田中優音(ゆな)さん(16才)と、希少難病「SCN8A」を患う田中笑舞(えま)さん(11才)姉妹の一家をサプライズ訪問した。これは、二人の娘を女手一つで育てる母・佳世さん(49才)が、にしたんクリニックが制作支援する障がい者支援動画プロジェクト『964万7千分の一』YouTubeチャンネルの『心臓と重度のてんかんを持つ子どもたち 二人の娘を育てるママの一日に密着』の回に出演したことがきっかけだった。西村社長が、シングルマザーという過酷な状況下でも、笑顔で娘たちを育てる佳世さんに深く感銘を受けて、「ぜひ、この家族に会ってみたい、そして何かプレゼントを渡したい」と動いたのだという。
「ここ3、4年、障がいを持ったお子様と、そのお子様たちを愛情を持って育てていらっしゃるご家族のドキュメントを、1か月に1本のペースで撮り続けています。私の思いは『そんなお子様やご家族と一般社会が、分け隔てなく共生できる社会を作りたい』という一点に尽きます」
穏やかな口調ながら熱く語る西村社長扮する“にしたんサンタ”は、“イモトトナカイ”をサプライズで紹介すると、田中さん一家は大感激。寝たきりながらサンタ衣装の次女笑舞さんと対面すると「おそろだね」とにっこり。以前の特集動画の中で「できれば旅行に行って娘たちにいろんな経験をさせたい」と母親の佳世さんが話していたのを見たと言い、「普通にいけるわけではないので、旅先で娘さんたちを全面サポート、ケアをする医療スタッフを帯同させる形で、行ってみたいところに行ける旅行を、僕らからプレゼントさせていただきます」と、母娘を喜ばせた。
特に、突然死のリスクも高いといわれるSCN8A患者の笑舞さんのために、常々24時間体制でその命を守り続ける佳世さんからすると、夢のような家族旅行となる。「温泉にゆっくりつかりたいですねぇ」と夢を膨らませると、テレビ番組『世界の果てまでイッテQ!』で、通算122か国の訪問歴があるイモトトナカイも「旅行のおすすめの国を教えましょうか? 優音ちゃんが動物好きなら、遠いけれどもケニアもいいですよ」などとレクチャーした。
「人生にこんなことが起こるんだなぁ」と感涙する佳世さんに、にしたんサンタもイモトトナカイも思わずもらい泣き。佳世さんは「障がいがあると、かわいそうと決めつけられるのが嫌」と率直な思いも明かしていた。最後は全員でカメラに向かって「メリークリスマス」と笑顔でポーズを取って、終了した。
にしたんクリニックの親会社エクスコムグローバル社は、2008年から海外用Wi-Fiルーター端末レンタルサービス「イモトのWi-Fi」も大ヒットさせた。2012年から長らくイメージキャラクターを務めていたのは、もちろん世界を飛び回ってきたイモトだ。サンタとトナカイのペアにふさわしい黄金コンビで、聖夜のTikTokに心温まるドキュメンタリーを届けた。
コメント欄には「自分も感極まり泣いてしまいました」、「愛が溢れて泣ける、もっと世の中がこうあるべきだとつくづく思います」、「世の中のお金持ちさん、社長を見習って欲しいです」と、ユーザーたちからの感激した反応も数多く届き始めている。



