
24時間365日、私たちの体に酸素と栄養を絶えず届けてくれている「無休の臓器」である血液と血管は、若さと健康の要。血液と血管を長持ちさせられれば、いつまでも若く、元気に長生きできるのだ。「長生き血管」「長生き血液」のためにすべきことを専門家に取材した。【全4回の第4回。第1回から読む】
血管のための眠りは「低めの枕」と「Tシャツ短パン」でつくる
食事や運動だけでなく、睡眠の質を確保することも重要だ。信濃坂クリニック院長で東京医科大学名誉教授の高沢謙二さんが言う。
「健康な人は、睡眠中は日中の1〜2割ほど、血圧が下がるもの。一方で眠りが浅かったり、睡眠時間が足りていないと夜間高血圧に。まずは寝室環境を静かに、快適な温度にするだけでも効果的です」
寝室の温度は、春夏は25〜28℃前後、秋冬は15〜20℃前後が理想的だ。
また、睡眠を妨げないよう、寝具の見直しも効果的。池谷医院院長で循環器専門医の池谷敏郎さんが言う。
「ポイントは、横になっているときの心地よさよりも寝返りが打ちやすいこと。枕の高さは4cm前後で、ある程度幅があり、平らな形状がおすすめです。低反発素材などで頭が沈み込んでくぼみができるとかえって動きにくいので、あまりおすすめしません。
同様に、パジャマは着心地がいい一方で寝返りを打つときに体にまとわりつくので、Tシャツとハーフパンツなど、スポーツをするときのような動きやすい服装がいいでしょう」(池谷さん・以下同)
質のいい眠りのためには、寝床に入る90分〜2時間ほど前に入浴を済ませておくと効果的。体の芯まで温まると「深部体温」が上がり、ゆっくりと元の体温に戻っていく過程で、自然で良質な眠気が訪れるためだ。
「熱すぎるお湯は血圧を上げ、寝つきも悪くするので、高くても41℃前後のぬるめのお湯に10〜15分程度つかりましょう。
ポイントは“オヤジっぽく入ること”。『あ〜』と声を出しながら湯につかると、体が自然とリラックスできます。上がるときも、一気に上がると血圧が急激に低下して立ちくらみの原因となってしまうため『どっこいしょ』などと声を出しながら、ゆっくり立ち上がってください」

なかなか寝つけない人におすすめなのが「自律訓練法」。血圧を下げ、心と自律神経を落ち着かせることができる、瞑想のようなメソッドだ。循環器専門医の渡辺尚彦さんが解説する。
「いすに座ったまま両手のひらを開いて、それぞれひざに乗せて目を閉じます。
意識を右手に集中させて、心の中で『右手が温かい』と唱え、自己暗示をかける。これを右手→左手→両手同時の順に行い、終わったら目を開けて両手を10回、グー、パーと動かします。
自己催眠によるリラクセーション法で、強いストレスを抱えている人が行うと血管が拡張して血圧が下がり、リラックスして眠りやすくなることがわかっています。1回3〜5分、寝る前に行うと効果的です」
高沢さんは「大切なのは何を食べるか、どんな運動をするかよりも、いかに自分に合った方法を続け“基準値”ではなく理想の数値を保てるか」だと話す。
「同じ方法を続けても、環境や体質は一人ひとり異なるので、誰にでも効果的な方法はありません。
大谷翔平選手が“採血の結果を参考に、食事内容を調整している”と語っているように、検査データをもとに、生活習慣をアップデートしていけばいいのです。
遺伝子上、日本人は、LDLコレステロール値と血糖値を正常に保つことができれば、基本的には大丈夫。LDLコレステロール140mg/dL以下、HbA1c6.5以下を目安にしましょう」(高沢さん)
何才になっても健康で若々しい体は、若々しい血管と血液づくりから。




(了。第1回から読む)
※女性セブン2026年4月9日号