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《子を殺し母の発情を促す》市街地を襲うクマ「その恐ろしすぎる生態」人里に出没した個体は「必ず捕殺しなければならない」【識者の解説】

冬眠明けのクマが市街地に出没している(写真/PIXTA、AI生成画像)
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冬眠から目覚めたクマが、次々と人里へ姿を現している。4月19日、宮城県仙台市の中心部である青葉区で、体重125㎏のクマがマンションの茂みに14時間以上居座り「緊急銃猟」で駆除された。富山県では犬の散歩中だった40代女性が襲われ、岩手県紫波町では沢でクマに襲われたとみられる55才女性の遺体が発見されるなど、痛ましい事故も起きている。

昨年度はクマ被害が相次ぎ、被害者は全国で238人にのぼり、うち13人が死亡するという過去最悪を記録した。もちろん行政を中心に対策も練られている。飼料や生ゴミなどクマを誘引する“餌”の管理が見直されたほか、クマが住宅街に近づかない方策がとられているようだが、クマそれでもクマは人間の生活を脅かし続けている。『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社新書)の著書がある東京農工大学大学院教授・小池伸介さんは「昨年の状況が尾を引いているのではないか」としてこう分析する。

「市街地に出没したクマの映像を見る限り、落ち着き払っているように見えます。昨秋、人里でおいしい体験をした個体が駆除されずに森に戻って冬眠したのでしょう。そうしたクマたちが再び“何かおいしいものがあるのでは”と市街地に出没している可能性があります。なかでも、子グマを連れた母グマには注意が必要です。母グマは警戒心が強く、鉢合わせればパニック状態となり人間に襲い掛かる可能性もあります」(以下、小池さん)

冬眠明けは、山にいるはずのクマが市街地に出没(写真/PIXTA、AI生成画像)
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さらに「繁殖期」にあたる、春から夏は危険度が高まるという。

「母グマは授乳中だと発情しません。オスグマは自分の遺伝子を残そうと、子連れの母グマと出会うと子グマを殺して再び発情を促そうとする。海外の研究では、警戒心が強いオスが人里近くに行くことを好まないことを利用し、繁殖期には母グマが子を守ろうと山を下り、市街地に隣接する森に母子で留まった例も確認されています。

東京都の奥多摩や青梅など、緑豊かな地域から多摩川などの河川や緑地、丘陵などを伝い、調布や府中、さらに世田谷区や大田区などから都心部へ入り込む可能性も十分に考えられます」

対策はあるのだろうか。

「人里に出没した個体は必ず捕殺しなくては次の出没につながる。誘引物をなくすことに加え、ハンターが山に入る春季捕獲などを導入し、クマに対して“人間は恐ろしい存在だ”と学ばせることが急務です」

オフィス街の公園を散歩していると茂みからクマの唸り声が――そんな日常が、すぐそこまで迫っている。