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【日本人と占いの歴史】戦後に登場したカリスマ占い師 半世紀にわたって300万人以上を占った「新宿の母」、オカルトへの警戒心が高まる風潮に逆らった細木数子さんのインパクト

日本中を席巻した占星術師・細木数子さん
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 鹿の骨で吉凶を占っていた弥生時代から約2000年。科学が発達し、かつて神秘とされた現象の多くが解き明かされてきた。それでも“非科学的”とされる占いは消えることなく、時代ごとに姿を変えながらいまも私たちの毎日に息づいている。私たちを魅了し、時に未来を託されてきた占いの歴史をたどる。【全4回の第2回。第1回から読む

毎日100人以上が列をなし、社会現象を巻き起こした占いブーム

 庶民の暮らしにおいて、占いはますます存在感を高めていく。昭和初期には、『手相の神秘』などの占い書がベストセラーになって占いブームが到来。暗い戦時期を経て、戦後の東京に登場したのが「カリスマ女性占い師」だ。

 なかでも有名なのは新宿で50年にわたって占いを続け、「新宿の母」と呼ばれた栗原すみ子さん。陰陽五行思想をベースにした九星気学や手相、姓名判断などで、悩みを訴える多くの人々の声に耳を傾け続けた。彼女のもとを訪れる人々の長蛇の列は毎日100人以上に達し、その数は延べ300万人以上とされる。

 すみ子さんの息子で「二代目新宿の母」と呼ばれる占い師の栗原達也さんは、自身の結婚を母に“反対された”ことを振り返る。

「九星気学で占うと最悪の相性だからやめなさいと母に言われました。当時は占いなんて信じていなかったから聞く耳を持ちませんでしたが、いまから考えると相性が大凶で絶対一緒になってはいけない相手。やはり結婚生活はうまくいきませんでしたね」

当時、「新宿の母」に占ってもらおうと列を作る人々(時事通信フォト)
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 達也さんは喫茶店経営や会社勤めなど30年以上社会で働いたのち、50代で一念発起してすみ子さんに弟子入りし、母と一緒に新宿の街頭に立つようになった。

「私は会話が得意だったので、昔から母に『あなたが向いている職業は占い師か詐欺師だ』と言われていて(笑い)。一緒に新宿で占うようになってからは母に手相の見方などを教えてもらいました。母はほぼ独学で占いを習得しており、晩年までよく勉強していましたね」(達也さん)

 すみ子さんがバリバリの現役占い師だった高度成長期の1973年、終末思想を書いた五島勉の著書『ノストラダムスの大予言』が社会現象となり、 1979年には和泉宗章の著書『天中殺入門』が350万部を超えるミリオンセラーとなった。

 こうした占いブームを背景にして颯爽と世に現れたのが細木数子さんだ。

 1985年に発売された彼女の著書『運命を読む六星占術入門』が大ベストセラーとなり、運気が大きく下がって災いが起きやすい「大殺界」は、いまや誰もが知るほどに定着している。

香港でも占いは活況(写真/共同通信社)
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 当時、六星占術にハマったというBさん(62才)が振り返る。

「六星占術が定める『土星人』『火星人』などの分類は、それまでの星占いや血液型占いの分類とはまったく違っていたんです。自他ともに“派手好きで社交的”と思っていた私の性格が、実は“地味で内向的”だと細木さんの著書に教えられました。

 そこで自分に対する見方を変えて六星占術の占命表や相性を意識するようになったら、それまでうまくいっていなかった人間関係が好転して運気が上昇。同じ価値観の男性とめぐりあって、あれよあれよという間に結婚できました。万人には通用しないかもしれませんが、自分が知らない自分に気づかせてくれたのが六星占術でした」

 平成になるとDr.コパの登場で風水が注目され、動物占いが大ヒット。さらに2004年放送開始のバラエティー番組『ズバリ言うわよ!』(TBS系)に細木さんが出演し、「地獄に堕ちるわよ」の名ぜりふはお茶の間を夢中にさせた。

 東京大学大学院人文社会系研究科教授の堀江宗正さんが、当時の時代背景を指摘する。

「1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件以降、宗教やオカルトへの警戒心が一時的に高まりました。2000年以降のスピリチュアルブームは宗教色を薄め、カウンセラー的存在として自己分析をすすめたり、占いもSNS上のネタとして消費されがちでした。そんな潮流に逆らって、毒舌キャラでテレビ界に重宝されたのが、頭ごなしに断言する教祖然とした風格を備えた細木さんでした」

 平成から令和にかけて、占いのエンタメ化をさらに進めたのがインターネットだ。日本占術協会会長の栗原里央子さんが語る。

「それまでは対面で行う個人鑑定がほとんどでしたが、ネットが登場して誰でも簡単に画面をタップするだけで占いをしてもらえるようになり、占う側もネットで軽く勉強するだけですぐ先生と名乗れるようになりました。ネットが日本の占いブームを異常なほど推し進めたことは確かです」

 近年はAIやチャットボットによる自動鑑定も普及し、占いは新たなステージに突入している。

(第3回に続く)

※女性セブン2026年6月25日号

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