
古今東西、家族関係の悩みはなくならず、とりわけ嫁姑問題は時代が変わってもなお永遠だ。実際の事件を紐解くと、深い憎しみが、一線を越えてしまう悲劇が明らかに──。
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いまから20年以上前、漫画のヒットにより空前の囲碁ブームが巻き起こった。その只中、ある囲碁棋士がブームに水を差すような事件を起こした。
「兄弟子の妻として、配慮が欠けていたので制裁を加えた」
2002年11月、義母の加納利恵さん(仮名・68才)への傷害容疑で逮捕された利尻高之(仮名・43才)は、取り調べに対してそう答えた。
「高之は囲碁のプロ棋士として20年以上の実績を持っていました。主宰している囲碁教室は人気があり、生徒に優しく穏やかな人だと評判。関係者の間ではおしどり夫婦として知られていた妻の百合(仮名・42才)も、実母の利恵さんへの傷害容疑で逮捕されました。事件を聞いた関係者は一様に驚きました」(全国紙社会部記者・以下同)
利尻夫妻の暴行は苛烈なもので、利恵さんは左目を失明。右目は視力低下を起こしていた。
「誰ともしゃべるな」「食事は20分以内」。約束を破れば暴行する
利尻夫妻が利恵さんを暴行したのは1998年1月〜2001年1月の間。千葉にある利恵さんの家や、夫妻の東京の自宅で暴行していたという。
「高之は“制裁だ”と話しましたが、義父で囲碁の兄弟子である洋司さん(仮名)は暴行が始まる2年前の1996年に65才で亡くなっています。実際の暴行理由は、利恵さんが相続した1億円の遺産でした。利恵さんが暴行されて寝込んでいる隙に通帳を持ち出して、3年の間に数千万円を無断で引き出しています」
高之は利恵さんに対して「義父が脱税したからお前は遺産を相続できた。自分たちが役人に謝罪したおかげでうまく収まっているのだから、誠意を示せ」と因縁をつけて恫喝。そのほかにも些細なことで、文句をつけた。
「利恵さんに対して“他人と話すな”“食事は20分以内に終わらせろ”などと指示をして、守れないと暴行を加えたそうです。利恵さんを利尻夫妻の指示なしでは動けないようにして、1億円の相続遺産を自分たちの管理下に置こうとしたのです」
百合はなぜ高之を止めもせず、母への暴行に加わったのか。
「百合は性格がきつく、以前から母親に暴力を振るっていたという報道がありました」
利恵さんが暴力から逃れようと親族宅へ身を寄せたときも、利尻夫妻は利恵さんを執拗に追い掛け回して暴力を振るったという。
高之は「殴ったことはあるが、複数回ではなく数回。それでけがをしたかどうかはわからない」と話し、弁護士も裁判で「家庭内の介護トラブルの範囲だ」と弁護。しかし、判決では
「強度の暴力は明らか。家庭内暴力としては極めて悪質」と指摘されたほどだった。
「顔面への平手打ちのほか拳での殴打、背中への蹴りなど暴力が目的なのは内容から明らかでした。失明以外に顔面挫傷もするほどの暴力でした」
暴行に加担した百合は起訴猶予処分となった。高之は最高裁まで争うも地裁の判決は覆らず、3年6か月の実刑判決が下った。
※年齢は事件当時。
※女性セブン2026年9月24日号