日本の美容施術、形成外科医だけで204万件超、世界4位 約8割は切らない施術、外科の半数超がまぶた 脱毛とピーリングは世界最多 ただし国内全体の施術数ではない ISAPS調査

国際美容外科学会(ISAPS)がまとめた2025年の世界調査によると、日本で形成外科医が行った美容目的の施術は推計204万7901件。米国、ブラジル、中国に次いで世界4位だった。内訳は外科手術が42万7248件、注入治療などの非外科施術が162万653件となっている。
外科手術の52%がまぶた、世界でも3位
・外科手術の半数超がまぶた→日本の外科手術42万7248件のうち、まぶたの手術は22万2086件で52.0%を占めた。
・まぶたの手術は世界3位→中国、ブラジルに続く件数で、日本だけで世界全体の9.0%を占めた。
・外科は顔周辺に集中→顔・頭部の手術は34万2211件と多く、乳房や体・手足の手術より顔周辺への偏りが目立った。
日本で行われた外科手術で突出して多かったのが、まぶたの手術だった。
2025年の推計は22万2086件で、日本の外科手術全体の52.0%を占めた。2位は鼻の手術の4万4582件、3位は脂肪吸引の2万3942件、4位は眉を引き上げる手術の2万227件、5位は顔への脂肪注入の1万4861件だった。
まぶたの手術は世界的に見ても日本での件数は多い。国および地域別では、中国の30万6000件、ブラジルの24万4937件に続く3位で、日本が世界全体の9.0%を占めた。
顔および頭部の外科手術全体でも、日本は34万2211件で世界7位だった。一方、乳房関連の手術は3万3850件、体や手足に関する手術は5万1187件で、外科手術では顔周辺への偏りが大きい。
切らない施術が約8割、脱毛とケミカルピーリングは世界最多
・非外科施術が全体の約8割→204万7901件のうち非外科施術は162万653件で、ボツリヌス療法やヒアルロン酸などが多かった。
・脱毛とピーリングは世界最多→脱毛は28万4832件、ケミカルピーリングは15万8515件で、いずれも国・地域別で世界1位だった。
・肌治療の存在感が大きい→切らない肌の引き締め治療は世界2位で、顔の若返り治療全体も米国に次ぐ世界2位となった。
日本では、外科手術以上に非外科施術の件数が多い。
最多はボツリヌス療法で44万8301件。続いてヒアルロン酸が28万8547件、脱毛が28万4832件、切らない肌の引き締め治療が26万7494件、ケミカルピーリングが15万8515件だった。
世界の国および地域別ランキングを見ると、日本の特徴がさらに鮮明になる。脱毛は28万4832件で世界1位となり、世界全体の24.8%を占めた。ケミカルピーリングも15万8515件で世界1位、切らない肌の引き締め治療は米国に次ぐ世界2位だった。
ボツリヌス療法は世界5位、ヒアルロン酸も世界5位だった。注入治療全体では76万2854件で世界5位。一方、肌の引き締めやピーリングなどをまとめた「顔の若返り治療」は52万4669件で米国に次ぐ世界2位となっている。
非外科施術の内訳を見ると、注入治療が47.1%、顔の若返り治療が32.4%、脱毛などその他の施術が20.6%だった。米国やドイツなどでは注入治療の割合がより高く、日本では肌治療や脱毛も大きな割合を占めている点が特徴となっている。
ISAPSの数字だけでは見えない美容医療も
・約204万件は国内総数ではない→ISAPSの調査対象は形成外科専門医などで、美容皮膚科や皮膚科など他科の医師による施術は十分に含まれない。
・世界4位も形成外科医ベース→日本の順位は、ISAPSが把握した形成外科医による施術の推計値の中での位置づけとなる。
・実際の市場はさらに広い可能性→注入、レーザー、脱毛、肌質改善などを他科の医師も広く行っており、国内全体の施術件数は今回の統計だけでは分からない。
今回の約204万件を、日本国内で行われた美容医療の総数と考えることはできない。ISAPSの調査は、形成外科専門医または各国で同等の資格を持つ医師を対象にした統計であり、美容皮膚科や皮膚科など、形成外科以外の医師が行う施術がすべて含まれているわけではないからだ。
日本では、ボツリヌス療法やヒアルロン酸の注入、レーザー、脱毛、肌の引き締め、ピーリングなど、手術を伴わない美容医療も広く行われている。今回の調査では非外科施術だけでも162万件を超えたが、実際に国内で行われている施術の総数は、この数字だけでは分からない。
そのため日本が「世界4位」という結果も、ISAPSが対象とする形成外科医の施術を基にした推計の中での順位と見る必要がある。今回の統計からは、日本でまぶたの手術や肌治療、脱毛などが多いという特徴が見えるものの、日本の美容医療全体の施術件数を示すものではない。
美容医療が手術だけでなく、注入、機器治療、肌質改善などへ広がるほど、実態を一つの統計で捉えることは難しくなる。今回の数字は、日本の美容医療の特徴を知る有力な資料であると同時に、現在の統計では見えない施術も多いことを示している。
参考文献
見えない美容医療 世界でどれだけ施術されているのか簡単には分からない 全体像をつかみにくい3つの理由 市場推計も大きく割れる【編集長コラム】
【プロフィール】 星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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