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《アンミカと対談》南果歩、50代で乳がん・うつ病を経験「いまの年齢の自分をいちばん好きになりたい」

南果歩さんとアンミカさん
南果歩さんとアンミカさん(撮影/葛川栄蔵)
写真3枚

モデル・俳優のアンミカさんが「ずっと会いたかった人」をゲストに招き、軽やかに奥深く人生を語らう注目連載「アンミカのカラフル幸福論」。

前編では、幼い頃から「自分は何者なのか」と問い続け、演劇の道へ進み、19才で鮮烈な俳優デビューを果たすまでを語った南果歩さん。後編では、乳がんやうつ病を経験した50代の苦難、サンフランシスコで見つけた新たな自分、そして60代のいまを「自分史上最高!」と楽しむ果歩さんの幸福論を伺います!

アンミカ:果歩さんは60代を迎えたいまが「自分史上最高!」と著書でも書かれていますよね。私もいくつになっても、自分自身に胸を張りたくてすごく響きます。

南:いまの年齢の自分をいちばん好きになりたい、とずっと思っているんです。過去にとらわれず、未来ばかりを見つめず、「いま、いま、いま」で。その積み重ねが未来になるなら、いまを好きでいることが理想かなって。

アンミカ:素敵な考えですね!

南:よく取材で「若い頃に戻るとしたら何をしたい?」と質問をいただくけれど、過去に戻りたいと考えたことは1回もないですね。

アンミカ:戻る暇があったら、いまを全力で生きたい!と…。

南:そういった質問は懐古的で、年を取ることを老化や劣化ととらえる向きがあるんじゃないかなって。私は進化だと思っているんです。ずっと同じ自分でいるのはつまらないじゃない。自分自身を変化させながら、時代の変化に呼応させるのがいいと思っています。

アンミカ:これだけ情報もたくさんある時代。「できない」「やらない」って言い訳をする方が難しくなっていますよね。

南:そうそう。世界との距離もグッと近くなって、どこでも誰とでも会話できる時代だしね。でも、「できない」が減りすぎた弊害も感じます。飛行機の中でも最近はネットがつながるじゃないですか。「ごめんなさい!これから飛行機に乗るから…」って技が使えない(笑い)。

アンミカ:わかります!「地下に入るので」って言えてた頃の方が楽だったなって思うときがあります。

南:ちょっと空白がほしい瞬間ってあるよね。

アンミカ:でも、そうやって時代の変化を受け入れていく果歩さんのしなやかな心って「強さ」だと思います。その強さは、いつ頃から育まれていったんでしょうか。

南:前からだったようにも思うけど、50代での経験が大きかったかもしれない。私の人生で過去イチつらい試練の時代でした。

アンミカ:乳がんを患われたのが52才、人間ドックでの早期発見だったと伺っています。

南:50代は乳がん患者がいちばん多い世代でもあるんです。最近は日本人女性の9人に1人がかかるといわれています。

アンミカ:経験者として、がんの告知を受けたかたから相談されることも多いそうですね。

南:最近は特に多いですね。乳がんに罹患して今年で10年になりますが、悩む人に相談されるたびに公表してよかったなと思います。

アンミカ:がん告知を受けたかたは動揺している状態で相談されることが多いと思いますが、果歩さんはどんなふうに声をかけられるのでしょうか。

南:最初に、「見つかったの?よかったね。見過ごされずに済んだのはすごく幸運だよ」って必ず言います。見つかればいくらでも対処ができる病なので、そういう意味で、まずは安心してほしいと伝えたくて、この言葉から始めます。

アンミカ:がんサバイバーの果歩さんの言葉ですから、より心に響くのだと思います。

南:病気のことはセンシティブだし、相手の受け止め方も読めないので、シェアするのにも勇気がいりますよね。でもネガティブなことほど誰かに共有する意味があると思っています。誰かに伝えるだけで、気持ちが楽になることって本当にあるしね。

アンミカ:前が見えない状況をオープンにするからこそ、差し伸べる手もスッと出しやすいし、気づきやすいのでしょうか。

南:不安に押しつぶされそうな経験を私もしたからこそ、体や心にたまっていくストレスを減らす手助けができればいいな、と思いながら寄り添うようにしています。

南果歩さん
南果歩さん(撮影/葛川栄蔵)
写真3枚

ちっぽけさを愛せたサンフランシスコ

アンミカ:年を重ねて、心身のストレスを減らす大切さを年々感じています…。運動・栄養・休養、この3つがいかに大事かを感じる日々です。

南:やっぱり食がいちばんよね。

アンミカ:この年齢になってきて、自分が食べたものが肌や骨の一部になっているんだって、より感じるようになりました。

南:本当に!おいしいものを食べたら体中が喜んでいる感じがするよね。明日の私を作るんだ!って思いながら食べてます。

アンミカ:果歩さん、ずっと姿勢がいいし、体に無駄なお肉がついてない。なにか運動でも?

南:いまは週2くらいに減らしたけど、ちょっと前まではパワーヨガを毎日やっていましたね。

アンミカ:パワーヨガって、めちゃくちゃきついですよね!?

南:がっつり鍛える系が好きなの。コロナ禍のときに、撮影もストップしたし、ジムもクローズになってしまって。それがきっかけで、コロナ禍以降はパーソナルジムに切り替えて、毎朝マンツーマンでのトレーニングを始めたんです。

アンミカ:トレーニングは筋力がつくだけでなく呼吸も整うし、気が巡る感じがしますよね。

南:すごく冷え症だったんだけど、お尻と太ももの筋肉を鍛えたら基礎代謝が上がって、足首が冷えなくなったし、いいこと尽くめ。

アンミカ:健康の話って始めちゃうと止まらなくなっちゃう。でもやっぱり果歩さんが健康に気を配るのは、乳がんに加えて、50代で経験されたうつ病も影響を与えているのでしょうか。ストレートな質問でごめんなさい。

南:大丈夫よ。元夫の不倫が報じられて、それがきっかけでうつ病になっちゃって。乳がんが見つかったのがその少し前だったから、本当につらい50代でしたね。

アンミカ:転地療法で、アメリカのサンフランシスコに行かれましたよね。

南:このままだとダメになると思って逃げたの。負けて逃げたんじゃなくて、自分に優しくなるためにね。日本の女性は自分自身のケアを後回しにしがち。私もそうだったなって気づいて、私自身を置き去りにはできないという思いで、サンフランシスコの友人宅に居候させてもらいながら語学学校に通いました。

アンミカ:ただ海外に行ってゆっくり過ごされるだけじゃなく、語学学校に通うのが果歩さんのすごいところです。

南:むしろ語学学校という規則正しい生活をする環境のおかげで、自然と心も整っていったのよ。

アンミカ:毎日決まった時間のある生活なんて、自分ひとりではなかなか無理ですもんね。

南:それに異文化の集団の中にひとり放り込まれると、皆違って当たり前ってわかるの。金子みすゞさんみたいだけど(笑い)。私は俳優でも芸能人でもなく、ひとりのアジア人女性、というように俯瞰で自分を見つめられたときに、ちっぽけな存在だからこそ自分を大事にしないとって思えるようになったのよ。

アンミカ:ちっぽけな私も愛しいと“ヨシヨシ”したくなります。

南:でしょ~。自分を慈しんで、人生を楽しまなきゃもったいないと思うようになったわね。

アンミカさん
アンミカさん(撮影/葛川栄蔵)
写真3枚

心配はネガティブ、心配りはポジティブ

アンミカ:バンドの結成も、そんな激動の渦中のことでしたよね。これも人生を楽しむための選択だったのですか?

南:54才のときね。2回目の離婚の直前にお友達とお花見をしてて、「この先どうするの?」と聞かれたんです。そこで「私、バンドやってみる」って急に思いついたの。

アンミカ:映画のワンシーンみたい!ボーカルを担当されていますが、歌手に憧れがあったんですか。

南:それがまったくなの(笑い)。むしろ昔はお芝居の表現に集中したいから、仕事で歌は絶対歌わない、なんて頑なな時期もあったくらい。でも、バンドへの憧れがあったし、これまでに経験してないことをやってみようと思って始めたんです。

アンミカ:メンバー構成は?

南:プライベートでいつも遊んでいるお友達なの。お遊びの延長だからとっても気楽なのよ。

アンミカ:「ニコチャンズ」というバンド名がかわいくて!

南:でしょう。ミカちゃんが6つの言葉を唱えるじゃない?

アンミカ:HAPPY、LUCKY、LOVE、SMILE、PEACE、DREAM!

南:さすが。早口言葉みたいによどみない(笑い)。実は、私も似たことをいつも言っているの。

アンミカ:えっ!

南:私がいつも言うのはLOVE、DREAM、SMILEの3つ。愛と夢と笑顔があれば生きていけるというのが持論。ミカちゃんのいいとこどりね。

アンミカ:ホンマや。愛情がシェアできたら皆ハッピーだし、夢と笑顔があれば明るく生きられる。

南:この3つの単語をモチーフにしたニコチャンマークもバンドのロゴとして自作しているの。

アンミカ:かわいい!ニコチャンズはライブの楽曲もオリジナルなんですよね。

南:3曲だけなんだけどね。詞は私が書いて、メロディーはメンバーがつけてくれる。皆、職業がバラバラだけど多才なのよ。ミカちゃんは歌がめちゃくちゃ上手よね。

アンミカ:とんでもない!歌うのがただ大好きなんです。いまはディナーショーだけですが、いつか私も果歩さんみたいにバンドをやってみたいな。ニコチャンズのライブはトークが多めというのも親近感です。

南:トークショーの間に曲があると思ってるお客さんもいるかもしれないわ(笑い)。

アンミカ:果歩さんとお話をしていると、楽しいことや心地よいことを大切に生き生きと日々を過ごされているから、いまの自分が大好きになれるんだ、とよくわかります。好奇心旺盛ですよね。

南:そうですね。器も好き、アートも好き、ヨガも好き、映画や演劇は大好き…と、見るものとやるものがいっぱいありすぎて、毎日がとっても忙しい!

アンミカ:好きなことで忙しいのは健康的だし、幸せなこと。すぐに悩んでしまいがちな人こそ、余計なことで悩まないように趣味で忙しくしちゃうのは手ですよね。世の中には、お金をかけずに忙しくする術もたくさんありますから。

南:犬の散歩をするときに公園にある自治体の掲示板を必ずチェックしちゃうのよ。あ、面白そうな無料講習があるわ、とか。

アンミカ:手作りストラップ講習とか、私もガン見しちゃいます。

南:好きなものに目を向けると先の心配をしなくてすむ。先の心配ってしすぎても、取り越し苦労なことも意外と多いじゃない? 

アンミカ:“心配”が募るとネガティブになってしまいがち。それを“心配り”に変えてあげると、たちまちポジティブになるって思うんです。

南:それすごくいい!ミカちゃんはそういう変換も上手ね。

アンミカ:果歩さんこそですよ。傷がある方が美しいと、金継ぎを好まれるセンスに感動します。

南:ちょこっと金が入るだけで魅力的よね。割れた、傷がついたということをネガティブにとらえずに、手を加えることで新しい命が吹き込まれるの。

アンミカ:傷から光が差し込むのは人間の美しさとも通じます。

南:味わいが出るのよね。だからかな、私は食器棚からグラスを選ぶときにはだいたい、金継ぎしているものを選んじゃう。

アンミカ:ついつい目を留めてしまう、味のある個性。人としてもそうありたいなと思います!

南果歩さんのHLLSPD

南果歩さんに、Happy、Lucky、Love、Smile、Peace、Dreamについて答えてもらいました。今回はSmile、Peace、Dreamについて直撃!

Smile:あなたを笑顔にする宝物は?

家族、友人、仕事仲間、愛犬3匹

Peace:心が穏やかになる趣味や場所は?

筋トレ

Dream:これからの目標は?

自分自身の鮮度を保ちながら、最期まで現役でいること

◆モデル・俳優・アンミカ

アン ミカ/1993年パリコレ初参加。モデル業以外にもテレビ・ラジオMC、俳優、歌手、テレビCM出演と多彩に活躍。9月17日に自身がプロデュースした『ポジティブ手帳2027 365日、アン ミカ思考で幸運体質!』(小学館)が発売。

◆南果歩

みなみ かほ/1964年生まれ。1984年に映画『伽倻子のために』のヒロイン役でデビュー。以降、映画やドラマ、舞台等で活躍。2015年には映画『MASTERLESS』で全米デビューを果たした。近著に『還暦スマイル 〜人生を笑顔で生きるために必要なこと〜』(小学館)がある。

撮影/葛川栄蔵 構成/渡部美也 衣装:ブラウス、スカート/ともにピンキー アンド ダイアン、ネックレス、ピアス/ともにアビステ(アンミカさん)、ジャケット、パンツ/ともにMIHOKO SAITO(南果歩さん)

※女性セブン2026年10月29・11月5日号

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