昨今、巷で声高に叫ばれている食品添加物の危険性。しかし実は、それよりも体に確実に害をおよぼす“栄養成分”がある。自分や家族の健康を守るため、私たちはどんな食品を選んだらいいのか。ダイエットの観点から気になる「塩分」「糖類」「脂質」の食品表示の正しい見方を紹介する。

健康にダイレクトに影響するのが「食塩相当量表示」
厚生労働省によると、1日の塩分の目標摂取量は、男性8g未満、女性7g未満。高血圧学会による推奨値は6g未満である。それを守るための目安になるのが、栄養成分表示にある「食塩相当量」、あるいは「ナトリウム」量だ。2015年の食品表示法施行以降、ほとんどの食品が「食塩相当量」表示に移行しているが、まだナトリウム表示の食品もある。その場合、「ナトリウム量(mg)×2.54÷1000」の計算で食塩相当量に換算できる。


意外と塩分が多い“ノンオイル”食品
血圧を気にする人がまず見るべきは、栄養成分表示の中の「食塩相当量」。塩分量は味だけではわからないことが多く、意外な食品に多く含まれていることもあるので、表示の確認を。
「例えば、某だしパックは、1袋の食塩相当量が1.06gある。これにみそを加えると、1日3杯のみそ汁で4g以上の塩分を摂ることに」(消費生活コンサルタントの森田満樹さん)
一見ヘルシーなノンオイルドレッシングや、ライト表記のツナ缶なども、油が少ない分、味にメリハリを出すため、食塩が多く加えられていることが。ヘルシーな“イメージ”に惑わされない目が大切だ。
ナトリウム表示の場合、毎回、食塩相当量に換算するのは面倒…。そこでおすすめなのが、iPhoneやAndroidで使える自動換算してくれる無料アプリ「塩分計算機Free」だ。このアプリは、ナトリウムの量(㎎)を打ち込むだけで食塩相当量(g)に換算してくれる。さらに料理に使う塩の量(g)から塩分濃度(%)を換算する機能もある。

血糖値や体重が気になる人は「糖類」をチェック
炭水化物は糖質と食物繊維から構成されていて、糖質の一部に糖類がある。食物繊維や炭水化物が多糖類なのに対して、糖類はブドウ糖などの単糖類と、乳糖などの二糖類からできており、どちらも大量に摂ると急激に血糖値を上げてしまう。
「一方で太る原因になるのが糖質。そこで一部のメーカーでは任意で糖質表示をしていますが、最近では図のように、炭水化物の内訳として糖質、糖類、食物繊維を明示する親切な食品も増えてきました」(森田さん)



やせたい人は「糖質表示」をチェック
「ダイエット中なら、カロリーに直結する『糖質』表示に注目を。親切なメーカーなら炭水化物の内訳として表示しています。通常表示の場合は炭水化物量から、おおよその量を判断しましょう」(森田さん)
血糖値が気になる人は糖類が低いものを選ぶのがベター。
「糖質は血糖値の上がり方が比較的ゆるやかなのに対し、ブドウ糖やショ糖(砂糖)、果糖に代表される『糖類』は、糖質の中でもエネルギー源になりやすいので、急激に血糖値を上げます。糖尿病の人は、糖類の量に注意しましょう」(森田さん)
ジュースなどに入っている「果糖ブドウ糖液糖」。この正体は、とうもろこしなどのでんぷんを分解して作ったブドウ糖と、その一部を果糖に変化させた化学物質だ。カロリーが高いうえ、ブドウ糖に近い物質で血糖値を急上昇させやすい。
清涼飲料の中には、原材料表示の最初に書かれているものがあり、これはつまり、“果糖ブドウ糖液糖の塊”。太りやすいうえ、血糖値も急上昇させるので要注意だ。

トランス脂肪酸よりもっと危ない!飽和脂肪酸
日本で家庭用のマーガリンとして販売されているものの多くはファットスプレッドで、かつては脂質の一種・トランス脂肪酸が多く含まれていた。しかし、トランス脂肪酸を摂りすぎると心疾患を引き起こすことがわかり、欧米はもちろん、日本の各メーカーでも商品内の含有量を削減する傾向にある。現在は一度にたくさん摂らない限り、心配はなくなった。



積極的に摂るべきは不飽和脂肪酸
摂りすぎると心疾患を引き起こすと問題視されているトランス脂肪酸。それより心配すべきは「飽和脂肪酸」だという。
「飽和脂肪酸は肉や乳製品に含まれる脂質で、摂りすぎると動脈硬化のリスクがあることから日本でも摂取基準を設ける方向に。とはいえ、飽和脂肪酸量の表示は各メーカーの裁量。まだ表示義務はないので、記載されていない場合は、なるべく脂質の量が少ない食品を選びたい。脂質を摂るなら、魚の脂に含まれる不飽和脂肪酸『n-3系』(α‐リノレン酸、EPA、DHA)がおすすめです」(森田さん)
美容にいいと話題のココナッツオイル。しかし、パーム油同様、動脈硬化を引き起こす飽和脂肪酸が非常に多く含まれている。特にヤシの実の種子の胚分から抽出・精製したココナッツオイルは、脂肪分の9割が飽和脂肪酸。たとえ美容によいとしても、健康にはよくない。植物油だからヘルシーというイメージは捨て、食用として使うなら、キャノーラ油やなたね油がおすすめだ。

※女性セブン2018年8月23・30日号
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