
「局部の形が丸見えなんだけど、気づいてる?」──タイトなレギンスなどのスポーツウェアを身につけて出歩く女性たちを、辛辣に批判した動画が、この11月、世界中で話題となった。TikTokへの投稿者はオーストラリア・クインズランド州に住む女性だ。さらに彼女はこう畳み掛けた。
「『なんで見たの?』とか言わないでよ。見ないで済むわけないじゃん。そこにあるんだから。君がこっちに向かって歩いてくるんだから。(中略)それってつまり、『やあ、私の局部の形見える?』って言っているようなもの。そりゃ見えるよ。避けようがないじゃん」
彼女のこの問題提起は、瞬く間に世界に拡散。「まったくの同感。やっと誰かが言ってくれた」と賛同する人がいる一方で、「他人の服装にそんなにイライラするなんて」と批判めいた声もあり、スポーツウェアを日常で着用する行為に関する議論に発展している。
昨今、欧米社会では、「アスレチック(運動競技))と「レジャー(余暇)」を融合させた、『アスレジャー』というファッションジャンルが流行し、専門ブランドも急成長を遂げている。世界市場は約3500億ドル(約55兆円)とされ、2030年までに市場は約2倍に成長すると見込まれている。
「アメリカでは、フィットネスの習慣が浸透したことや、2010年半ば以降、ケンダル・ジェンナーや、ハディッド姉妹などのセレブリティが、アスレジャーを取り入れた着こなしをファッションショーのランウェイやファッション誌で披露したことも、流行の一因となりました。一方では、アスレジャーの露出の際どさや過度なカジュアルさに対し、『学校では禁止すべき』『街中で着るものではない』といった声も根強い。
そうしたレギンスに嫌悪感を示すような声に対し、一部の女性が立ち上がってデモを行うなど、社会問題になったこともありました。そうしたムーブメントを経て、現在、女性の一ファッションとして定着しています」(海外ファッションに詳しいライター)
特に“お騒がせセレブ”で知られてきたケンダルが、タイトなレギンスやヨガパンツ姿を自身のSNSなどに投稿すると、その圧巻の美スタイル画像が世界中に拡散。彼女のInstagramには2億8000万人ものフォロワーがおり、その拡散力は凄まじいものがある。
アスレジャーは数年前からアジア圏でも流行しており、韓国や日本の女性の中には、私服として導入している人もいる。
「日本でも都会に住む20代から40代の女性の間で流行っています。レギンス姿で、ウォーキングついでにそのままランチに行くという人もいますね。カフェでそういった人が近くにいると、目のやり場に困りますが……アスレジャーは、ただのレギンスに見えて1着2万円以上するものもあって、日本ではセレブで意識が高い女性ほど、導入しているファッションだと見られています。
ただ、タイトなレギンスは、スタイルのいい人しか似合わないので、誰でも着こなせるわけではありません。アスレジャーにはタイトなもの以外にもありますし、自分のスタイルはもちろん、TPOに合わせて着こなすことは意識したいですね」(別のファッションライター)
冒頭のオーストラリア人女性のように、マナーや品格という点で首を傾げる人もいるようだが、それほど目くじらを立てることでもないのかもしれない。








