冬休み期間中、動画配信サービスの「見放題プラン」を使い、映画やドラマ作品を夢中になって鑑賞した人も多いのではないでしょうか。こうした「○○放題」に定額を払い続けることをサブスクリプションサービス(以下「サブスク」)は、メリットも多い反面、注意しないと毎月無駄にお金を払い続けることにもなりかねません。
マーケティング&ブランディングディレクターで、『9割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人」』(秀和システム)の著書がある橋本之克さんに、行動経済学をもとに、サブスクで得られるメリットと、サブスクで無駄遣いをしないための注意点を教えてもらいました。
サブスクのメリットをきちんと享受できているか?
まず、サブスクの定義からおさらいを。
「もとは、雑誌や新聞などの予約購読や年間購読から生まれました。今ではネット配信によって、活字コンテンツはもちろん、音楽や映像などのコンテンツも無制限に楽しむことができるサービスです。さらにコンピューターソフトやアプリ、ゲーム、書籍や雑誌の配信、衣服のレンタルや雑貨、ラーメンやお酒などの飲食サービス、車など、そのジャンルは多岐にわたります。
AmazonなどのECサイトで会費を払えば、配送料が無料になる仕組みもサブスクの一種でしょう」(橋本さん・以下同)
自分の視野が広がるメリットも
サブスクのメリットは、利用回数が多ければ多いほど、「結果的に得」になること。また、利用のたびに申し込みや支払いをする手間も省ける利便性も挙げられます。
もう一つ、自分の視野が広がることも大きなメリット。
「例えば、音楽や映像などのコンテンツを視聴し放題のサブスク。かつては、自分が気に入ったCDやDVDなどを1枚1枚購入していましたが、サブスクであれば1つ1つのコンテンツに払うお金を気にせず視聴できます。すると、これまで見聞きしなかった『未知のコンテンツとの出合いの機会』が格段に増えます。わざわざ買ってまで聴くことはなかった曲や、タイトルやイメージだけで敬遠していた映画などを試すことができ、視野が広がります。インプットを増やしたい人には、利用価値が大きいと言えるでしょう」
以上のメリットをきちんと享受できていれば、サブスクを使い続ける価値はありそうです。
「無限に使える」は「無限に払い続ける」ということ
一方、デメリットは、初回の申し込みだけで手軽に利用し続ける便利さにあります。
「前述の通り、申し込み後は、支払い手続きなどをスキップしてサービスを使い続けることができます。支払う手間がなければ、支払っている実感もなくなります。クレジットカードの利用明細に支払い履歴が書かれていても、他の買い物に紛れて見落としたり忘れたりすれば、なおさら支払った事実自体が記憶からなくなります」
自動更新に注意
さらに、自動更新が多い点にも注意が必要。
「解約しない限り『払い放題』は永久に続きます。初月無料のキャンペーンに惹かれて会員になったものの、加入したことを忘れて毎月会費だけを払い続けるケースもあるでしょう。使い放題、すなわち無限に使えるシステムは、無限に払い続けるシステムでもあることを忘れずに」