
ダイエットをしていると体重の増減で焦るなど、何かとストレスを感じることは多いでしょう。そこで大切なのが、心を整える方法です。独自の「食欲コントロール法」によるダイエットを提唱した著書『101の科学的根拠と92%の成功率からわかった 満腹食べても太らない体』(SBクリエイティブ)が話題の富永康太さん(食欲コントロールダイエット協会代表理事・理学療法士)に、ダイエット中の心を整えるためのコツを聞きました。
ダイエット系のSNSは見ないほうがいい?
「ダイエットに関する情報はさまざまな形で得ることができますが、その中でもダイエット系のSNSの見過ぎには注意が必要です。脳は情報が入り過ぎると、ストレスが溜まって疲れます。これは『脳疲労』と呼ばれる状態で、おでこの部分に当たる脳の前頭葉の血流が滞ります」(富永さん・以下同)
理性をつかさどる前頭葉の働きが悪くなると、食欲を抑える働きが悪くなって食べ過ぎてしまうと富永さんは指摘します。では、ダイエット系SNSを見る際には何に注意すべきでしょうか。

見るときの注意点
「インスタなどで見せている世界はその人の一面だけです。インスタ上で完璧な食事をしている人も、裏では卵かけご飯など一般的な食事をしているケースもあります。順調にやせているという人でも、裏では反動による過食に悩んでいる人も少なくありません。
SNSで他人のダイエット経過を見ると焦りがちですが、お手本にしようとしているのは、その人の一部の良い面だけ。情報を集めるのは悪いことではないですが、付き合い方がものすごく大切になるとご理解ください」
ダイエットに体重計は要らない?
ダイエット指導をしている富永さんですが、「体重計を使わない」そうです。
「人間の体重は1日の中で1〜2kg前後増減します。量るなら朝一番に量る必要がありますが、実は朝一の体重測定もやめた方がよい人が多いのです。理由は、体重計に毎日乗ることがストレスになるから。人間の体重はずっと減り続けることはなく、アップダウンをしながら減っていきます。期待した通りに減らずに毎日落胆するのは、ダイエットの敵であるストレスにつながります」

体重を量るのをやめられないのはなぜ?
さらに富永さんは、「体重を量るのがやめられないのは、パチンコなどのギャンブルに依存するのと同じ」と指摘します。
「体重計に乗る習慣のある人は、体重が減少していると幸せを感じるはずです。これはホルモンの一種である『ドーパミン』の影響です。一見すると良いことのように思われますが、それが繰り返されると依存性が高くなり、ドーパミンに対する反応が鈍ってしまうのです。
そのため、日常生活のすべてにおいて幸せを感じにくくなってしまい、『食べても味の濃いものじゃないと物足りない』『お腹をパンパンにするくらい詰め込まないと満足できない』という状態に陥り、結果的に食べ過ぎて太ってしまうのです」
富永式レコーディングダイエット
ダイエット法として広まっている「レコーディングダイエット」。一般的には食事内容と摂取カロリーを記録し、自分の消費カロリーよりも少なくなるように調整するものですが、富永さんは独自のレコーディング活用法を提唱しています。
「レコーディングダイエットをすることで、『なぜこんなに食べ過ぎてしまったのか』の原因を見つけることができます。
例えば、記録をすることで毎週火曜日と木曜日に食べ過ぎていたことがわかったとします。さらにこのとき、月曜日と水曜日の睡眠時間がいつもより1時間短いことがわかったとすると、食べ過ぎの原因は寝不足ではないか? と予測できるわけです」

レコーディングダイエットのやり方
摂取カロリー以外についても記録することで、「摂取カロリーがなぜ増えたのか」が予測できる富永式レコーディングダイエットで記録すべきとしている内容は以下の通りです。
・食事内容(間食も含めて)
・お腹具合(食べる前、食べた後を10段階で、0が空腹、10が満腹)
・低血糖状態(眠気、脱力感、異常な空腹、イライラ)の有無、時間帯
・睡眠時間
・睡眠の質(夜間覚醒の有無、悪夢、歯ぎしり、朝の目覚め具合、日中の眠気)
・食べ過ぎの有無
・食べ過ぎる前の感情(イライラ、不安など)
・ストレス事(会社、家族など)
・不安事(将来のこと、お金のことなど)
「これらを記録して食べ過ぎる日などとの関係性を探していくことで、なぜやせないのかが明確になります」
◆教えてくれたのは:食欲コントロールダイエット協会代表理事・富永康太さん

西日本リハビリテーション学院卒業後、理学療法士として複数の医療機関に勤務。生理学や解剖学の知見に基づき、延べ3万人以上の治療に携わる。2016年、体質改善サロン「Leaf」開業。2019年、一般社団法人「食欲コントロールダイエット協会」設立。現在はサロンだけでなく、電話相談やオンラインダイエットなども行っている。インスタグラムのフォロワー5.5万人、YouTubeチャンネル登録者数7.3万人など、SNSでも積極的にダイエットに関する情報を発信中。https://shokuyoku-diet.com/