新茶のおいしい季節到来！ 実は、緑茶はおいしいだけでなくダイエット効果が期待できると管理栄養士の菊池真由子さん。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、1万人の栄養指導に携わってきた菊池さんに、ダイエットにつながる効果的な飲み方について教えてもらいました。
緑茶とダイエットの関連を示す報告が続々と
「2009年マーストリヒト大学（オランダ）がいくつもの論文からダイエット中に緑茶を飲むことで、飲まない場合に比べて大幅に体重を減少させると報告したことにより、現代の栄養学では、緑茶は“やせる飲み物”であるとされています。
さらに、毎日500mlの緑茶を3か月以上飲み続けると、体重と体脂肪が減少するという研究結果がいくつもの論文で報告されており、それを解析して研究をしたのが、2020年、済南市中医医院（中国）の研究です。アジア、アメリカ、ヨーロッパ各国の肥満傾向にある1377名を対象に調査した結果、緑茶の摂取によるBMI数値の減少が認められました。
期間は12週以上、1日500ml飲むとBMI数値は下がり始め、800ml飲んだときに最も下がる（参考資料：『科学的に正しいダイエット 庵野拓将著』）。BMIは、身長と体重から求められる体格を表す指数＜体重kg÷（身長m）の二乗>ですから、BMIの減少は体重の減少を意味しています」（菊池さん・以下同）
また、成功大学（台湾）が1103名を対象に、緑茶の摂取量と体重の変化を10年間追跡した疫学調査においても、1日平均434mlの緑茶を飲んだ人は、飲まなかった人に比べて体脂肪率が減少したと報告されています（参考資料、同前）。
エピガロカテキンガレートが体重減少のカギ
さまざまな研究結果も緑茶がダイエットに役立つということを示していますが、緑茶にはどんな成分が含まれているのでしょうか？
「緑茶にはポリフェノールの1種である茶カテキンが含まれています。茶カテキンの中でも体重減少のカギとされているのが、エピガロカテキンガレートといわれる渋み成分。緑茶に含まれるカフェインと一緒に摂取されれば、体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が熱エネルギーとなり消費される。そうして体重の減少につながるのです。
さらに、茶カテキンには肉の肉汁に含まれる脂肪の吸収を減らす働きもあるので、肉を食べたあとに飲めば、体への脂肪をつきにくくしてくれます。また、緑茶を選ぶ場合、ペットボトルなら“抹茶ブレンド”、“茶カテキン多め”を、茶葉なら“白折（しらおり）”とよばれる抹茶入りの茶葉がおすすめです」
食前は食欲抑制、食後は口臭予防に！
菊池さんによれば、1日500mlという量を意識すれば、飲む時間などはとくに考えなくてもいいといいます。しかし、飲むタイミングによってはさまざまな効果が期待できるケースも。
「食前に飲めば食欲抑制ホルモンが出て過食予防につながります。また、茶カテキンには焼き肉やにんにくなどのにおいをとる消臭効果もあるので、においが気になる人は食べたあとに飲むと効果的です。消臭にはウーロ茶をイメージする人も多いと思いますが、消臭効果が認められているのは緑茶だけです。
胃に違和感がある人は濃いめの緑茶は避ける
ダイエットに役立つ緑茶ですが注意点もあります。
「茶カテキンは胃を刺激する成分でもあるので、飲んで胃に違和感のある人は濃いめの緑茶は避けましょう。また、カフェインには睡眠を邪魔する覚醒効果があるので、寝る直前に飲むのは避けてなるべく4時間前までに飲むようにしましょう。ただし、覚醒作用には個人差があります。直前に飲んでも熟睡できる人は、寝る前に飲んでも問題ありません」
1日1本の緑茶を飲んで、目指せ！スッキリボディ。
◆教えてくれたのは：管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部（現・保健センター）、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部（現・予防検診部）を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。新刊『食べて、やせる！ おうちdeダイエット』（三笠書房・以下同）が2.5万部超えのヒット。10万部超えの『食べても食べても太らない法』などダイエットや美容に役立つ食事について解説した本がベストセラーに。https://www.diet-class.com/
取材・文／佐々木めぐみ