度重なる電気料金の値上げに、電力供給のひっ迫。節電を求められている今、エアコンの節電を考えている人は多いでしょう。ただ、中には、“わが家のエアコン”がどれくらい電力を消費しているのか知らない人もいるのでは? そこで家電ライターの田中真紀子さんに、自宅のエアコンが省エネタイプか否かの見分け方、そして電力消費量の目安を教えていただきました。
使っているエアコンの省エネ度は、どこを見ればわかる?
「まず、エアコンの省エネ性が高いかどうかは、取扱説明書のスペック表にある『通年エネルギー消費効率(APF)』をみるとわかります。取扱説明書が手元になければ、エアコン本体に記載されている型番をインターネットで検索すれば、基本的にメーカーの商品紹介のページに飛べますので、仕様説明などの欄からスペック表を探すとよいでしょう。
『通年エネルギー消費効率(APF)』は、1のエネルギーを何倍にできるか、というエアコンのエネルギー性能を表したもので、数値が大きいほどエネルギー消費効率が優れているということ。6.5以上であれば省エネ性は高いと思います。中には7.0を超えているものもあります」(田中さん・以下同)
エアコンの電気代の目安を知る方法
では、自分の家のエアコンの電気代がどれくらいかかっているのか、知る方法は?
「電気代は単純に考えると、スペック表にある『1時間あたりの消費電力量(kWh)』に使用時間と電気代単価(27円※全国家庭電気製品公正取引協議会が提示する電力料金の目安単価)をかければ算出されます。ただしエアコンは冷房時と暖房時で消費電力量が異なりますし、1年中使うわけではありません。
そこでエアコンの場合は特に『期間消費電力量(kWh)』が表示されています。これは一定の期間と設定温度で、冷房と暖房を使った場合、1年間の消費電力量はどれくらいになるか目安を示したもの。つまりこの数字が小さいほど、電気代が安く抑えられる機種ということになります。
例えばシャープの『P-X』シリーズで見た場合、10畳タイプの期間消費電力量は、757kWh。電気代の単価は、27円/1kWh。1年間の電気代の目安は、「期間消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)」で算出するので、『757kWh×27円/1kWh=1年間で2万439円』が目安ということになります。
これがもっと広い部屋に対応する14畳タイプになると、期間消費電力量は1081kWhですので、1年間の電気代は2万9187円が目安になります。もちろん実際の数字は外気温や設定温度、使用時間など、さまざまな要因で変わります」
最新のエアコンは、電気代のお知らせなど省エネ機能も充実
ここまで読んで、『うちのエアコンは通年エネルギー消費効率が低かった!』『1年間の電気代の目安も意外と高かった』とショックを受け、エアコンの買い替えを考え始める人もいるのではないでしょうか。ただ、買い替えたことで本当に省エネになるのか悩む人に、田中さんはこう話します。
「エアコンの消費電力量は年々低くなっています。つまり省エネ性は年々上がってきているので、古いエアコンを使っている場合は、最新機種に買い換えたほうが電気代を抑えられると言われています。
例えば最近は、最適かつ省エネになる運転方法をAIが自動で選んでくれたり、エアコン効率が上がるフィルターの自動掃除機能がついていたりと、省エネに関わる機能自体も進化しています。単に消費電力量だけでは測れない部分で電気代が抑えられる仕様になっているのです」
特に注目すべきは、エアコンの電気代をお知らせしてくれる機能。今は上位モデルを中心に、多くのエアコンに搭載されていると言います。その例が、次のモデルです。