潤っていてみずみずしくハリのある肌のためには、そろそろ高級クリームに手を出さなければと思っているアラフィフも多いかもしれませんが、ちょっと待ってください。若返り習慣を唱える、寿命制御遺伝子の分子遺伝学を専門とする医師・白澤卓二さんが著書の『「一生老けない」にいいこと超大全』(宝島社)では、高級クリームよりも「肉」を食べることをおすすめしています。その理由とは?
みずみずしい肌のためにはたんぱく質が不可欠
みずみずしく潤っていてハリのある肌には誰しもが憧れますが、そのためにはやっぱり高価なスキンケアクリームがなくては太刀打ちできない?と思ってしまうのがアラフィフというお年ごろ。でも白澤さんは、まず年齢を重ねた肌がどんな状態にあるかを説明します。
「加齢とともに肌はカサついてきますが、それは、肌の水分量が減少して、角質層と呼ばれる表皮が乾いてしまうためです。角質層は、レンガのように積み重なった角質細胞によって作られたもの。その角質細胞は、たんぱく質の一種であるケラチン繊維と繊維間物質によって成り立っています。
この繊維間物質には、NMF=天然保湿因子という、肌の保湿と深く関係する因子があります。これが、スポンジのように、水分を引き寄せてくれるため、肌に潤いがもたらされるというわけです」(白澤さん・以下同)
たんぱく質が豊富な食材を食べることが美肌のカギに
肌はもちろん、髪や爪、筋肉や内臓などもたんぱく質から作られていて、たんぱく質が美肌作りに欠かせない存在なのはよく知られていることです。しかもたんぱく質は体内で合成されないので意識してとらなければなりません。
高級クリームなどの化粧品は、あくまで「化粧品」。医薬品ではないでの、作用は穏やかで医薬品に比べたら効果が劣るのは否めません。しかも、化粧品は肌に合う合わないがあるので、高い化粧品を買ったから絶対肌がきれいになるという保証はありません。そういった観点から考えても、毎日の食事を、肉や魚などたんぱく質を意識した食事にするほうが手っ取り早く、確実な美肌作りになります。
特に牛肉でいうと、体内で作られない必須アミノ酸が豊富に含まれていて、これらは、筋肉や血液を作り、さらには体内の組織が正常に再生されるサポートするそうです。豚肉もビタミンB群が豊富ですし、鶏肉もビタミンAやB6が豊富で、筋肉作りのお供として有名です。
「NMFは、大半がアミノ酸から作られているので、アミノ酸のもとであるたんぱく質を摂取することが重要です。具体的にたんぱく質が豊富な食材は、肉類、魚類、豆類など。もちろん、食べ過ぎはNGです。肉や魚であれば、50~100g程度、木綿豆腐なら1/3丁を3食に振り分けて食べるのが効果的。肉の場合は、脂身に中性脂肪やコレステロールを増やす飽和脂肪酸が含まれているので、部位にも注意し、脂身の少ない部位を選びましょう」
ダイエット中ならラム肉やしゃぶしゃぶにしても
ダイエット中はやはり肉の脂やカロリーが気になるもの。そんなダイエット中の人は肉の種類や調理法を注意して肉を食べるのがおすすめだそうです。
「牛肉には、たんぱく質やビタミンB群がバランスよく含まれています。レバーには、肌に潤いを与えるビタミンB6が豊富。赤身には、たんぱく質の働きを助ける鉄分や亜鉛などのミネラルが多く含まれています。ダイエット中なら脂肪の少ないラム肉や、余分な脂を落とせ、調理にも油を使わないしゃぶしゃぶといった調理法もおすすめです」
◆教えてくれたのは:お茶の水健康長寿クリニック院長・白澤卓二さん
お茶の水健康長寿クリニック院長。医学博士。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。著書は200冊を超え、テレビ番組にも多数出演。わかりやすい医学解説が評判。今年3月、肌、髪、体に関する100の若返り習慣を紹介した著書『「一生老けない」にいいこと超大全』(宝島社)を出版。https://ipma.jp/lecturer/sirasawa/