初対面や仕事の人との雑談ネタで困らないために、普段からできることはないでしょうか。雑談コミュニケーション専門家・松橋良紀さんは、「読書こそ、雑談ネタの宝庫」だと断言します。松橋さんの最新刊『すごい雑談力』(秀和システム)には、雑談のノウハウが網羅されています。その中から、雑談が途切れないための読書術を教えてもらいました。
読書によって読解力と教養が身につく
まず大前提として、雑談にはネタ以上に読解力が必要。つまり、雑談力と読書は切っても切れない関係だと言います。
「特に難しい専門分野の話をしているわけでもないのに、『それ、どういう意味?』『どういうこと?』と話の腰を折ってくる人がいます。雑談レベルの読解力や教養がないのは、ネタに困るという以前の問題。雑談をスムーズに運ぶ上でも、読書によって培われる読解力と教養は必須と言えます」(松橋さん・以下同)
読書が雑談に有効な理由【1】「確かなネタ」の宝庫である
読解力や教養を高める以外でも、読書は雑談にさまざまなメリットをもたらします。その一つが、確度の高いネタが詰まっていること。
「書籍は、著者が何十年もかけて研究したことをまとめたものが少なくありません。私が1冊目を出版したときは、『人生最初で最後の本になるかもしれない』との思いもあり、20年間の経験や体験から得たノウハウやスキルを凝縮して書き上げました。
さらに私の場合、受講費が数十万円のセミナーで教えている内容を、本の中に凝縮して書くことも。しかも編集者がしっかりと内容を精査し、事実確認も取った上で書店に並んでいます。誰もチェックする必要のない個人発信のブログなどに比べ、信ぴょう性の高さはケタ違い。雑談ネタのリソースとしては、もっとも確実な情報源といえるでしょう」
読書が雑談に有効な理由【2】語彙力を高められる
雑談を含めたコミュニケーションでは、語彙力も不可欠。
「語彙力とは、言い換える力でもあります。言葉や単語を知っていることはもちろん、それらを組み合わせることでさらに語彙が豊富になり、表現豊かに相手に物事を伝えることができます。そして語彙力は、活字を読み込むことで高まります。何かに感動したとき、『すごい!』『かわいい!』『やばい!』くらいしか言えないとしたら、語彙力を磨く必要があるでしょう」
おすすめは往年の名作小説
ただし、本なら何でもいいわけではありません。松橋さんが特におすすめするのは、往年の名作。
「語彙力や表現力を高めるのに最適なのは、名作と言われる小説です。小説などの文筆家は、一行一句が作品です。磨きに磨かれた文章は、自分の文章力、ひいては雑談力を高めるのにとても有効です。現役の小説家だけでなく、いわゆる文豪の名文にもぜひ触れてみてください」
もちろん日本人作家以外でも、外国文学でも著名な翻訳家が訳した名著もおすすめです。
「余暇に多数の本を読むのもいいですが、時には『この本から何を得たいか』、目的を決めてから読むのもいいでしょう。目的ありきで読むと、吸収率がより高まります」