現行の健康保険証が2024年秋に廃止され、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に一本化されることに。実は、2022年10月からマイナ保険証を使うことで、病院、薬局での支払い額が安くなることを知っていますか? また、これまでの健康保険証にはなかったメリットもあるので、マイナ保険証に切り替えるべきかどうか迷っている人は、マイナ保険証を作るメリットとデメリットについて知りましょう。生活コスト削減コンサルタントの生方正さんに解説してもらいました。
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マイナ保険証のメリット、デメリットは?
マイナンバーカードに健康保険証の機能をつけて、健康保険証として利用できるマイナ保険証。現在使用している健康保険証と比べてどんなメリットがあるのでしょうか。またデメリットについてもしっかり理解しておくことが大切です。
「マイナ保険証」を使うと病院、薬局での窓口負担が安くなる
2022年10月以降はマイナ保険証を使う場合の窓口負担が減り、従来の保険証を使うと窓口での負担が増える仕組みに変わります。
9月末まではマイナ保険証を使った初診料は21円でしたが、2022年10月以降は6円に。逆に、従来の健康保険証を利用した場合9月末までは初診で9円でしたが、10月以降は初診で12円かかります。再診の場合は、マイナ保険証と従来の健康保険証ともに上乗せはありません。(ともに3割負担の場合)
ただし、病院や薬局でマイナ保険証のシステムを導入していない場合は従来の保険証を使っても追加負担は発生しません。
病院、薬局での受け付けが顔認証で自動化され、人との接触回数を減らせる
病院や薬局でマイナ保険証を利用する場合、対応窓口でマイナ保険証を搭載したマイナンバーカードをリーダーにかざすだけで受け付けが完了。顔認証付きなので、本人確認も自動でできます。窓口での手続きがスムーズになるうえ、「コロナ禍で人との接触を減らしたい」と思っている人にはうれしい機能です。
就職、転職、引っ越しをしても健康保険証として使い続けることが可能
これまでの健康保険証は、会社や都道府県単位(2017年までは市町村単位)で管理していたため、転職したり引っ越しをするたびに健康保険証を再発行する必要がありました。マイナ保険証は、加入や喪失、保険変更の届出は従来どおり必要ですが、保険証の切り替えを待たずに受診することができます。転職や引っ越しなどの忙しいときに健康保険証の申請手続きが減るだけでも助かる人は多いはずです。
マイナポータルで特定検診情報や薬剤情報、医療費が確認可能
子育てや介護など、行政手続きのオンライン窓口「マイナポータル」と紐づけられることで、本人の同意があれば、過去に処方された薬の情報や特定健診などの結果を閲覧できるようになります。
薬局で処方された薬の情報なども記録されるようになるため、複数の病院を受診している場合は薬の重複がないことを薬剤師が確認することもできます。
マイナポータルで確定申告の医療費控除が簡単にできる
年間の医療費が10万円以上かかった場合、確定申告すると医療費控除が受けられます。これまで確定申告で医療費控除を受けるためには、自分で医療費の計算をして申告する必要がありました。
マイナ保険証を使えば病院、薬局で支払った額がすべての金額が記録されているためので、領収書の保管漏れの心配がありません。さらにマイナポータルと連携することで、手入力せず金額の計算ができるので、確定申告がスムーズになります(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/mainapotaru.htm)。「年間10万円以上の医療費を払っているかわからない」「医療費控除の計算が面倒で申告していなかった」という人は利便性が高まります。
限度額適用認定証が自動適用される
病気や怪我で医療機関での支払い額が高額になる場合、高額医療費制度(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/)を活用すれば自己負担額を超えた分があとで払い戻しされます。ただし、あらかじめ「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に提示していない場合は、いったん実費を払う必要がありました。
マイナ保険証を使った場合は、限度額適用認定証を窓口に持参する必要がなくなります。さらに、オンライン資格確認が導入された医療機関では、申請も不要です。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html)