「老後資金は2000万円必要」とも言われますが、貯蓄はできていますか? 昨年から今年にかけて光熱費や食料品が値上がりしたことで、将来必要な生活費はさらに増えたことになり、無計画では思うように貯蓄できないかもしれません。そこで「定年退職後に安心して暮らすためには、自分の受け取れる年金額を知ることが第一歩」と話す、生活コスト削減コンサルタントの生方正さんにお話をうかがいました。
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自分の公的年金の見込額を把握する
誰でも将来の生活に不安を抱いていると思いますが、漠然と心配するだけではいけません。正しい対策を実施するためには、自分の年金受給額を把握することが大切。そのためには、現在の納付状況を知ることが必要です。
毎年、誕生月になると、その時点での納付額を元に算出した受給額を通知する「ねんきん定期便」が届きます。この通知を見ることで、会社員や公務員として加入していた月数、自営業や学生として国民年金を納めた月数、扶養者として納めた国民年金の期間や累計額を知ることができます。
おすすめは「ねんきんネット」の利用
意外に知られていないのが、スマホやパソコンから利用できる「ねんきんネット」です。こちらは「ねんきん定期便」よりも詳しい情報を得られます。基礎年金番号を登録し、利用する「ねんきんネット」は、ねんきん定期便よりも多くの情報を得られるので、自身の状況を確認しましょう。
ちなみに、マイナンバーカードを保有している方は、政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」から連携することもできます。
「ねんきんネット」で受給年金額を試算
「ねんきんネット」では、まず、過去の年金納付状況を年月ごとに一覧することができます。また、納めた月の月給(標準報酬月額)や在籍していた会社名も記載されています。
もうひとつの重要な機能は年金受給額のシミュレーションができることです。付帯されている機能「かんたん試算」は現時点での加入条件・今の年収が60歳まで続くと仮定した見込額で試算することができます。さらに、「詳細な条件で試算」を使うことで将来受け取ることができる受給額を複数のパターンから把握することができます。
試算条件を変えてより具体的にイメージ
「詳細な条件で試算」は、今後の月給とボーナス見込額と定年年齢を入力して計算します。
月給や定年時期、受給開始年を変えて入力し、複数パターンを一覧表示させる機能もあるので、65歳まで働くパターンと70歳まで働いた場合など、複数の人生設計を想像しながら受給額を比較してみましょう。より具体的に老後のイメージがつかめるはずです。
年金受給額と必要な生活費を照らし合わせて不足分をイメージする
年金の受給額を把握できると、「老後資金がいくら不足するのか?」、「それともいくらか余るのか?」というのを、具体的にイメージすることができるようになります。
老後年金が不足しないためには、あと何年年金を納める必要がある、安心して老後を過ごすためには年金以外にどのくらいの貯蓄が必要か、などがわかります。そこから、無駄な支出の見直しや別の仕事を始めて貯蓄を増やす、といったビジョンも見えてくるでしょう。
一方、老後資金に余裕があると前もってわかった家庭は、動ける内に家族で海外旅行に行って楽しい思い出作りをする、ということも考えられます。受給額を知ることで人生の選択肢を広げることもできるのです。
◆教えてくれたのは:生活コスト削減コンサルタント・生方正さん
うぶかた・ただし。明治大学サービス創新研究所研究員。高校卒業後に海上自衛隊に入隊。勤務の傍ら節約術を駆使しながら、国内株式、金の現物買い、在日米軍に対する不動産投資などを行い、40代で2億円の資産を築いた。現在は生活コスト削減コンサルタントと南極講演家として、メディアで活躍中。著書に『高卒自衛官が実現した40代で資産2億円をつくる方法』(あさ出版)、『攻めの節約』(WAVE出版)など。
構成/村澤ヒロカズ