
17年間の専業主婦を経て、再びキャリアの世界に飛び込んだ薄井シンシアさん(64歳)。47歳の再スタートから8社目の会社で働くシンシアさんは、これまでに年代も背景も異なるさまざまな同僚と付き合ってきました。シンシアさんが職場で快適に過ごすために心がけていることとは? 同僚との距離の取り方を聞きました。
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ミスが続く同僚に「仕事と子育てを両立していると思ったら大間違い」
私は、めっちゃきついんですよ。コミュニケーションがはっきりしています。以前、ミスが続いていた同僚に指摘したことがあります。
彼女には幼い子供がいるので、私はさまざまな場面で彼女をサポートしてきました。でも、あまりにもミスが続いていたので「あなた、仕事と子育てを両立できていると思ったら大間違いだからね。こんなにミスだらけで、私がどれだけカバーしていると思っているの。もっとよく考えてね」と言いました。

私は普段からすごく彼女をサポートしています。私にも子育ての経験があるので、小さなお子さんがいたらどうなるかは想像がつくじゃないですか。だから彼女と同じ給料だけれど、私のほうが多く仕事をこなすし、彼女を手伝うこともありました。それは私の親切心からしているサポート。でも、そこで彼女にミスをされると、本当に頭に来る。だからバシッと言いました。
指摘したあとは引きずらない。人によって態度も変えない
ミスを指摘すると言っても、初めてのミスなら「これから、ちゃんと注意してね」と声を掛ける程度です。でも度重なれば「簡単なミスなんだから、ちゃんと注意してね」「あなたが注意してないから、こういうことになったのよ」と厳しく伝えるようにします。
そのときは、彼女のミスが続いていたので、「これはバシッと言おう」と厳しく注意しました。同僚は「悪かった。自分がぜんぜん両立できていないことは、わかっている。仕事がおろそかになっていた」と反省していました。

私は言うべきことは、はっきり言うけど、その後は何も引きずりません。指摘したあとは特に何も言わないし、フォローもしません。言ったら終わり。その後は普段通りに接します。私は誰に対しても対応を変えないので、ある意味では、わかりやすいでしょう?
情報を更新したいから「聞き役」に回る
同僚には、自分から積極的に話しかけます。何気ない会話が刺激になって成長につながると思うから、私は在宅よりもオフィス勤務が好きです。先日は朝、電車内で初めて同僚を見かけたので声をかけました。
住んでいる場所や、共通して知っている店、同僚のお子さんの話などを聞きました。10分足らずの時間でしたが、人間関係を築けた気がします。仕事仲間のことを知らないより、知っているほうが親近感がわくじゃない? そういうことって本当に大事だと思います。

人にとても興味があるので、自分から積極的に話しかけます。だって、自分が経験できることは24時間しかないけど、他人と話せば情報が更新されるでしょう? だから人と話すときは聞き役に回ることが多いかもしれません。
メールは24時間以内の返信が基本
メールの基本ルールは、24時間以内に返信すること。返信の優先順位は、給料をもらっている相手から先に取りかかります。
私は言葉遣いがきついから、メールを書くときは必ず読み返して「無礼な言葉遣いになっていないかな?」と確認します。揉めている案件への返信は、すぐに送らずにちょっと時間をおく。1~2時間置いてから、PCに戻って文面を考えます。
長いメールは嫌いなので、相手から返信がないのに、重ねてメールを送ったりはしません。込み入った話のときは「この件について、ちょっと話をしたいんだけど、簡単に話す時間はありますか」とメールをして、オンラインでも対面でも、会ってから内容を話すようにしています。そのほうが細かいニュアンスが伝えられるし、誤解もないでしょう?
メールに使う文字は、大きいフォントを使うことが多いかもしれません。大きい文字のほうがみんなが見やすいかなと思うし、自分も見やすいので。
◆薄井シンシアさん

1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia
構成/藤森かもめ
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