健康・医療

生理痛のときに温めるべきは?症状を和らげるのに役立つ10秒「こわばり筋ほぐし」のやり方

お腹をおさえる女性
生理痛は、異性はもちろん同性からも理解されにくい症状の1つ(Ph/GettyImages)
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生理痛は、異性はもちろん同性からも理解されにくい症状の1つです。ベストセラー『「やせたい」なんてひと言もいってないのにやせた1分ねじれ筋のばし』の著者である今村匡子さんは、生理痛を含むさまざまな痛みや不調を抱える患者と20年以上にわたり向き合い続けたことで、その場で痛みを軽くし、継続することで症状が出にくい体質に変えるセルフケア「こわばり筋ほぐし」の開発に至りました。その理論と実践法を1冊にまとめた『大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けします。

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生理痛は人によって重さがまるで違うため、異性から理解されないのはもちろん同性からも「そこまで?」などと思われることもある、精神的にもつらさを伴いがちな症状です。過去のカルテを調べてみたところ、当院に通ってくださった患者さんの半数近くがお悩みだったので、一般の方にもかなり多いのではないでしょうか。

私の20年以上にわたるキャリアのなか数万人の症例を確認したところ、生理痛はおもに2つのタイプがありました。症状緩和に役立つコツも記したので、ぜひお試しくださいませ。

お腹の痛みを感じている女性
生理痛のおもな2つのタイプとは(Ph/GettyImages)
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【1】骨盤の関節のゆるみから生じる独特の鈍痛

月経時の腰の痛みは、一般的な腰痛とは違い、腰の下部の奥にある仙腸関節あたりに重苦しい鈍痛やうずくような痛みが生じます。この痛みは腰を温めるとラクになるので、使い捨てカイロなどを活用して温めている人も多いのでは。

生理になると女性ホルモンのリラキシンが分泌され、骨盤の靭帯が必要以上にゆるくなります。それを支えようと腰まわりの腸骨筋や多裂筋、回旋筋が活発に働いて独特の腰痛を引き起こしますが、このときに骨盤の関節を安定させると腰まわりの筋肉が過剰に働かずにすむので、痛みがやわらぐのです。

腰を押さえている人
一般的な腰痛とは異なる月経時の腰の痛み
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本来、腹筋の力が強ければ、腰まわりの筋肉を使わずに骨盤の関節を支えられますが、運動不足で筋力低下が進むと痛むようになります。立ち上がったときなど、動いた瞬間に腹圧が高まりドバッと経血が出る人は腹筋の力が弱まっており、筋力があった学生時代はなかった生理痛が社会人になって生じるケースも。腰痛や経血が気になったり、血流が悪くなるせいで仕事などに集中できずぼーっとしたりするからと薬に依存する人も多いですが、ぜひ一度、体の使い方を変えてみてください。

太ももの大腿四頭筋を使うと、腹筋も連動して使えるようになるので、歩くときは歩幅を広げ、座っているときはその場で足踏みするのもおすすめです。

生理痛を改善する「四頭筋しゃがみ」のやり方

そして生理痛を改善するのに役立つのが、太ももの大腿四頭筋を使う「こわばり筋ほぐし」です。10秒でできる「四頭筋しゃがみ」のやり方を紹介します。

『大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし』(サンマーク出版)より
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1.立って壁に手をつく
壁の前に立って足を肩幅に開き、両手をつく。

2.お尻を後ろに引いていく
太ももと床が平行になるまでしゃがむ。このとき、太ももの前側に力が入る。上半身が前後に倒れそうなときは、何かにつかまってもいいし深くしゃがまなくてもいい。

3.ひざをしっかりのばす
しゃがむ姿勢を3秒キープしたら、ひざをまっすぐのばして立ち上がる。

上記の3ステップを、3〜5回くり返す。

【2】血行不良や冷えが子宮を収縮させて痛む

生理前や生理期間の前半に感じる下腹部の痛みや張り、鈍痛は、女性ホルモンの影響による子宮の収縮が原因です。滞った経血を排出しようと子宮が強く収縮し、鋭い痛みが。お腹を下したときの強い痛みに似ていて、残念ながら鎮痛剤を飲んでもあまり効き目がありません。姿勢不良や体の冷えで子宮の筋肉が硬くなると、痛みがさらに増してしまいます。

お腹を押さえる人
生理前や生理期間の前半に感じる下腹部の痛みや張り、鈍痛は、女性ホルモンの影響による子宮の収縮が原因
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貧血やイライラが生じ、眠気が生じたり、やる気が低下したり、痛みがひどくて寝込んだりして、うつっぽくなり落ち込む人も。痛みで身動きがとれなくなったり、前かがみの姿勢になって骨盤が後ろに倒れたりすると、子宮が折れ曲がって、さらに経血が排出されにくくなるという悪循環に陥ります。

血流をよくして体の冷えなどを緩和するなら、毛細血管と女性の不調のツボが集中する、内くるぶしの5cm上を刺激しましょう。カイロやレッグウォーマー、足浴などで温めるのもおすすめです。

血流が悪くなる要因に下肢の筋力低下があるので、毎日スマホなどで歩数を計りましょう。1日の歩数が少ない人ならまずは3000歩、理想は8000歩です。歩幅を10cm広げ、少しでも先に足を着地させる大また歩きで腸腰筋が働きます。そうすると骨盤が前後に倒れないので、痛みを緩和できますよ。

◆教えてくれたのは:柔道整復師、鍼灸師・今村匡子さん

柔道整復師、鍼灸師・今村匡子さん
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大阪府生まれ。あさひ整骨院日本橋浜町院院長。柔道整復師、鍼灸師。陸上競技(中距離走)での怪我に苦しんだ中学生のときに体のメンテナンスに関心を持ち、さまざまなボディケアを学ぶように。高校在学中の17歳から整骨院での助手を始め、21歳より整骨院でのキャリアをスタート。高齢者の術後リハビリに勤しむなか痛みやこりを生じにくくする体の使い方を模索。28歳からはビジネスパーソンの姿勢改善や不調緩和を施術のメインとし、痛みやこりが消えるだけでなくやせると評判に。モデルやアスリートの顧客が増える。32歳からは女性の体形改善や後ケアに特化した現職に。自身の妊娠・出産経験を活かし、年間産後ケア人数は6000人を超える。

大丈夫なふりして生きてる人の体に効く こわばり筋ほぐし

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