
気温の高い日が続くこの時期。5月21日に発表した日本気象協会の予想では、九州北部から関東甲信、東北にかけては6月中旬に梅雨入りに。雨などで湿度が上がると、雑菌やカビの繁殖が気になってくるが、果たしてこの湿気、サーキュレーターや扇風機の風で飛ばすことは可能なのだろうか? 家電ライターの田中真紀子さんに聞いた。
湿気対策でサーキュレーターができること
サーキュレーターや扇風機による送風のみで、部屋の湿度を下げることは可能なのか。除湿ができるならば、どのように使うと効率的か。田中さんは、こう話す。
「除湿するには、除湿機のように空気の中から水分を取り除くといった工程が必要になります。その点、サーキュレーターや扇風機は風を出すだけの家電ですので、正確な意味で除湿することはできません。ただし、サーキュレーターや扇風機で室内の空気をかくはんしたり、湿気を飛ばすといった換気のサポートは可能です。その場合はドアや窓を開けて、湿気を室内から追い出すと効率的です」(田中さん・以下同)
とはいえ、雨の日は屋外の方が湿度が高いため、窓を開けると逆効果に。換気のサポートとしてサーキュレーターを使えるのは、雨の日以外だと覚えておきたい。
サーキュレーターは雨の日の室内干しでも活躍するが…
一方、雨の日でも、サーキュレーターや扇風機の送風で室内に干した洗濯物を乾かすことは可能だという。
「濡れた衣類の周辺には湿気が多く漂っていますので、水分が蒸発しにくい状態にあり、乾燥に時間がかかってしまいます。そこに扇風機やサーキュレーターの風を当てると湿気が飛ばされ蒸発が促されるので、乾燥時間が短縮できます」
雨の日は衣類乾燥しても湿度が残る
さらに、次の工夫で、洗濯物はより乾きやすくなる。

「洗濯物を早く乾かすには、通気性を促すことがポイントなので、アーチ型に干すとよいとされています。洗濯ハンガーの外側に長い衣類を、内側に短い衣類を干し、アーチ型を作ることで風が通り抜けやすく、効率的に乾燥できるというわけです。また部屋の隅で干すより、部屋の真ん中や空気の通り道となる場所で干すとよいでしょう。
ただし、いずれの場合も部屋が閉めっぱなしの状態だと、湿気自体は部屋の中に残ってしまい、時間が経つと湿気が戻ってじめっとしたりしてしまうこともあります」
つまり、サーキュレーターで洗濯物を乾かすことはできても、雨の日に一定して室内の湿度を下げるのは難しいということ。
雨天時に使うならサーキュレーターより衣類乾燥除湿機を
この時期おすすめはコンプレッサー式かハイブリッド式。雨の日の湿気と“洗濯物が乾かない”問題を同時に解決したいなら、衣類乾燥除湿機を使う方がおすすめだという。


「衣類乾燥除湿機は、送風で乾かすと同時に、湿気を含んだ空気を吸い込み、内部で水分を取り出して乾いた空気を戻してくれます。そのため乾燥が促されて室内の湿度が上がりすぎることもありません。扇風機のような風で洗濯物を乾かしつつ、部屋の湿度も下げてくれる一石二鳥の電化製品なのです。
ただし除湿機の中でも、デシカント式(ゼオライト式)と呼ばれるタイプは、ヒーターを使いますので周辺温度が上がり、夏には不向き。これからの季節は留守中に使うか、在宅時に使うなら周辺温度が上がらないコンプレッサー式もしくはハイブリッド式を選ぶといいでしょう」
コンプレッサー式とは、水分を含んだ空気を取り込んで冷やし、水滴にしてタンクに回収する方式。除湿にヒーターを使わないため、電気代はデシカント式やハイブリッド式より安いのが特徴だ。ハイブリッド式は、コンプレッサー式とデシカント式のメリットを搭載した“いいとこどり”タイプ。そのため、3つの方式の中では本体価格は最も高いが、季節を問わず一年中、パワフルに除湿できる。
さて、夏季の雨天時に室内干しで活躍する、コンプレッサー式とハイブリッド式の衣類乾燥除湿機。中でも田中さんが今注目しているのは次の2点だ。
【1】三菱電機『部屋干しおまかせムーブアイ搭載タイプ(サラリ) MJ-M120WX』

まずはコンプレッサー式。衣類を効率的に乾かしてくれる人気シリーズから、今年度モデルが登場。
乾きムラを抑えて効率的に乾燥できるコンプレッサー式
「衣類乾燥しながら、赤外線センサーを利用した『部屋干しおまかせムーブアイ』が洗濯物の乾き具合をチェックします。左右180cmにワイドな風を広げて乾燥しながら、特に濡れている場所に集中的に風を当てるので、乾きムラを抑えて効率的に乾燥できるのが特徴です。センサーが見ている部分を光が照らす『光ガイド』で、乾き具合を客観的にチェックすることも可能です」
1日あたりの除湿能力は、室温27℃、相対湿度60%時で11L(50Hz)~12L(60Hz)とパワフル。1時間あたりの電気代の目安(※)も、除湿強モードの場合で10.1円(50Hz)~11.9円(6 0Hz)と経済的なので気軽に使えそうだ。
【2】パナソニック『ハイブリッド方式 衣類乾燥除湿機 F-YHX90B』

こちらは、コンプレッサー式とデシカント式の両方の長所を取り入れたハイブリッド式。
洗濯物の真下における横長タイプのハイブリッド式
「環境に合わせて適した方式で稼働するため、1年中快適に使えます。横長タイプなので、洗濯物の真下に置いて使うこともできてスペース効率もよし。洗濯物の真下から、左右約100cmのワイドな風を衣類に送ります。ナノイーXが、部屋干し臭の原因となる菌やニオイ、花粉、カビを抑制してくれるので、室内干しの悩みの解消にも」
1日あたりの最大除湿能力は、強モード時で室温27℃、相対湿度60%を維持した時で、7.8(50Hz)~8.5L(60Hz)。1時間あたりの電気代の目安(※)は、標準モードで6円(50~60Hz)、速乾モードで17~18円(50~60Hz)と、お財布にもやさしい。
雨の日の“洗濯物が乾かない”問題と“湿気を取りたい”問題を同時に解決してくれる衣類乾燥除湿機。毎年悩んでいる人は、要チェックだ。
※電気代の目安は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会「新電気料金目安単価」より31円/kWh(税込)として算出。[2022年7月改定]。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

白物家電や美容家電を中心に家電に詳しいライター。雑誌やウェブなど多数のメディアで、新製品などをレビューしている。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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