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《美のプロが告白》やってよかった美容医療と注意点 ヒアルロン酸&ボトックスはどこに打ったらいい? 肌にツヤ感を与えるフォトフェイシャルとは?

ヒアルロン酸注入をする女性
美に精通したプロたちに「本当にやってよかった」施術とは?(写真/PIXTA)
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「いつまでも若々しく、美しくありたい」という願いは、医療技術が進化したいま実現可能となった。シミとりやしわ改善のための美容医療はいまや、毎日のスキンケアと同じくらい身近なものになっている。だからこそ、美に精通したプロたちに「本当にやってよかった」施術と注意点について教えてもらった。

ヒアルロン酸で鼻から若返り

鏡を見て思うことはなんだろう。たるんだフェイスライン、くすんだ肌、隠しきれないシミ、深く刻まれたしわ、どれかひとつでも“なかったこと”になれば、3才は若く見えるのに――。

埼玉県に住むAさん(52才)は、この春、意を決して美容クリニックの扉を開けた。

「眉間のしわがどんどん深くなっている気がして、鏡を見るのが憂鬱でした。ファンデーションがしわでムラになるのもすごく嫌で。20才の娘に相談したら、“ボトックスを打てば気にならなくなるよ”と言われたんです。美容整形なんて…と躊躇したんですが、友人に話したら経験者が意外といてびっくり。娘も韓国でほくろやシミをとっているというし、それならやってみようと。

クリニックはきれいで清潔感があり、先生の問診も施術もとても丁寧で。打った後も自然で、夫は気づきもしませんでした(笑い)。でも私自身はとっても満足しています」

いま、Aさんのように美容医療を受ける女性は増えており、矢野経済研究所の調査によると2019年におよそ4000億円だった市場規模は、2024年に約6300億円にまで拡大。今後もニーズは高止まりし、市場はさらに大きくなると予測される。背景には技術進歩や施術内容の多様化、なにより利用者の心理的なハードルが下がり、誰でも気軽に受けられるようになったことがあるだろう。

肌を触る女性
美容医療は、誰でも気軽に受けられるようになった(写真/PIXTA)
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あきこクリニック院長の田中亜希子さんは、定期的にボトックスを打ち、ヒアルロン酸を注入し、糸リフトを入れている。

「糸リフトはとげとげのついた糸を皮下脂肪層に入れることで、下がった脂肪の位置を元に戻してくれるのでたるみが改善されます。

細く小さな穴を開けて入れるのでメスは入りませんし、傷痕もまったく目立ちません。糸は脂肪内で溶けてしまい、効果は1年ほどです」

ヒアルロン酸もメスを使わない施術で、もともと体内にある成分を注入することでしわ改善、リフトアップ、ボリュームアップなどの効果が実感できる。

「加齢とともに骨はだんだんと萎縮するため、おでこがゴツゴツしてきたり、こめかみがへこんできたり、眼窩(目の周りのくぼみ)が落ち込んだりします。するとたるみは目立つし、鼻は大きく広がって、額やあごは後退してしまう。そういった部分にヒアルロン酸を注入することで額はふっくらと、鼻は高く、たるみも改善され、グッと若返った印象になります」(田中さん)

都内の美容クリニックに勤務する看護師のBさん(42才)も半年に1回のペースで、ボトックスとヒアルロン酸を打っている。

「ボトックスは筋肉の動きを抑制して、しわ改善や小顔効果をもたらす施術です。歯ぎしり改善の効果もあって、うちのクリニックでは若い人から60代まで幅広い層が受けています。ほとんどの人は、エラや眉間にボトックスを打ちますが私は上唇周辺。笑ったときに歯茎が見えるのがコンプレックスなので、上唇を持ち上げる筋肉に打って笑っても歯茎が見えないようになりました。

ヒアルロン酸はこめかみです。意外かもしれませんが加齢とともにこめかみもへこみ、老け顔の要因になるんです」

眉間や口まわりのしわ、全体的なたるみが「老け顔」の原因
ボトックスの意外なおすすめの部位はあご(写真/PIXTA)
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田中さんも、ボトックスの意外なおすすめの部位についてこう話す。

「あまり知られていませんが、あごです。あごの骨も年を重ねるとだんだん下がっていくので年齢とともに“梅干しじわ”ができてきます。ボトックスをあごに打つことで解消され、つるんとして若々しく見えます」

年をとったら肌の美しさが命

ひと昔前は美容医療といえば、メスを入れる「整形」という印象が強かったが、前述の通り現在は、メスを使わない施術が一般的となった。

ボトックスやヒアルロン酸といった注入治療だけでなく、レーザー照射や光照射も代表例だ。渋谷あおぞらクリニック美容外科・美容皮膚科院長の鶴田優希さんはフォトフェイシャルを定期的に受けている。

美容医療をする女性
レーザー照射や光照射も美容衣装の代表例(写真/PIXTA)
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「IPLという光を肌にあてることで肌の細胞を活性化させて、毛穴やシミが目立たなくなったり、肌にハリが出るなどの効果が得られます。シミや赤みも薄くなってツヤも出るので、月に1回くらいのペースで5~6年は続けています」

30代から美容医療に目覚め、これまでいろいろな施術を受けたという美容ライターのCさん(48才)もこう話す。

「昔もいまも、目指したいのはスッピンでもきれいな肌です。大学生のときのような(笑い)、化粧をしなくてもいい肌になりたくて、数多くの美容医療を受けてきました。その中でもリピートしているひとつがフォトフェイシャル。レーザーは単一の波長の光なので特定の部分に集中して深い層に浸透しますから、シミとりや肝斑には効果的。

フォトフェイシャルはいくつかの波長を持つ光が顔全体にあたって満遍なくツヤ感をもたらしてくれます。ほうれい線も薄くなって、寝起きの顔を鏡で見ても、がっかりしなくてすんでます。ジェネシスというレーザーでクマとりも定期的にしています。血行がよくなり、クマが薄くなって肌のキメも整う。去年まではリジュランという施術にハマっていましたが、少し痛みがあるのでいまはお休みしています」

年をとるにつれ、顔の美醜よりも肌の美しさが大事になっていくと言うのは、田中さんだ。

眉間や口まわりのしわ、全体的なたるみが「老け顔」の原因
眉間や口まわりのしわ、全体的なたるみが「老け顔」の原因。定期的な“ケア”でアンチエイジングは可能になる(写真/PIXTA)
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「ヒアルロン酸もボトックスもそうですが、肌を育て、整える肌育注射は万人におすすめしたいですね。リジュランはポリヌクレオチドというサーモンのDNAを使った肌育注射で、肌に潤いをもたらし、美白効果が期待できます。韓国で爆発的に流行し、渡韓して受ける人も多かったのですが、やっぱり日本で受けた方が安心です。韓国はナチュラル志向ではないので、仕上がりがあまり自然な感じでなくなってしまうケースが少なくありません」

鶴田さんも続ける。

「一時期のブームは落ち着いた印象ですが、いまでもかなり需要のある施術です。肌をきれいにする効果と、目の周りの小じわを解消する効果も期待できます。ただし、しわを解消するには3~5回は通う必要がある。

術後は赤みが出たり、少し腫れたりすることもあるので、ケアを安心して受けるためにも日本での施術をおすすめします」

hyoヒアルロン酸&ボトックスを打つならココ!(写真/PIXTA)

美容医療は健康維持にも効果

美容医療の目的は、美しさだけではない。鶴田さんはボトックスを脇にも打っており、それは汗の量を減らすためだ。

「ボトックスには汗腺の活動を抑制する働きもあり、多汗症の治療にも用いられます。私の体感だと、脇の下に打つと汗が5分の1くらいに減って、洋服のシミも気にならなくなるし、とても快適なんです。

夏だけじゃなくて冬でもやりたいという人が多い。冬場は室内や電車内の暖房が効きすぎて、防寒のために着ているセーターに汗をかいてしまって、でも洗濯もできないというケースが結構あると思うんです。ボトックスを打っておけば暑くてもサラサラで、洋服も汚れにくくなります」

前出の看護師・Bさんは肩こり予防で肩にボトックスを打っていると話す。

「筋肉のこりをやわらげるので、肩こりが緩和されて楽になりました。筋肉の動きが抑制されるので、肩がスリムになって全体的にやせた印象にもなります。

ただ、内出血や痛みが出ることがあるので、受ける際には医師とよく相談した方がいいですね」

肌の深い層に機械で高密度の超音波の熱をあててたるみやしわを改善し、リフトアップも見込めるHIFUも美容以外の効果に注目が集まっている。

「腟ハイフといって、腟にあてて引き締め、尿漏れ予防が期待される治療の需要が高まっています。同様のレーザー治療でインティマレーザーというものも40~50代のかたにおすすめで、私も受けています。

産後の骨盤の緩みなどで、尿漏れだけでなく、お風呂上がりにお湯が漏れてくる湯漏れに悩む人はインティマレーザーをあてると腟の緩みが改善される。加齢とともに腟の潤いも減少して乾燥してしまいヒリヒリと痛みを感じる人もいるのですが、そういった悩みも解消されます」(鶴田さん・以下同)

40代以降は脱毛も手足の美容目的だけではなくなってくる。

「おすすめはVIOの脱毛です。これは将来の介護を見据えて受けておいた方がいいと思います。医療現場に行くと、シニア世代の陰部のトラブルも多い。若ければすぐ治るような膀胱炎が悪化するようなケースも、脱毛していないことで蒸れてかぶれてしまっていたり、汚れがたまりやすくなったりといったことが原因にもなります。介護脱毛という言葉はずいぶん一般的になってきましたが、40代、50代のうちに手入れをしておくといいでしょう。

脱毛はいまの技術だと原則として、黒い毛根色素に反応させて熱で破壊するので白髪になってしまうと難しいんです。アンダーヘアも頭髪と同様、白髪になりますから、若いうちにやっておいた方がいい」

田中さんも言い添える。

「痛みが苦手なかたは塗る麻酔を使用することができます。また、脱毛にはジェルを使用しますが、そのジェルをシャリシャリに凍らせると、冷たさのおかげで痛みをかなり軽減できるので、医師に相談してみてください」

美容医療は一日にしてならず

私たちの顔を美しく、若々しく保ってくれる美容医療だが、注意点ももちろんある。なにより気になるのは“不自然さがないかどうか”だろう。

「いかにも美容医療を受けましたという感じを日本人は避けたがります。そうならないためには、1回で効果を得ようとせず、細く長く若いときから少しずつやっておくこと。しわやシミは40代くらいだと“まだ早いわ”と思っている人が多いんですが、なるべく早く始めた方がいい。しわも深く刻まれてしまってはとるのが大変です」(田中さん・以下同)

顔の印象が大きく変わってしまう施術も慎重な判断が必要だ。そもそも40代、50代になってからはメスを入れるような大きな施術はリスクが伴う。

「まぶたのたるみを気にして、50代、60代で眼瞼下垂手術を受けるかたがいますが、ガラッと顔が変わってしまいます。ずっと一重だった人が二重にするのも、もしやるなら若いうちですね。私は30代で二重の埋没法を受けて、それはとてもよかったんですが30代だったから踏み切れたんだと思います。年を重ねてからは“顔を変える”よりも、“若い頃の自分に戻る”ことを目標にした方がいい。輪郭形成で骨を削る、切るといった施術がありますが、かえってたるみの原因にもなりますし、後遺症が残ることもあります」

鶴田さんは、「脂肪のとりすぎ」に警鐘を鳴らす。

「40代を過ぎたかたから、あごまわりのもたつきや顔のたるみを改善するために脂肪吸引をしたいと相談されることが多いのですが、脂肪をとりすぎると皮膚がたるんで余計に老けて見えてしまうことがある。それよりは皮膚を引き締めるような施術をした方がいいと思います。

また、複数の施術を一気に受けてしまうと万が一、何か起こったときにどれが原因かわからなくなるので、少しずつ長期的に受けるようにしてください」(鶴田さん・以下同)

クリニックや担当医選びにも注意を払いたい。

施術を受ける際は、丁寧なカウンセリングをしてくれるクリニックを選んで
施術を受ける際は、丁寧なカウンセリングをしてくれるクリニックを選んで(写真/PIXTA)
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「まずはホームページや口コミをしっかり調べて、医師の経歴を確認することはマストです。顔と名前をしっかり出している医師の方が信頼できます。

そのうえで、マニュアル通り全員に同じ施術を行うクリニックよりは、一人ひとりの悩みと顔の作りを理解し、きちんとマーキングして注入治療をしてくれるクリニックが安心です」

美容医療は怖くない。それは間違いではない。ただし、“本当にやるべき施術”を知っていればこそだ。いつまでも美しい自分でいられるために、まずは情報収集から始めてみよう。

※女性セブン2025年10月9日号