
使ってみたいけれど買うには高額過ぎてためらってしまう家電は少なくありません。そんなとき、千円単位で気軽に試せるのが、家電製品のレンタルや、サブスクサービスです。どのようなサービスで、費用相場はどれくらいなのか。実際に家電製品のレンタルやサブスクサービスをよく利用している家電ライターの田中真紀子さんに、メリットや注意点などを聞きました。
「高い家電を買って失敗」がないように
「最近は、家電製品をわざわざ買うことなく、数日から約2週間、月単位などで気軽に借りられるレンタルサービスや、定額料金を払えば一定期間利用できるサブスクサービスを提供する会社が増えました。借りられる家電の種類も増え、借りる手間もほとんどかからない。気になっていた家電を借りるハードルはどんどん下がってきています。
メリットはなんといっても、購入しようか迷っている家電を手軽に利用できること。特に高額な家電を買った場合、自分のライフスタイルに合えば便利ですが、合わずに使わなくなってしまったら費用も無駄になるし、中古品として売ったり処分したりする手間もかかります。
私たち家電ライターとしても、実際の使用感、メリット・デメリット、どんな人におすすめか、といったレビュー記事をわかりやすく伝えようと日々努力していますが、やはり百聞は一見にしかず。一度借りてみて、製品自体が使いこなせるか、自分の暮らしに合っているか、確認してから購入を検討できるのは大きなメリットです」(田中さん・以下同)
そのまま買い取りができるサービスも
メリットはほかにも。

「サービスによっては、一定期間借り続けると、そのまま自分のものにできたり、買い取りができるものも。また家電製品の補償は通常1年ですが、レンタル期間中は1年を超えた不具合についてもサポートしてもらえる場合もあります。製品によっては、定期的に消耗品を送ってくれるものも」
条件まちまち、レンタルの注意点をチェック
一方気をつけなければいけないのが、最低レンタル期間が定められている製品があること。
「1か月使って、不要と判断した場合でも、最低レンタル期間が6か月など定められている場合、1か月で解約すると違約金が発生します。またレンタル製品がリユースの場合、一定期間使い続けて自分のものになっても不満が残る可能性も。例えば、『自分のものになっても結局は中古品を買ったことになり、その割には新品に比べて割安でもない』という声は多く聞かれます。レンタル製品の状態もぜひ確認を。
その他、返送料(返品する際の運賃料)が自己負担になる、消耗品を別途購入しなければならないなど、サービスや製品によって条件がまちまち。ご自分が希望する使い方に対してサービス内容が合っているか、しっかり確認する必要があります」

おすすめはロボット掃除機、食洗器、美容家電、季節家電
初心者はどんな家電をレンタル・サブスク利用するとお得でしょうか。
「特におすすめなのは、市場で盛り上がっているロボット掃除機ですね。『これは便利に使えた』『もっと早く取り入れればよかった』という絶賛派と、『間取りに合わなかった』『期待とは違ったと』いうガッカリ派で大きく分かれるからです。迷っているならレンタルで始めてみるといいでしょう。
同じ理由で、食器洗い乾燥機を試すのもいいですね。ほか美容家電も、製品自体はよくても、『意外と使い続けるのが面倒になった』という人が多いカテゴリなので、実際に使いこなせるか、試してみるのも手。また、梅雨の時期に活躍する除湿機など、季節商品を期間限定で借りるというのもいいかもしれません」

一例を挙げると、パナソニックの定額利用サービスで、タンク式の食洗器を借りる場合、36か月で月額2570円(税込・以下同)から。約半年分の食洗器用洗剤つきです。単身赴任など一定期間だけ使いたい人にもお得ですね。
さてここからは、数あるサービスの中でも、初心者が簡単に家電を借りやすい、田中さんイチオシのサービスをご紹介。いずれも、スマホやパソコンなどインターネットから申し込みが可能。製品の受け渡しも、自宅やコンビニなど柔軟に選択できます。普段自宅にいる人にとっては、自宅から一歩も出ずにレンタルの手続きができるのはありがたいですね。
注目サブスクサービス【1】Rentio(レンティオ)

3000種類以上の最新製品を買わずに使える家電お試しサービス。品揃えの豊富さは業界最大級。
3000種類以上の最新製品を数日間から月単位まで気軽にレンタル
「製品によって、数日間の日単位、短期、月単位などレンタル期間が選べます。そのため、購入前に家電を試したい人にはもちろん、『ふだんは使わないけれど、この日だけ使いたい』といったニーズにも対応します。また月額プランの場合、最低レンタル期間は3か月~6か月で、商品によっては12か月経過すると、そのままもらえるプランも。同じ製品でも、リユース製品なら割安でレンタルできる場合もあります」
例えば、実勢価格7万5240円で売られているシャープのロングセラー電気調理鍋『ヘルシオ ホットクック KN-HW24G 2~6人用 2.4L容量』の場合、レンティオでは新品の製品を月額1980円(往復送料込み、最低レンタル期間6か月、37か月目からは支払い不要)で借りられます。36か月目まででレンタル総額は7万1280円なので、現在の実勢価格で買うより、安く使い続けることができます。
レンティオで借りられる製品はすべて、動作確認、クリーニング済み。往復の送料は無料で、利用者の過失による修理でも負担は最大2000円と、気軽に試せる条件がそろっています。(※サービス内容は製品により異なります)
注目サブスクサービス【2】kikito(キキト)
NTTドコモが提供するデバイスレンタルサービス。もちろん、ドコモ回線契約者以外も利用できます。

目的に応じて「短期」「長期」「もらえる」プランを選べる
「スマートウォッチなどスマートフォンと一緒に使えるデバイスのほか、プロジェクターなどのAV機器、ロボット掃除機などの生活家電、美容・健康家電など幅広く取り扱っています。利用期間は、『短期レンタル』(2泊3日~)、『長期レンタル』(29泊30日~)、一定期間レンタルすると商品をもらえる『もらえるプラン』から選択可能。もらえるプランの多くが、3か月経過すれば解約でき、12か月経過するとそのままもらえます」
一例を挙げると、実勢価格8万円前後のパナソニックの『デジタル4Kビデオカメラ HC-VX992M』を、短期レンタルプランでは4日間で5980円、もらえるプランでは月額7800円(30日単位、最低利用期間3か月)で、12か月を過ぎたらそのまま自分のものになります。旅行で短期間使うなら短期レンタルプラン、数か月使う場合はもらえるプランを選ぶとお得でしょう。
なお、製品は動作確認、クリーニング済みで、送料は無料。そしてキキトは、利用者の過失による修理費用も原則不要です(※サービス内容は製品により異なります)。一部製品には、dポイントを使って払うことも、貯めることもできるので、dポイントユーザーには特にお得といえるでしょう。
https://rental.kikito.docomo.ne.jp/
前から気になっている高額家電があるなら、短期間限定で借りてみるのもいいかもしれません。使いたい商品のレンタル価格だけでなく、借りたい期間、補償など自分に合うサービスかどうか確認もお忘れなく。
◆教えてくれたのは:家電ライター・田中真紀子さん

雑誌やウェブなどの多くのメディアで、新製品を始めさまざまな家電についてレビューを執筆している。https://makiko-beautifullife.com
取材・文/桜田容子
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