
1年前の9月、エリザベス女王の国葬に出席されるためイギリスを訪問された天皇皇后両陛下。そして今年になってからは、およそ20年ぶりの海外公式訪問となるインドネシアへ。即位後、海外との関係を深めてこられています。今回は、これまで訪問され、親交を深められてきた海外の王室との交流秘話を紹介します。
ご成婚後、初めての海外訪問は中東 オマーン国王から馬のプレゼント
天皇皇后両陛下がご成婚後、初めて海外に訪問されたのは1994年のサウジアラビア、オマーン、カタール、バーレーンの中東4か国でした。翌年の1995年1月にはクウェート、アラブ首長国連邦、ヨルダンの中東3か国を訪問されています。

オマーンご滞在中に、国王からアハージージュという名前のアラブ馬を贈られました。

アハージージュが産んだ小馬は豊歓(とよよし)と名付けられ、愛子さまが幼い頃から何度も乗り、親しんだ愛馬となりました。

2021年の12月に豊歓が亡くなりましたが、天皇ご一家が2023年4月に栃木県高根沢町の御料牧場に滞在された際、豊歓のお墓に花とにんじんを供えられたそうです。オマーンから贈られたアラブ馬は、およそ30年近くもの間、友好のシンボルとして天皇ご一家から愛されていました。





ベルギー・フィリップ国王の結婚式に参列 2002年にはW杯をご鑑賞も
1999年12月には、フィリップ国王(当時は皇太子)の結婚式に参列するため、天皇皇后両陛下はベルギーを訪ねられます。



結婚式は首都のブリュッセルにあるサン・ミッシェル大聖堂で行われ、各国から1200人以上の人が参列しました。

翌年の2000年9月には、フィリップ国王夫妻が来日し、両陛下が葛西臨海水族園を案内されました。その後も皇室とベルギー王室との交流は続き、2002年6月4日には、フィリップ国王ご夫妻とともにW杯の日本対ベルギー戦を観戦されました。




2002年には、国際親善のためニュージーランド、オーストラリアを訪問された天皇皇后両陛下。






















この訪問の翌年、2003年7月に、雅子さまは体調を崩され「適応障害」と宮内庁から発表されました。その後は天皇陛下がお一人で外国への親善訪問に臨まれる時期が続きました。
女王からやさしさ溢れるご招待 ご一家でオランダへ
2006年にオランダ王室から、天皇ご一家への招待があり、オランダを訪問されました。雅子さまの療養もかねたご滞在でした。


訪問された翌年の2007年に開かれた天皇陛下のお誕生日の会見で、こう述べられました。






「オランダ行きは、私たちにとって、オランダ王室の方々と交流でき、また、有意義な体験でした。また、雅子の治療にとっても有益であったと思いますし、愛子にとっても様々な新しい経験をすることができ、良かったと思っています」
雅子さまの体調を配慮したオランダ王室 11年ぶりに外国への公式訪問
オランダでの休養から7年後の2013年4月30日、オランダ国王の即位式へ出席された天皇皇后両陛下。マキシマ王妃が直接、電話で雅子さまを招待されたと報道されました。雅子さまの体調へのオランダ側の配慮もあり、お二人そろっての出席が実現し、雅子さまにとっては11年ぶりの外国への公式訪問となりました。

天皇陛下はこの年の記者会見で「かなり長いこと外国を公式に訪れていなかった雅子にとっては、大きな決断であり、大きな一歩でしたが、この行事に臨むことが、新たな一歩を踏み出す一つの契機になるのではないかと思い、お医者様とも相談の上で決まりました」と話されています。


雅子さまのご体調を気遣われてきたオランダの王室。天皇皇后両陛下が揃って海外へ再び訪問するきっかけを作った恩人といえます。
トンガの王室&国民から温かく迎えられ戴冠式に参列
2015年7月にトンガ王国のトゥポウ6世国王の戴冠式に参列されるため、即位後に初めての外国への公式訪問をされた天皇皇后両陛下。フリーウェズリアン・センテナリー教会で行われた戴冠式では、トンガの王族と共に最前列の席で見守られました。


トンガのご訪問を終えたあと、両陛下のご感想が公開されました。
「トンガ国訪問中には、国王王妃両陛下を始めとする王室の皆様方、ポヒヴァ首相を始めとする政府関係者の方々に心のこもったおもてなしをいただいたことに深く感謝しております。トゥポウトア・ウルカララ皇太子同妃両殿下には、空港にお出迎え、お見送りいただくなど、温かいお心遣いをいただき、戴冠式昼食会の席上などで親しくお話しすることができ、大変うれしく思いました」

「今回の戴冠式にあたり、トンガ国は祝賀一色であり、国王陛下への国民の温かい祝福の気持ちを感じました。こうした中でトンガ王室やトンガ国民の皆様に温かく迎えていただいたことを心からありがたく思いました」

「これからも我が国とトンガ国との関係が深まり、両国国民の友情と交流の絆が更に強まればと願っています。私たちも、両国の親善、友好のために少しでもお役に立てれば幸いです」

2019年10月22日に行われた即位礼正殿の儀には、海外からは191か国・機関が参列し、トゥポウ6世国王夫妻も来日されました。
ベルギーのフィリップ国王夫妻も、オランダのウィレムアレクサンダー国王夫妻も、即位のお祝いに駆けつけました。


即位前、そして即位後も国王や大統領など数多くの要人との関係を深められてきた天皇皇后両陛下。これからもインドネシア、イギリスと続き、世界との交流を大切にされることでしょう。
●天皇皇后両陛下とオランダ王室、絆を深めた「17年前の夏休み」と続く交流 雅子さまと王妃は元キャリアウーマンという共通点も