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定年後は「自宅に住み続ける」と「売却」どっち?老後不安を考えると…お金の専門家の見解は

家を売るイメージ
老後は持ち家に住み続けるか、売却するか、どちらが正解?(Ph/photoAC)
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老後資金に2000万円必要といわれることもあり、お金の不安を抱えている人も多いでしょう。『一生お金に困らない!新・お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)の著者で元メガバンク支店長でもあるお金の専門家・菅井敏之さんによると、資産について考えるとき、貯金額や収入と支出の差だけを見ている人が多すぎるのだそうです。そこで、貯蓄と資産の違いや持ち家の活用の仕方について教えてもらいました。

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定年後も「自宅に住み続ける」か「売却する」か

収入と支出だけを見て、節約して貯蓄を増やしたり、投資をして収入を増やそうとしたりするのは「生活の結果だけを見ているのと同じ」と、菅井さんはいいます。貯蓄ではなく資産を見るべきだそうですが、どういうことなのでしょうか。

貯蓄ではなく資産を見る

収入と支出の差が貯蓄にあたります。一方で、負債と純資産を足したものが資産です。

「私が考える資産の種類は3つ。定期預金の金利や株の配当金を産む『金融資産』、『不動産』、そしてあなたの『ビジネス力』です。『ビジネス力』とは、あなたの『スキルをお金に変える力』のことです」(菅井さん・以下同)

資産には、ローン返済中の不動産も含みます。ただし、返さなければいけないお金は、返す必要のない純資産とは分けて考えます。つまり、ローンの返済が終わった自宅は純資産、返済中であれば資産に含まれるということです。

では、資産である自宅には、定年後も住み続けるのがいいのでしょうか?

家の模型とお金のイメージ
不動産を活用すべきか(Ph/photoAC)
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個人資産の6割を占める不動産を活用するべき

日本人の個人資産のおよそ6割は不動産ですが、株やFX、銀行ですすめられる金融商品を検討するなど、残りの4割の金融資産をどう使うかだけを考えるのはおかしいと菅井さん。

6割を占める不動産を活用することこそが、資産を上手に使い、将来の不安を軽減することにつながるのです。つまり、定年後も「自宅に住み続ける」か「売却する」か、という疑問は、「売却」が正解といえるでしょう。

自宅の売却には住み替え以外の方法もある

自宅を売却する場合、まず思い浮かぶのが住み替えでしょう。子供が出ていって家が広すぎると感じることもあるでしょうし、環境のよさを重視して駅から遠いところに家を建てた場合は、歳をとるにつれて不便になってくることもあると思います。

自宅を売却した資金があれば、夫婦で暮らすのにちょうどいい広さの家や、近くに駅やスーパーがある便利な立地へ住み替えるという選択もできます。

「もっと先を見据えて将来老人ホームに入るのであれば、資金は取っておき、賃貸マンションに住んでもいい。格安で買えるリゾート物件に移り住み、趣味や好きなことをする暮らし方をするのもありだと思います」

リゾート物件の一室
選択肢がいろいろとある老後の暮らし(Ph/photoAC)
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では、今の家に愛着があり、そこで暮らし続けたい場合はどうすればいいのでしょうか。菅井さんは「リバースモーゲージ」や「リースバック」を利用することで資金を捻出する方法があると話します。

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