『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)を上梓したタレントで作家の青木さやかさん(50歳)が本書でつづったのは、40代最後に経験した大失恋。そして、失恋に苦しみながら自身に向き合うことや、さまざまな人との関わりを通して、50代を前向きに迎えようとする青木さんの姿を感じることができます。そんな青木さんにとって、50代とはどのような時間なのか、また10年後の60歳の理想の姿について教えてもらいました。
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50代目前で自分との付き合い方が分かってきた
50代を目前にしたときに、うれしいと感じることや嫌だと感じること、どうすれば自分が生きやすくいられるのかなど、自分との付き合い方が分かってきたと話す青木さん。
「例えば男性でいうと、この人だから合わないんだとか、こういう人を見つければいいんだとか思ってましたけど、だいたい同じようなことになってうまくいっていないんですよ。つまり、原因は自分にあるということなんですよね。何百万人みたいな中から自分に合う人を探すよりも、自分の癖を分かって自分とうまく付き合えるようになることで、また同じように傷ついたり、同じように恨んだりすることがなくなると気づいたんです。
『こういう男性だからよくなかった』っていうよりも、違う方法を取りたくなったというか。自分のことを知ったから、できるようになったというのが大きいかもしれません」
50代とは、そうやって自分のことを理解していくフェーズなのか、青木さんに訊ねてみると……。
「いや、私がたまたま50歳でやっているというだけで、周りはもっと早く通過していることなんじゃないですかね。ただ、子供がちょっと大きくなってきたことでの変化はありますよ。幼稚園のときはまったくそんな余裕はなかったし、周りには子どもが中学に入ってからようやく仕事を再開したという友達も多いんです。前の仕事に戻る人もいれば、新しく仕事を始める人、アルバイトを始める人とか。なにかに挑戦し始める同じくらいの世代のお母さんたちもたくさんいます。そうすると、これまでのママ友ではなく一人の女性として話せるようになって、その時間はすごくいいなと思いますね」
ライフステージの変化も踏まえながら、充実した50代を過ごしていることを感じさせる青木さんですが、さらに10年後の60代を見据えたとき、どうなっていたいという理想の姿はあるのでしょうか。
「私の周りの60代の方々は、挑戦されていて素敵です。元気な先輩たちがたくさんいらっしゃるので私もそうなりたいですし、その姿を見て、私も何も恐れず進んでいけるなと感じています」
健康への意識も高まってきた50代
とはいえ、元気に歳を重ねていくには健康であることが必要。健康について考えるようになったという青木さんは、ライフスタイルにも変化が起きているといいます。
「椎間板ヘルニアを患っていて腰をかばって動くので、お腹にすごくお肉がついてくるんです。そういうこともあって、これからの人生を元気に歩いていけるようにと、運動に関しても意識が変わりましたね。例えば、毎日自分で運転して車移動をしていて、しっかり歩くのはロケのときくらいだったのですが、去年から電車に乗るようにしました。電車移動で仕事に行くのは、20年ぶりかもしれません。久しぶりすぎて、ちゃんとたどり着くことができないこともあるんですけど(笑い)。
腰を悪くして柔軟性も落ちて、体や健康に関するどんなロケでも、歩いた方がいいですって言われるんですよ。そのくらい、歩くことは大切なんだなって思ったんです。どうやら、生活の中に運動を取り入れるっていうのがすごく重要みたいです。週何回と運動する時間や場所を決めてやるよりも、毎日何かを必ずするっていうことがとてもいいみたいなので、そのように継続してやっていけたらなと思っていますね」
加えて、1年ほど前から週2回のヨガに通うようになったのだそうです。体の変化だけでなく、「新しい場所に行くことで、今まで全然付き合いがなかったタイプの友達ができるのもいいことだなと思いました」と青木さん。そう話す青木さんがポジティブに50代を迎えられている理由には、周りの人の影響も大きいようです。
「50代が楽しいっていう友達も多くて、前向きでいいなと思います。自己肯定感の高め方を知った断捨離にしても何にしても、私の周りには本当にいろんな知識やいい話を教えてくれる人が多いんです。だから、本の中に登場した、やましたひでこさんや鈴木秀子さんの本に、すごく参考になるものが多いと思いますね。その前に、私の本を読んでもらいたいですけど(笑い)」
◆タレント・女優・青木さやかさん
1973年3月27日生まれ。愛知県出身。タレント・俳優・エッセイスト。大学卒業後、フリーアナウンサーを経てタレントになり、「どこ見てんのよ!」のネタでブレイク。2007年に結婚、2010年に出産、2012年に離婚。現在はバラエティー番組やドラマ、舞台などで活躍し、動物保護活動にも力を注いでいる。著書に『母』(中央公論新社)、『厄介なオンナ』(大和書房)、『母が嫌いだったわたしが母になった(KADOKAWA)など。最新著は『50歳。はじまりの音しか聞こえない: 青木さやかの「反省道」』(世界文化社)。https://twitter.com/aokisayaka0327
撮影/黒石あみ