脂肪肝を予防する食事
脂肪肝を食事で予防するには、1日の摂取カロリー量を適切にすることを心がけるとともに、必須アミノ酸のひとつで、肝機能改善や脂肪肝予防効果が期待できる「メチオニン」を含む食材を積極的に取り入れましょう。
適切な1日のカロリー摂取量は、活動量や年齢、体重などの要素で変動しますが、活動量が少ない成人女性は1400~2000kcal、男性は2200±200kcal程度です。このカロリー摂取量のうち、脂質は20〜30%が適切な摂取量といわれています。自身の活動量や年齢などから適切なカロリー摂取量を割り出し、適切なカロリー摂取を心がけましょう。
メチオニンは肝臓で老廃物や毒素、中性脂肪などの排出や代謝を促す働きがある栄養素です。メチオニンは、まぐろやかつお、ぶり、牛肉、チーズなどの食材に多く含まれています。ただし、肉やチーズなどは脂質が多い食材でもあるため、食べ過ぎないようにしましょう。
また、メチオニンによる脂質の代謝を促すにはビタミンB6の摂取も必要です。メチオニンとビタミンB6を含むぶりは、12月から3月が旬のため、これからの季節にぴったりです。
切り身の場合、表面につやがあり、血合いが鮮やかな紅色(白っぽくないもの)で黒ずみがないものが鮮度のよいぶりです。刺身や煮物、鍋などで冬の味覚を楽しみながら、脂肪肝を予防しましょう。
脂肪肝の予防には漢方薬も役立つ
有酸素運動による内臓脂肪の代謝や食事による脂肪肝の予防効果をアップさせるには、漢方薬を併用するのもおすすめです。
「代謝を上げて、運動の効率をよくする」「自律神経を整えてストレスによる過食を防ぐ」「脂肪の吸収を抑える」「余分な脂肪を便といっしょに排出する」といった作用がある漢方薬は、肥満症の治療薬としてダイエット外来や婦人科でも処方されています。これらの漢方薬は、脂肪肝の予防にも効果が期待できます。
おすすめの漢方薬
・大柴胡湯(だいさいことう)
便通をよくして老廃物を排出するとともに、脂質代謝を整え肥満症の改善に働きかけます。ストレスで食欲が増しやすい人に用いる漢方薬です。
・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
脂肪燃焼を促し、肥満症やむくみを改善する効果が期待できます。便秘ぎみでお腹に脂肪がたまりやすい人に用いる漢方薬です。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。