記憶のゴールデンタイムは「寝る前」
記憶に適する時間というのはあるのでしょうか?
もし記憶に適する時間があるのなら、その時間帯に暗記をするのが、一番効率の良い記憶術、暗記術ということになります。
最も記憶に適した時間帯、それはズバリ「寝る前」です。特に寝る前の15分は「記憶のゴールデンタイム」といわれています。
睡眠が記憶の定着を促すということは、既にお話ししました。暗記したら、そのまま何もせずに、布団に直行して眠るのが、一番記憶定着を促進させるのです。
記憶の定着を妨害する因子として、「記憶の衝突」というものがあります。ある程度の暗記をした後、似たような情報や余計な情報が入力されると、脳の中で情報同士が衝突して、定着しつつあった記憶が混乱し、記憶が妨害されてしまうのです。
ですから、「今日は1日、勉強を頑張ったから、映画を見て寝よう!」「1時間だけゲームをして寝よう」という人もいるかもしれませんが、記憶術的に見るとそれは最悪の「寝る前」の時間の過ごし方といえるのです。
勉強したら、そのまま布団に直行するのが記憶には最も効果的なのです。
夜、それも寝る前は暗記、記憶に向く時間帯。逆にいうと、午前中は暗記、記憶には向かない、ということになります。では、午前中は記憶に向かないとするならば、どんな勉強をすればいいのでしょうか?
朝起きてからの2〜3時間というのは、「脳のゴールデンタイム」といって、脳の中が非常に整理された状態です。高度に論理的な思考をしたり、難解な物事を理解したり、文章を書いたり、語学の勉強をしたりするのに向くといわれています。
記憶の4ステップ。「理解」「整理」「記憶」「反復」
記憶には4ステップがあります。「理解」「整理」「記憶」「反復」。このうち、「理解」や「整理」が午前中に向く作業です。
午前中は「理解」や「整理」の勉強に時間を割り振り、夜は「記憶」と「反復」の勉強をする。
特に寝る前15分の「記憶のゴールデンタイム」を大切にして、苦手な分野などを一気に暗記してそのまま寝てしまう、というのが効率的な勉強法といえます。
例えば、数学や物理。これらは、暗記よりも理解が重要です。こういう理解型、論理型の科目は午前中に向きます。
あるいは、数学や物理でも、公式の暗記というのがありますから、暗記に関しては、寝る前に反復して、しっかりと定着させるといいでしょう。
あるいは、英語でも文法は「論理型」ですが、英単語は「暗記型」の勉強になります。このように、「理解型」と「暗記型」の勉強を区分し、「理解型」は午前中、「暗記型」は夜に勉強するようにするだけで、勉強の効率、記憶の効率は飛躍的に高まります。
◆教えてくれたのは: 精神科医、作家・樺沢紫苑さん
1965年札幌生まれ。札幌医科大学医学部卒。2004年から米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」(https://www.youtube.com/@kabasawa3 48万人)、「樺沢紫苑公式メルマガ」(https://bite-ex.com/rg/2334/7/ 12万人)など累計100万フォロワーに情報発信をしている。著書46冊、累計発行部数240万部のベストセラー作家。シリーズ累計90万部の『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、『神・時間術』(大和書房)、『ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)、『言語化の魔力』(幻冬舎)、『読書脳』(サンマーク出版)など話題書多数。