この春から、わが子が進学や就職などでひとり暮らしを始める――。さみしいけれど、親として新たな門出を応援したいものです。初めてひとり暮らしをする子供がどんな生活家電を選んだらよいか、家電ライターの田中真紀子さんにアドバイスをもらいました。
少人数世帯向けの高級・高性能家電が増えている
「ひとり暮らしだからこそいい家電をすすめたいですね」。こう話すのは、生活家電に詳しい田中さん。
「かつて、ひとり暮らし向け家電といえば、若者をターゲットとしたコンパクトかつ、機能は最低限の安いエントリークラスが中心でした。ひとり暮らしを始めるときは家電を一通り揃えなければならないためお金がかかります。それだけに、最低限の家事ができればよいという考えもあったのでしょう。
しかし近年は、ミドル世代の独身者も少なくないですし、子供が独立したり、パートナーに先立たれてひとり暮らしになるなど、単身世帯は年々増加しています。中には長年家事をこなしてきた人も多く、『今さらエントリークラスには戻れない』という声から、コンパクトでもハイエンドクラスのものも増えているのです。特に顕著なのが炊飯器で、いわゆる高級炊飯器と同等レベルの少人数世帯向けも登場しています」(田中さん・以下同)
生活の質をキープできるコンパクト家電を
高性能な家電と一口に言っても、多種多様にあります。ひとり暮らしをするにあたり、どう選んだらよいのでしょうか。
「まずチェックしたいのはサイズ。ひとり暮らしの住まいはワンルームや1LDKなどコンパクトな部屋が多いですよね。特に洗濯機などの水回りは空間が限られていますので、その部屋に置けるかどうか、見極めが必要になります。
そのうえで、ひとり暮らしでもある程度の生活の質をキープできる機能は何か?を検討するといいでしょう」
キッチン家電の選び方
炊事でいえば、次の視点も参考に。
「例えば料理が苦手なら、ほったらかしにしても調理ができる電気圧力鍋を使うと便利です。多くの機種が炊飯もできるので、おかず作りと炊飯を一台で済ませられます。総菜を買う機会が多いなら、オーブントースターに温め直し機能がついたものを、冷凍食品を多く利用するなら冷凍室が大きい冷蔵庫を選ぶといいでしょう。
また最近は『おひとりさま家電』と呼ばれる、一人で晩酌を楽しめる調理家電も充実しています。コンパクトなホットプレートのようなものですが、1つあると焼きながら食べるといった使い方もできます」
掃除機や洗濯機の選び方
忙しくて散らかりがちな部屋、溜まりがちな洗濯物は、次のような家電を買えば解決しそうです。
「掃除機は使いやすいよう出しっぱなしにできるものを。デザインも重視しつつ、短時間でもしっかり掃除ができる吸引力が強いタイプを選ぶのも一つの考えです。
また洗濯が大変なら、思い切ってドラム式洗濯乾燥機を選んでもいいでしょう。値段は高くなりますが、ひとり暮らしで忙しくてもきちんとした生活を送る習慣が、生活力を養います」
帰宅時間が遅く、夜から掃除や洗濯を始める人は、静音性を重視するのも大切です。
そのほか、買い方や設置の仕方にも注意点があります。
「一番気をつけたいのは、冷蔵庫や洗濯機の大きさです。ワンルームや1LDKの設置スペースは、ひとり暮らし用家電を想定していることが多いため、高機能な大きめサイズを選ぶと入りきれないことも。冷蔵庫はスリムタイプも増えていますが、洗濯機をドラム式など乾燥機能付きにすると、どうしてもサイズオーバーしてしまう場合もありますので、注意が必要です」
以上を踏まえ、ひとり暮らしにおすすめの生活家電を挙げてもらいました。